コンビニやファミレスではよく見られるフランチャイズ展開ですが、介護業界にもフランチャイズの波が押し寄せて来ています。
そんな介護関連のフランチャイズにおける問題点と、問題への対処法をご紹介していきます。
介護フランチャイズの問題点
資金繰りが難しい
飲食業界のフランチャイズでは開店資金を抑えられる等のメリットも存在しますが、介護業界のフランチャイズにおいては、そういった支援が見込めない所がほとんどになります。
したがって、フランチャイズに加盟したとしても、新規開業にかかる費用は抑えられない傾向にあります。 フランチャイズであろうと都道府県や市町村の指定を受けなければ開業できませんので、基準を満たすように設備や人員の手配を行わなければなりません。
フランチャイズのブランドには頼れない
コンビニやファミレス、ラーメン店などのフランチャイズでは、ブランド自体に影響力があり、その名を冠しているだけで集客が見込めるというメリットがあります。
しかし、介護業界においては、ご利用者がブランドでサービスを選択する事は少ないため、ブランド力における集客の見込みが薄いと言えます。
本店からの制約が多く、独自のサービスが展開できない
フランチャイズにおいてはどの地域でも変わらないサービスを受けられるという事が魅力であり特徴なのですが、介護業界においては、近隣の競合サービスとの差別化を図らなければ集客の見込みは薄くなります。
前述したようにブランド力で集客が望めないのであれば、サービスの差別化で集客を図りたいのですが、それも制約によりできなくなってしまいます。
3年ごとに変わる介護保険法
介護保険法は適用されてからの歴史が浅く、高齢化社会の進行と介護業界の問題に対応するために頻繁に改正がなされています。
この改正の対応も本部の指示を待たなければならず、本部の対応が遅ければ遅いほど対応が後手に回ってしまいます。 近隣の競合サービスが素早く対応してきた場合に、この遅さが致命的な客離れの原因になってしまう恐れがあるのです。
介護フランチャイズでよく起こる問題・トラブル
売上予測などの不適切な事前説明
フランチャイズに加盟する際には事前に売上予測などの説明がありますが、実際は本部の営業不足等で、説明通りの収支にならないことがあります。
しかし、だからといって本部の営業マンが地域へ出向いて営業することはなく、自力での集客を行わなければたちまち破綻してしまいます。
しかも、売り上げが上がらなくとも本部へのロイヤリティは納めなければならず、経営をさらに圧迫していきます。
また、事前の売上予測と話が違うと、加盟店側が本部相手に訴えを起こすケースもあります。
解約時の違約金請求
売上予測などの事前説明と現実がかけ離れていたり、看板自体に集客力がなかったり、看板自体に悪評がついてしまった時などに、フランチャイズの解約をしようと思っても高額な違約金が発生してしまいます。 資金が潤沢にあるのならば良いのですが、資金繰りが厳しい場合は違約金が支払えず、ずるずるとロイヤリティを払い続けなければならないといった問題も起こっています。 加盟店側が契約違反を起こし、本部から違約金の支払いを求められて紛争になるといったケースの問題も起こっています。
守秘義務・競業避止義務に関する紛争
フランチャイズでは、加盟側に守秘義務・競業避止義務を負わせることが通例となっています。
これは企業のノウハウを流出させないためであり、加盟側がフランチャイズに見切りをつけて脱退し、独自に事業を展開しようとした際にトラブルとなりやすいのです。
中には、フランチャイズ脱退後の数年は同業種での事業を禁ずるような契約もありますので、事前に契約書をしっかりと確認し、トラブルが起こらないようにしておくことが重要です。
介護フランチャイズで起こる問題に対処するために
フランチャイズチェーンの情報をしっかりと集める
加盟勧誘の時点で、事前に本部側からの情報の開示が行われますが、その情報だけで加盟を判断するのは危険と言えるでしょう。
自身で他フランチャイズの情報を集めたり、既に加盟している事業所への聞き込みを行ったり、開示された情報と照らし合わせてみましょう。
集めた情報と、本部が開示する情報に食い違いが多ければ多いほど、そのフランチャイズに加盟する危険性が増すことになります。
開示された情報は書面で保管する
勧誘の際などに開示された情報は、必ず公式の書面で交付を受けておくようにしましょう。
後々トラブルになった場合に、書面がなければうやむやになってしまいます。事前の説明と食い違う部分等を、抗議する際は必ず必要になりますし、書面があれば有利になりますので、しっかりと保管しておくようにしましょう。
契約書の内容を理解する
前述した、違約金や守秘義務・競業避止義務に関する記述や、ロイヤリティの割合など確認すべき点はいくらでもあります。
万が一、加盟を解約する場合も考えてしっかりと検討を重ねておかなければ、後々にトラブルとなってしまう可能性があります。
トラブルが起きてしまったら、自身だけで解決を目指すのは得策ではありません。第三者を介入させましょう。
トラブルの相手はフランチャイザーであり、こちらは一個人でしかないケースが多く、法的知識や資金力に大きな差があります。
場合によっては良い様に丸め込まれてしまうことも起こりうるので、弁護士や法律家などに相談し、適切な対処を行うようにするべきでしょう。
まとめ
一見すると、自身で新規事業を起こすよりも安全に見えるフランチャイズですが、介護業界においては、さほど有利には働きません。
もちろん優良なフランチャイズであれば加盟する価値も高いのですが、中には実績もノウハウも少ないフランチャイズもあるようで、自身での情報収集を怠ってしまうと痛い目を見てしまいます。
「自分で新規事業を立ち上げればよかった」ということにならないように、この記事を参考に、慎重に検討を重ねてから加盟する事をおすすめします。