介護事業者の皆様。今回は総合事業に関する記事です。新しい制度の理解は本当に大変な事と思います。制度については理解するほど、色々な疑問等が生じている事と思います。そこで今回は各市町村での総合事業説明会で事業者の方々から挙がったものや厚労省が出しているQ&Aからピックアップして分かりやすくまとめました。ぜひ一読し、総合事業の理解を深めてください。
総合事業Q&Aについて、次の区分によりまとめています。 なお総合事業の指定権者は各市町村にあるため、市町村ごとの実情により、総合事業実施の詳細に差異があることを念頭において、業務の参考にしていただければと思います。
総合事業全般
総合事業おける事業対象者の支給限度額に関する質問が多いようです。
質問内容
→支給限度額は従来の要支援1や要支援2と同様の額なのか?また、限度額を超過した場合は全額負担なのか?
回答の要約及び説明
→国のガイドラインで示す「予防給付の限度額を目安」に基づいて限度額を定めている場合が多いです。ちなみに要支援1:5003単位、要支援2:10423単位事業対象者は5003単位が基準となるため、限度額を超過した場合は全額負担となるので、要支援2の認定を受ける必要が出てきます。
サービスの暫定利用に関して
質問内容
→要介護(支援)申請をして、その結果が出るまでの間の総合事業サービスを暫定的に利用できるのか?
回答の要約及び説明
→基本的に暫定のケアプランが必要となる。たとえば、要支援の認定が出る見込みで介護予防給付サービスの利用をする場合は暫定のケアプランが必要となります。介護予防給付と総合事業の併用もできます。この場合の給付管理については併せての限度額管理となります。
※しかし、要介護認定の暫定プランにより、介護給付のサービスを受けている場合は介護予防・生活支援サービス事業(第1号事業)は利用できません。
※事業対象者となると同時に要介護(支援)認定申請を行うことも可能です。
基本チェックリストの判定次第では検討されることもあります。この場合の使用するサービスの取り扱いについては次のとおりです。
①認定結果がでる前にサービスの利用を開始していた場合~認定結果が要介護1以上であったとしても、認定結果以前に利用していた分のサービス報酬は総合事業から支給。
②事業対象者としてサービスの提供をされた後、要介護認定を受けた場合は~介護給付サービスの利用を開始するまでの間は事業対象者として取り扱う。
第2号被保険者に関する質問です。
質問内容
第2号被保険者がサービス事業の利用をする場合はどうすればいいのか?
回答の要約及び説明
→要支援認定を受ければ、該当するサービスは利用できる。
※第2号被保険者が認定を受ける場合は特定疾病に該当する場合ですので、該当しないサービス 項目もあります。総合事業の対象者は、次の表のとおりです。
介護予防生活支援サービス事業 |
一般介護予防事業 |
①居宅要支援者②基本チェックリストによりサービス事業対象者と判断された第1号被保険者 |
全ての第1号被保険者及びその支援のための活動に関わる者※この事業では第2号被保険者は想定されていないです。 |
訪問型サービス
訪問型サービスの提供時間に関する質問です。
質問内容
→サービス提供時間は基本的には従来どおりと変わらないのか?
回答の要約及び説明
→基本的には従来の介護予防訪問介護の提供時間の考え方と同様です。利用者ごと、その状況によりサービス計画が設定されます。このため上限や下限はありません。
ちなみに訪問型サービスAの場合では45分~を基準に提供時間を定めているところが多いようです。
質問内容
現行の介護予防訪問サービスと訪問サービスAの同一時間帯の利用はできるのか? ☆回答の要約及び説明
→原則的に利用できません。国の定める報酬単価を超えることになるので2つの訪問サービスの併用はできません。
訪問介護の特定事業所加算に関する質問です。
質問内容
→緩和した基準によるサービスに従事した時間は、 訪問介護の特定事業所加算における訪問介護員等の要件である「介護福祉士等の割合」に含まれるのか?
回答の要約及び説明
→訪問介護員等要件の割合はあくまで「指定訪問介護事業所の訪問介護員等の状況により算定」となってます。なので、この質問にあるように緩和した基準によって、従事したサービスの時間は含まないと考えます。
通所型サービス
「通所介護」と「通所型サービスA」及び「従前の介護予防通所介護相当」のサービスと一体的サービスを行う事業所に関する質問です。
質問内容
→(上記のように)一体的なサービスを行う場合には、職員の割合はどのように算出すればよい?
回答の要約及び説明
→通所型サービスAの職員は含めないで、従前の介護予防通所介護に相当するサービスの職員は含めて、職員の割合を算出します。
質問内容
→(上記のように)一体的なサービスを行う場合には、人員基準欠如についてはどうすればよい?
回答の要約及び説明
→本来必要となる、各サービスの職員数あるいは勤務時間の合計に対して、実際の数や時間が少ない場合は、サービスの提供や対応などに色々支障が出ることが考えられます。
そのため、この場合は各サービス事業所が人員欠如の扱いとなりますので減算の扱いとなってしまいます。ちなみに通所型サービスAの減算⇒市町村の定める減算の扱いとなります。
機能訓練指導員の兼務に関する質問です。
質問内容
→「通所介護」と「介護予防通所型サービス(現行相当サービス)」及び「介護予防運動機能向上デイサービス」を一体的に行う場合、通所介護の個別機能訓練加算Ⅱに係る機能訓練指導員は、「介護予防運動機能向上デイサービス」の機能訓練指導員と兼務は可能?
回答の要約及び説明
→まず「個別機能訓練加算Ⅱ」は、その算定するうえでの要件として専従の配置を求められています。
なので「通所介護」の指導員が質問内容のパターンのように兼務をしたとしても、専従要件を通所介護で満たしているものとして取り扱われます。
介護予防ケアマネジメント
総合事業のケアプラン作成に関する質問です。
質問内容
→「介護予防・生活支援サービス事業対象者」や「総合事業のみを利用する要支援者」のケアプラン作成について介護予防支援事業所の担当職員が介護予防ケアマネジメントを行う事ができる?
回答の要約及び説明
→総合事業における介護予防ケアマネジメント(第1号介護予防支援事業)は地域包括支援センターが実施します。
地域包括支援センターの職員(保険師、社会福祉士、主任介護支援専門員)の他は、地域包括支援センターから事業の委託を受けている居宅介護支援事業所の介護支援専門員により実施することになっています。そのため、基本的に事業委託を受けていない事業所の担当は介護予防ケアマネジメントを行うことはありません。
基本チェックリストの実施時期に関する質問です。
質問内容
→要支援の任期満了が近づいているが、基本チェックリストの実施時期はいつ頃行うのか?
回答の要約及び説明
→実施時期についての規定は特にないです。回答の中では有効期間終了の概ね1カ月程度以内が適当ではないかという意見もありました。また、要支援認定の満了日前に基本チェックリストを行い、要支援認定を更新せずに事業対象者と してサービスを継続しようとする場合には、満了日の翌日に基本チェックリストを実施したとみなされます。
さいごに
今回は総合事業における皆さんの疑問等について、厚生労働省や市町村の総合事業Q&Aからピックアップして、少しわかりやすくまとめてみました。いかがだったでしょうか?今回紹介できたのは、ほんの一部で、まだまだ介護事業者の皆さんの疑問は尽きないことと思いますので、別な機会を設けて紹介していきたいと考えています。