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介護支援ブログ

介護制度について分かりやすく解説しています。介護に関っている全ての方々に役立つ総合介護情報サイト目指しています。現在は主に介護職員処遇改善加算、キャリアパス要件、介護保険施設等の実地指導について執筆中です。

介護保険施設等の実地指導とは

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 介護保険事業所は介護保険法に乗っ取ったルールで運営されることが定められています。実地指導とは、介護保険事業所としてルールをしっかりと守っているのか、適切に介護保険サービスを高齢者に提供しているのかを行政が確認する作業になります。

 

ここでは実地指導の概要として、その種類や目的などについてご紹介していきます。

解説のベースは厚生労働省老健局総務課介護保険指導室が発行する「介護保険施設等実地指導マニュアル」に基づきます。

 

なお、この記事の主な対象事業は以下の通りです。

略称 正式サービス種別名
訪問系 訪問介護・訪問看護・訪問リハビリテーション・訪問入浴介護
通所系 通所介護・通所リハビリテーション
入所系 短期入所生活介護・短期入所療養介護・特定施設入居者生活介護
居宅介護 居宅介護支援事業
その他 居宅介護療養介護指導・福祉用具貸与・特定福祉用具販売・住宅改修費支給

 

 

実地指導と監査

よく実地指導と監査を同じものと捉えている人がいますが、これらは全く別物です。

 

  • 実地指導とは

適正な運営がされているかを判断するもの。行政はルールに基づいたチェックのみを行います。

  • 監査とは

不正があると疑われる場合に行われるものであり、不正の追求を目的に行われます。

監査は、自治体などが利用者や家族、その他の介護関係者などから寄せられた基準違反や不正請求の疑いをもとに実施されるもので、かなり黒だと判断された場合の処置です。

 

実地指導では、事業所は定められた書類等を行政職員に見せてチェックを受け、口頭でのヒアリングも行われます。また、実地指導で不正が発覚した場合や、不正を行っている可能性が極めて高い場合は監査を実施されることになりますので、注意しましょう。

 

実地指導の目的

実地指導は、実地(事業所)で指導を行うというものです。近年、介護保険法は非常に難しく複雑で、自治体によってもルールが違うなど、事業所運営をする上で疑問を持つことが多くあります。そういった事業所に対して「制度管理の適正化とよりよいケアの実現」という考え方によって指導を行うのが実地指導の本来の目的です。決して不正探しではないことを認識しておきましょう。

 

逆に、実地指導は事業所を適正に運営するためのアドバイスであるといえます。もし日常的に疑問を感じている事柄や、わからないことなどは積極的に質問をしてみましょう。受け身になるだけではなく、実地指導を機に日頃の疑問を解消することも大切なことです。

 

また、指導内容の実例として下記の項目があげられています。

介護保険法の趣旨・目的の周知及び理解の促進
指定・更新事務などの制度説明
実地指導における指導結果の説明や介護サービスの質の向上に取り組んでいる好事例等の紹介
非常災害対策、労働基準法令遵守、衛生管理等、事故防止対策などの周知
介護報酬請求に係る過誤・不正防止の観点から適正な請求事務指導など

 

これをみると一方的な取り締まりというわけではなく、保険制度を適切に運営するために、保険者である行政とコミュニケーションを取っていく内容であることが分かります。また実地指導を行う担当者のマニュアルには、実地指導に臨む姿勢として「実地指導は、不適正なサービスを取り締まることを目的として行うものではないため、摘発と認められるような言動・行為は厳に慎むこと」と注意書きまでついています。

 

介護報酬は3年に一度改定されています。平成27年度の改定では中重度者や認知症利用者へのケアやサービス提供体制の補強、特に通所介護などに対する基本報酬の減額などが大きな論点として取り上げられました。この点などはしっかりと運営に反映していらっしゃると思いますが、まれに文言の解釈や請求方法の理解に相違があったりします。

間違えやすいポイントは行政の方でもピックアップしているでしょう。このあたりに関しては特に行政の仕事のしどころですが、事業者側がしっかりと準備をすれば大丈夫です。

逆に大きな問題なく、好印象を持ってもらえれば、ケアマネを交えた事例検討会などでお声がかかるなどの、その後の人脈づくりにつながるかもしれません。

 

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[参考:厚生労働省 都道府県・市町村が実施する指導・監査について]

 

実地指導の種類

実地指導は大きく「運営指導」と「報酬請求指導」に分けられます。

 

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 [参考:松本会計事務所 実地指導の種類流れ及び実地先の選定

 

運営指導とは

厚生労働省による運営指導の指導項目は以下の通りです。

運営指導
  •  高齢者虐待防止、身体拘束禁止等の観点から、虐待や身体拘束に係る行為及びそれらが与える影響についての理解、防止のための取り組みの促進について指導。
  • 利用者毎のニーズに応じたケアプランの作成からケアプランに基づくサービス提供、計画の見直しまでを含む一連のケアマネジメントプロセスの重要性について理解を求めるためのヒアリングを行い、生活支援のためのアセスメントとケアプランの作成等が適切に行われ、個別ケアの推進について、「運営指導マニュアル」を用いて運営上の指導を実施。
[厚生労働省 介護保険施設等実地指導マニュアルより抜粋]

運営指導においてチェックされるポイントは「利用者への虐待がないか」「ケアマネジメントプロセスの中でサービス提供事業者としての役割をしっかりと担っているのか」の2点です。

ここをしっかり押さえることで、大きな問題には発展することはないでしょう。

 

報酬請求指導とは

報酬請求指導

施設・事業所が届出等で実施する各種加算等に関する指導については、報酬基準に基づき介護保険給付の適正な事務処理を行わせるとともに、基準要件に適合した加算に基づくサービスの実施を行わせることにより、不正請求の防止と制度管理の適正化を図るとともに、よりよいケアへの向上に向けた施設・事業所への支援を図ることを目的とする。

[厚生労働省 介護保険施設等実地指導マニュアルより抜粋]

 報酬請求指導の一番の目的は「不正防止」です。全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議の資料によりますと、平成24年度における指定取消を受けた理由の一位は不正請求となっています。

 

指定取消の取消事由

  • 第一位 介護給付費の請求に関して不正があった
  • 第二位 帳簿書類の提出命令等に従わず、又は虚偽の報告をした
  • 第三位 設備及び運営に関する基準に従った適切な運営ができなかった

不正請求の内容をみてみると、「実際にサービス提供していないにもかかわらず請求、看護職員の人員基準を満たしていないにもかかわらず減算せず請求した」、「勤務実績と異なる勤務表を作成し、虚偽のサービス記録で報酬を請求した」などが報告されています。

また、ひどい理由の中には「質問に対し、虚偽の答弁をし、又は検査を拒み、妨げた」というものもありました。インターネットの無料掲示板などでも不正請求の内部告発の相談などをみかけることもあります。

介護報酬のマイナス改定が進んでいく中で、行政も利用者も職員も不正請求に対する目は厳しいのは当たりまえです。不正請求の意図がなかったとしても、これを機会にして、勘違いされるような請求方法をしていないかもチェックしましょう。

 

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 [参考:主な取消事由の事例 全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議の資料より]

 

運営指導と報酬請求指導に関する具体的なヒアリング項目は「実地指導チェックリスト」にて解説しています。

 

実地指導に関するQ&A

実地指導に関するQ&A13選」にまとめました。

 

まとめ

実地指導の際には事前に通知があり、利用者の氏名と状況が書かれたリストや、請求関係では「各種加算等自己点検シート」を準備することになります。これらの資料が最初のコミュニケーションのツールになるはずです。問題点があって困っていることなども隠さずに、状況をしっかりと話し合える準備をすることが信頼に繋がります。行政の担当者もひとつの事業所の実地指導にそれほど多くの時間をかけたくないものです。信用のおける事業者として認識されることを目標に対応を進めましょう。

 

実地指導について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

 

kaigo-shienn.hatenablog.com