介護事業運営において、今では欠かすことのできないソフトウエア。月々の請求や実務処理に様々な会社のソフトウエアが使われています。
介護保険がスタートした時は、ほとんどの事業所が手書きから業務を始めていたなんて今ではとても考えられませんね。
そんな介護ソフトウエアについて、今回は記事をまとめてみました。ぜひご一読いただき、あなたの事業運営に役立ててください。
介護ソフトウエアとは
介護事業を始めた場合に、必ず行なうのが月々の利用料の請求です。ほとんどの介護事業所は、介護保険制度などの公費による事業収入を得てサービスを提供しています。このため請求先は市町村や国保連になります。
これらの公的機関への請求に必要な物は、ご利用者の月々の利用回数やサービスの種類の記載と利用額の計算がされたデータです。ご利用者1人1人に対してこれらのデータを、月々決められた請求期限までに作成するわけですから、その仕事は量が多く非常に大変なものになります。
また、介護保険などのサービスの利用料金は定期的に改定され、請求できる業務もたびたび変更されます。介護事業所では、都度変更された内容に対応した請求書を作成しなければなりません。しかも1か所でも間違っていたら、そのご利用者の分の請求は通りません。
介護保険の場合、請求するデータは国保連に伝送しますが、それまでの確認作業を人力で行うことは非常に大変です。
これらの計算や内容の確認作業を、人間の代わりに行ってくれるのが介護ソフトウエアです。
介護ソフトウエアを導入するメリット
それでは介護ソフトウエア導入のメリットを考えてみましょう。
計算作業が改善される
介護請求業務での金額の計算は、非常に細かい物が多いため手作業ではどうしても時間がかかります。
また、提供するサービスによって報酬額が変わります。1つ1つ人力で入力することは時間もかかりますし、ミスも起こります。これらの作業は介護ソフトウェアを導入することで圧倒的に楽になります。
ミスの防止ができる
介護請求業務の場合、請求データではミスが許されません。いったん間違ったデータで請求を行ってしまった場合は、後から返還等を行わなくてはならず、その実務作業もかなり大変です。介護ソフトウエアを導入するメリットの1つは、こうしたミスの防止です。実際に提供されたサービスを毎回入力していくことで、人的なミスは防ぐことができます。
制度改正に対応できる
介護保険法は改正の多い法律です。法改正や報酬改定に伴って報酬額が変動しますので、介護事業所ではその都度請求する業務に変更を行わなくてはいけません。
介護ソフトウェアによっては、インターネットやクラウドを通じてソフトウェアが自動的に更新されるものが多いため、制度の改正があっても安心して使うことができます。
スケジュール管理ができる
介護ソフトウエアによっては、介護事業を行うスタッフの行程把握や勤務形態に応じたスケジュール管理ができる機能がついた商品もあります。そして多くが、スマートフォンなどを通じてスタッフが現場で確認できます。
事業所がまだ小さくスタッフが少ないうちは不要かもしれませんが、ホームヘルプなどの訪問型の業務の場合は、行程の急な変更などが現場で確認、入力できるため非常に重宝します。
また、請求業務そのもののスケジュール管理も可能なソフトウエアもあります。
介護ソフトウエアの選定方法
介護ソフトウエアは商品によって、大きく分けると2つの形態になります。
パッケージソフト型
CD-ROM等に入力されたプログラムを購入します。
現時点での制度に適応した内容になりますが、制度の改正においてはバージョンアップしていく必要があります。この場合は月々のメンテナンスサービスが販売会社に用意されているかで値段が変わってきます。パッケージソフトの場合は、複数の介護サービスの請求ソフトが初めから入っている商品もあります。
パッケージソフトのメリットは、通信環境を一時的に中断していても入力作業ができること。
また、個人情報などのセキュリティーが漏えいしにくいというところでしょう。
加えて、ソフトウエア会社が事業所に合わせて、請求ソフトをアレンジしてくれることもあります。
デメリットはパッケージ導入の費用が高くつきやすいことと、制度の変更などで多くの場合ソフトウエアの更新を自分で行わなくてはならないことになります。国保連への請求もご自分の事業所から直接行わなくてはいけません。
事業所のパソコンの故障などが起きると情報が損傷しますから、バックアップなどの対策が必要になります。
ASP型
インターネット回線を用いて介護ソフトを利用します。
大きなメリットは、ソフトウエアの更新等はすべてソフトウエア会社の方で自動的に行ってくれることです。
また、導入するサービスによって価格が変動します。サービスの組み合わせにより比較的低価格から使用できるソフトウエアもあります。このため、小規模事業所や創業したばかりの事業所に使われることが多いです。月々の利用料金にメンテナンス費用を含んでいる商品と、オプションとして別価格で用意している商品と様々ですのでよく検討されると良いでしょう。
国保連への請求は、ソフトウエア会社に代理で依頼することも可能です。データの保管はソフトウエア会社で行われます。このためパソコンの故障等でもトラブルになりにくいこともメリットです。
デメリットとしては、通信環境の悪化や使用するパソコンのバージョンによっては、動きが悪くなることがあることです。特に事業所内でのパソコンのバージョンが古い場合は、要注意です。
また、セキュリティー対策としてパスワード管理などが重要になります。
介護ソフトウエアの導入コストについて
介護ソフトウエアが開発された当初は、数百万するなど非常に高額な商品でした。
ところが、中小の介護事業者とソフトウエアを開発する会社の増加により、高額な商品から月々数千円での利用が可能なものまで、様々な価格帯のものが販売されています。
大規模な事業所の場合はパッケージ型のソフトを導入し、事業所用にアレンジを行っても良いでしょう。創業間もない小規模の事業所の場合は、まずは比較的低コストな介護ソフトウエアを導入し、ご利用者の増加やサービスの追加に伴い、多機能なソフトへの乗り換えを考えるのも一つでしょう。
パッケージソフトの場合は商品として購入する形になりますが、ASP型(クラウド型)のサービスの場合は、月々の利用料金を支払ってサービスを利用する手数料型になります。
どちらが有利ということはありませんが、会計処理での勘定科目が変わってきます。
コストも大切ですが、提供されるソフトウエアの質によってかなり使い勝手が変わってきます。金額面だけで選ぶと、後々苦労しますので注意しましょう。
介護ソフトウエアの減価償却方法について
ソフトウエアの減価償却年数
- 研究開発や販売用に作成されたもの 3年
- それ以外のもの 5年
介護ソフトウエアの場合は「2それ以外のもの」に当てはまると考えられます。このため、5年間の減価償却が可能です。
この場合、対象となるのは「パッケージソフト型」のソフトウエアです。勘定科目「ソフトウエア」として記載されます。
「ASP型」は、利用料を支払っての使用になるため「通信費」や「雑費」として勘定科目には計上されることが一般的です。
パッケージ型と言っても10万円以下の商品購入の場合は、「消耗品費」として計上するのが一般的です。
また、どちらのサービスでもメンテナンス費用などの支払いは「諸会費」「支払手数料」として計上されます。このため、介護ソフトウエアを減価償却する場合は、主に高額なパッケージソフトを購入した場合になります。
介護ソフトウエアの耐用年数について
ソフトウエアの耐用年数は、介護ソフトウエアとして利用する場合は5年になります。
とはいえ、ソフトウエアはアップデートや更新を繰り返されるものですから、5年前のソフトウエアを更新もせず、そのまま使用し続けているという状態はほとんど考えられません。
ASP型の場合は、利用を続けていく限り更新されていきますから、耐用年数という概念には当てはまりません。
まとめ
ここまで介護ソフトウエアについてまとめてみました。
介護業界は慢性的な人手不足であり、効率的な業務を行うために介護ソフトウエアの導入を真剣に考えることは不可欠です。
ただし、ご自分の業務に適応しないソフトウエアを購入してしまっては、金額に関わらず不都合なことが多くなります。
ソフトでどのような業務を効率化したいのかを考える際に、【ASP型の介護ソフト「カイポケ」】の資料から考えてみてはいかがでしょうか。
この記事を読んで失敗のない介護ソフトウエアを選んでいただければ幸いです。