介護支援ブログ

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新しい総合事業で何が変わる!? 介護事業所がすべきこととは

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平成27年度4月から始まった新しい介護予防・日常生活支援総合事業(以下、総合事業)、言葉はよく聞くけどあまり良くわからない。

 

そもそも新しい総合事業ってなに? 

実際の事業所運営にはどう影響があるの? 

1年経ったけどまだあまり実感がないけど? 

と思う方もいるかもしれません。

 

そんな方のために介護の新しい総合事業について詳しく解説します!

この記事は厚生労働省による「介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン」を基に作成しております。ガイドラインとは、厚生労働省によって示された全国共通の指導方針・目標です。総合事業は、市町村が中心となりその地域の実情に応じた施策を立てるため、そのローカルルールに適した事業所運営が重要となりますが、そのルールは、このガイドラインを基に作られています。

総合事業は今後知っていて当たり前となる制度ですので、一読することをお勧めします。

ガイドラインに関するQ&Aはこちら

 

 

総合事業とは

総合事業とは端的に言えば、保険者(市町村)が地域の高齢者の実情に応じて、必要な『生活支援』『介護予防』を『総合』的に行っていく事業のことです。

 

また、総合事業は、次の2つに分類されています。

  • 介護予防訪問介護等を移行し、要支援者等に対して必要な支援を行う
  • 第1号被保険者に対して、体操教室等の介護予防を行う一般介護予防事業

 

下の図は皆さんも一度は見たことがある地域包括ケアシステムの姿です。赤枠で囲われた生活支援・介護予防の部分が、いわゆる総合事業で行われるものです。

 

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[出典:厚生労働省 平成25年3月地域包括ケア研究会報告書]

 

事業構築の中心となるのは主に保険者(市町村)です。

 

ただし、地域ごとに抱えている課題は異なるため、事業を行うにあたり各自治体の自由な発想が重要となるでしょう。

そのため、すでに各自治体に根付いている社会資源(ボランティア、NPO、民間企業、協同組合等)をうまく活用し、総合事業の精度設計をしていく必要があります。

 

総合事業を理解するうえでのポイントは、市区町村が中心となり、地域の実情に応じた総合事業によるサービスを類型化、それにあわせた基準や単価等を定めるため、隣接している市区町村であったとしても、サービスの内容が異なってくるということです。

 

 

総合事業の背景

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総合事業を説明するにあたっては、地域支援事業の説明が必要となります。

地域支援事業とは、介護保険制度の事業の一つ(※)で、平成17年度の改正で導入、平成18年度から施行されました。「保険者である市町村が、要介護・要支援者に加え、地域の高齢者全般を対象に、地域で必要とされているサービスを提供する」という仕組みです。

 ※介護保険制度は、(1)要介護者(1~5)に対する介護給付、(2)要支援者(1・2)に対する予防給付、(3)地域の高齢者に対する地域支援事業という3つの構成になっています。

 

さらに上記に対して平成23年度に改正が加えられ、「市町村の選択により、地域支援事業において、要支援者・2次予防事業対象者向けの介護予防・日常生活支援に資するサービスを総合的に実施できる事業」として総合事業が創設されました。

 

そして平成27年度改正では、地域包括ケアシステム構築の重点化と効率化のため、全国一律だった予防給付(訪問介護・通所介護)を、市区町村が取り組む地域支援事業に移行させることになりました(いわゆる「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」 )。

 

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[出典:厚生労働省 平成26年7月28日全国介護保険担当課長会議資料]

 

平成27年度の改正によって誕生した、いわゆる「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」とは、上記図の緑の部分のことを示しています。

 

つまり、今まで地域支援事業で行われていた要支援・要介護以外の地域の高齢者に対するサービスに加え、介護予防訪問介護・通所介護の対象者を取り込み、多様なサービスを展開する事業へと移行されました。

 

総合事業の財源

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あわせて、総合事業の財源について解説したいと思います。

総合事業の財源構成は先ほどの図表左に記載されているように、

  • 国:25%
  • 都道府県:12.5%
  • 市区町村:12.5%
  • 第1号被保険者:22%
  • 第2号被保険者:28%

という財源内訳となっています。訪問・通所予防給付事業が総合事業へと移行した後でも捻出される財源やその比率に変わりはありません。

より細かく解説すると、第一号被保険者とは65歳以上の高齢者を指し、自身の所得や世帯等周辺の状況から納める保険料が変動します。第二号被保険者とは40~64歳の全員を指し、40歳になると65歳まで第二号被保険者として保険料を納めることとなります。

これら被保険者の納税額と国・都道府県・市区町村からの財源の合計が総合事業における介護保険料となります。

事業所としては、利用者による自己負担額(1,2割)および介護保険料(総サービス料-自己負担額)が給付されます。

 

また、総合事業(図表緑枠)、包括的支援事業、任意事業の3事業によって構成される地域支援事業ですが、包括的支援事業と任意事業の財源構成は先ほど紹介した総合事業の財源構成とは異なります。

こちらも図表左に記載されている通り、

  • 国:39.0%
  • 都道府県:19.5%
  • 市区町村:19.5%
  • 第一号被保険者:22%

という財源内訳となっています。

 

総合事業の目的・考え方

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総合事業の目的は「保険者が中心となって、地域の実情に応じて、住民等の多様な主体が参画し、多様なサービスを充実することで、地域の支え合い体制づくりを推進し、要支援者等に対する効果的かつ効率的な支援等を可能とすることを目指すもの」とされています。

 

また、基本的考え方としてはおおまかに以下の3つがあります。

  • 多様な生活支援の充実として、住民主体の多様なサービスを支援の対象とするとともに、NPO、ボランティア等によるサービスの開発を進める。
  • 高齢者の社会参加と地域における支え合い体制づくりを行い、活動を通して高齢者自身の生きがいや介護予防等ともなるため、積極的な取組を推進。
  • 共生社会の推進として、多様な人との関わりが高齢者の支援にも有効で、豊かな地域づくりにつながっていくため、要支援者等以外の高齢者、障害者、児童等がともに集える環境づくりに心がけることが重要。

  

総合事業の狙い

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総合事業の一番の狙いは社会保障費の抑制です。予防給付の訪問介護や通所介護を総合事業に移行していることからも想像できるとは思います。第一の目的は以上となりますが、その他の狙いとして下記1~4があります。

 

1.介護労働力の確保

高齢者自身にボランティアとして働いてもらい、さらに、団塊の世代が介護する側に回って、介護のことを考えてもらうことができる(自分が介護を受ける際の選択肢を広げる)。

 

2.健康寿命の延伸

高齢者自身が社会参加することで、多様な方と触れ合うことで引きこもりを防ぎ、いつまでも元気で過ごすことができるため、結果的に健康寿命が引き延ばされる。

 

3.サービス購入に対する価値観の変革

総合事業のサービスを利用した際の利用者負担額は保険者(市区町村)が決めることができる。必ずしも1割負担でなくても良いため、サービスを受けるにあたり介護保険よりも高い費用を払う感覚が当たり前になる。そのため、高齢者自身が介護保険制度に甘えることなく自助(自分に対するサービスを自分のお金で買うこと)の意識が芽生える。

 

4.要支援者、軽度者(要介護1~2)のサービスを総合事業に移行する

総合事業のサービスがうまく機能すれば、例えば訪問介護における軽度者の掃除や洗濯などの生活支援サービスを全て総合事業に移行することが可能となる。

  

新しい総合事業よって何が変わるのか

具体的な影響

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では総合事業の開始によって何がどのように変わるのでしょうか。

 

事業者として一番大きな影響を受けるのが、予防給付の訪問介護と通所介護が総合事業へと移行されることでしょう。

 

保険者(市区町村)ごとに開始時期は異なりますが、早い所では平成27年4月から開始されています。また、遅くとも平成29年度末までにすべての保険者(市区町村)が移行させなければなりません。

 

サービス事業者の事業参入

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介護予防訪問介護等の移行について、厚生労働省は保険者(市区町村)に対して次のように示しております。

 

「要支援者等の多様な生活支援のニーズに対して、総合事業により多様なサービスを提供していくためには、市町村が中心となって、その地域の実情に応じて、総合事業によるサービスを類型化し、それに併せた基準や単価等を定めることが必要である」

 

  そして次にあげるような事例に則り、各自治体がそれぞれの実情に併せて構築する。

 

◆事例:訪問介護について

  • 訪問介護 …現行の指定事業者が行う。基準、内容等に変更なし
  • 訪問介護A …新規の事業者も加え、新たに市町村の指定を受けて実施する。基準は現在より緩くするものの、生活介護のみなどにする
  • 訪問介護B …住民主体の自主活動としての生活支援。資源は市町村の補助や助成など
  • 訪問介護C …保健師等による居宅での相談指導等。自治体が直接行うなど
  • 訪問介護D …移送前後の生活支援等

 

上記内容はあくまで厚生労働省が各保険者の参考になればと思って示した参考事例にすぎませんが、これをもとに事業参入について考えてみます。

 

事業者として参入できるのは、訪問介護と訪問型サービスAのみになります。ただし、訪問型サービスAの実施方法において、「事業者指定/委託」などとされている場合、シルバー人材センターに委託するなどしているところもあるため、地域によっては事業者の参入ができないところもあります。

 

また、訪問型サービスAに参入したとしても、現在の介護予防訪問介護より報酬単価を安く設定される公算が大きいため、安易な参入は経営をひっ迫させるもとになると言わざるを得ません。

 

ただし、参入しなければしないで、訪問型サービスAを利用していた利用者が将来要介護となった場合、すでに事業に参入している事業者に先に囲われてしまう可能性が高いため、新規顧客獲得の機会損失になってしまうというジレンマを抱えることとなります。

 

一般介護予防事業

総合事業の大きな分類の二つ目である一般介護予防事業は、5つの事業に分類されています。

 

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[出典:厚生労働省 介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン(概要)]

 

一般介護予防事業は、次のようにイメージするとわかりやすくなります。

 

 

「自立の高齢者~要介護者を対象とした、介護保険外サービス」

 

上記のように書いてしまうと、ただの民間企業のサービスのように思えるかもしれません。ただし、これには落とし穴があります。そのような民間企業のサービスは、必ずしも全国一律に供給されるわけではありません。ビジネスになりますので当然、需要が少ない所には採算割れの危険を冒してまで展開をしませんし、対価を支払えない人を対象にすることもないでしょう。

 

  そのため、先述したように、総合事業では市区町村が中心となって、地域の実情に応じて、多様な主体が参画し、多様なサービスを充実させ、地域の支え合い体制をつくることとなります。つまり、総合事業の開始によって、事業者も「多様な主体」の一員として、どのようなサービスを提供していくかを考えることが大切です。

 

 

事業者がするべきこと

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  • 要支援者等に対して必要な支援を行う事業に参入するべきかどうかを考える

先述したように、総合事業は以下の2つに分類されています。

 

1.介護予防訪問介護等を移行し、要支援者等に対して必要な支援を行う

2.第1号被保険者に対して、体操教室等の介護予防を行う一般介護予防事業

 

 

まずは上記2つの事業を理解し、リスクを考えたうえで、事業に参入するべきか否かを考えるべきです。

 

ただし、一部の保険者では(1)の事業を委託などで指定しているため、望んだところで参入できない保険者もあるので注意が必要です。

 

先述したように、厚生労働省が出している参考事例をもとに考えると、「訪問型サービスA」に参入をしても、現在の介護予防訪問介護より低報酬になる公算が大きいため、事業者にしてみれば今と同じ時給でスタッフを配置した場合、採算割れするか今よりも利益率が落ちることは明白です。安易な参入をすれば経営をひっ迫させることになりかねません。

 

しかし、事業に参入しなければしないで、「訪問型サービスA」を利用している利用者が将来要介護となった場合、先に事業に参入している事業者に優先的に囲われてしまう可能性が高いため、新規顧客獲得の機会損失となってしまうというジレンマを抱えることになります。

また、財務省が出している資料や、厚生労働省の考えとしても、将来的に要介護1・2の軽度者について地域支援事業へ移行する考えを持っています。

 

そうなった場合、事業者としては事業に参入していないことが致命的になる可能性が高いです。

 

このように考えると、要支援者等に対しての地域支援事業については参入をせざるを得ないといえるでしょう。ただし、先述したように「訪問型サービスA」の実施方法が「委託」となっている場合は、事業参入の決定権は保険者が持っているため、参入したくてもできない可能性があることを忘れてはいけません。

 

その場合は嘆いていても仕方ありませんので、一般介護予防事業に参入するべきか否かを検討するべきです。

 

  • 体操教室等の介護予防を行う一般介護予防事業に参入するべきかどうかを考える

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厚生労働省が出している生活支援・介護予防サービスの提供イメージ(下図)を見てみると、外出支援、食材配達、安否確認、交流サロン、移動販売など、介護保険分野に留まらず、様々なサービスがあげられています。

 

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[出典:厚生労働省「多様な主体による生活支援サービスの重層的な提供」]

 

一般介護予防事業は、分類の一つ目である「(1)介護予防訪問介護等を移行し、要支援者等に対して必要な支援を行う」事業とは異なり、事業参入するかしないか、どんな事業を行うかを事業者自身が決められます。

 

ただし、サービス利用料が公費と利用者自身の自己負担だったのに対して(介護保険と似たような仕組み。保険者7割負担、利用者3割負担など)、一般介護予防事業は全額利用者の自己負担となります。

 

もちろん、保険者が一部全額公費を使ってサービスを委託するなども考えられますが、それを期待するくらいならこの事業への参入は見送ったほうが良いでしょう。

 

この事業に参入する場合は、地域の高齢者のニーズをキャッチアップし、価格帯などのターゲットをきちんと絞り戦略的に行わなければなりません。ただ何となく、介護保険外サービスの延長で事業を行っても成功する確率は低いでしょう。

 

総合事業にかかる住所地特例で気をつけるべきこととは

この改正は総合事業に移行している市区町村のみならず、全ての施設が対象であることに十分注意しましょう。

 

平成27年4月の住所地特例に関する改正をご説明する前に、以前までの住所地特例を踏まえ基礎知識について紹介したいと思います。

 

住所地特例とは

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今日の日本では、住民基本台帳に記載された住所に沿って保険者―被保険者関係が決定します。原則として、被保険者が介護サービスを利用した場合、保険者に対して各種手続きがなされることとなります。これは被保険者が利用した施設の所在地が、保険者市区町村の外にある場合でも同じです。

しかし、このルールを継続するとある介護施設に対して問題が起こります。

それは、介護付き有料老人ホームや養護老人ホームなど、入居・入所することで介護利用者の住む場所を変えてしまう施設です。これらの施設に入居・入所するために住民票を写した場合、上記のルールでは新たに保険者―被保険者の関係となった市区町村に対して各種手続きがなされることとなります。この手続きにはもちろん、介護報酬に関する手続きも含まれており、何も基準がなければ介護付き有料老人ホームや養護老人ホームが多い市区町村の財政を過剰に圧迫することとなってしまいます。

この問題点を解消するために設けられた仕組みが住所地特例です。

住所地特例とは、ある一定の施設に引越しをするために住民票を変更した場合、変更前の住所にかかる市区町村を保険者とみなす、といった制度です。

この定められた施設を住所地特例対象施設と呼び、大きく分けて3つに分類されます。

  • 介護保険施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)
  • 特定施設(有料老人ホーム、軽費老人ホーム、)
  • 養護老人ホーム

そして、住所地特例に当てはまる被保険者のことを、住所地特例対象者と呼びます。

 

平成27年4月以後の住所地特例

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平成27年度の改正では、上記の住所地特例対象施設に対して、新しく「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」が加わることとなりました。(正確には特定施設内に分類されます)。

また、全てのサ高住が対象ではなく、以下の条件を満たしたサ高住のみが対象です。

  • サ高住の登録申請を済ませ、特定施設入居者生活介護の指定を受けること
  • 有料老人ホームで行われるサービス(介護、家事、食事、健康管理のいずれか)を提供していること
  • 当該利用者との契約形態が利用権方式であること

 

また、平成27年4月以降では、以前に既に条件を満たしているサ高住のうち地域密着型特定施設に当てはまらないものは特定施設として分類され、住所地特例の対象となります。ただし、3月末日までにその住宅に入居していた方は住所地特例の対象外です。

 

住所地特例に関する事務の見直し

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続いて、住所地特例制度の改正を受けて、介護施設として注意すべきことについて記載したいと思います。

 

・サ高住における住所地特例対象者について

今回の改正においての対象者は、平成27年度4月以降に入居した方になります。以前から入居している方は対象になりません。

 

・住所地特例対象者が地域密着型サービス利用する場合

この場合、原則として対象者が利用している施設にかかる市区町村によりサービスの指定が行われます。もし指定がない場合には、施設転居以前の市区町村が指定することも可能です。

 

・住所地特例対象者が介護予防支援事業を利用する場合

この場合、対象者が利用している施設にかかる市区町村が指定した介護予防支援事業者のサービス提供が行われます。

 

・住所地特例対象者が地域支援事業を利用する場合

この場合、施設が所在している市区町村がサービスを提供します。地域支援事業には総合事業も含められており、転居前の市区町村では円滑にサービスを受けることができないことが想定されるからです。

しかし、任意事業に関しては、転居前の市区町村でも提供できるようになっており、そちらを望まれるようであれば融通を利かせることも可能なようです。

 

総合的な注意事項として、住所地特例対象者にかかる提出書類や請求先が挙げられます。上記をご覧になればわかるように、対象者が受けることができるサービスがかなり多様化します。施設としてはそれぞれに対して所定の管轄に連絡し、書類提出し、保険額を請求することが求められています。

また、冒頭で記載したとおり今回の改正による手続きは、総合事業に移行している市区町村のみならず、全ての施設が対象であることに十分注意しましょう。

 

詳しい事務の見直し事項についてはこちらをご覧ください。

「WAM NET 住所地特例に係る事務の見直しの概要について

 

介護保険外サービスの好事例集

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平成28年3月31日に厚生労働省、経済産業省、農林水産省の3省が協力して、事業者及び地方自治体が公的介護保険外サービスを創出・活用するにあたって参考となる事例やノウハウを記載した『保険外サービス活用ガイドブック』というものを出しました。

 

よくある一般的な見守り、食事、買い物といったところだけでなく、旅行・外出や趣味なども含めた幅広い領域の事例を取り扱っています。

 

また、「加齢によってできなくなったことをカバーする事業」もさることながら、介護予防や介護状態の改善につながるもの、「ゼロからプラス」の喜びや楽しみにつながる、つまりQOL の向上に寄与するサービスを積極的に取り上げています。

 

これらの事例は総合事業が始まったから何かしなくてはいけないではなく、サービスを必要としている人達がおり、そのサービスを商品として売れるという発想のもとにつくられています。         

 

総合事業への参入は事業戦略の起点

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ここで大切な考え方となるのは、“介護保険制度がなかった場合に、みなさんは地域の高齢者に対してどんなビジネスを考えるか”ということです。

 

今後の制度改正等を考えると、報酬単価が上がる可能性は低いと思われます。平成27年度改正同様、一人当たりの客単価が下がると考えれば、介護事業者が生き残るためには規模の拡大化が必須となります。また、軽度者に対する給付の見直しからもわかるように、軽度のみのサービス提供では介護事業経営は成り立たなくなります。

 

つまり、総合事業に参入して多様なサービスを展開することにより、要介護以外の高齢者を取り込むことは規模の拡大化につながり、収益拡大のチャンスにもなります。当然、事業の柱である介護事業にも大きく影響を及ぼすため、経営戦略への起点となります。

 

事業者として、今後地域で必要とされるためには、どんな事業を展開していくべきか、戦略的に考える必要があるでしょう。

 

総合事業について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

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