歩行器や車いす、ベッドなど、利用者の自立サポートや介護の負担を軽減するための福祉用具の貸与を行う福祉用具貸与事業。
他サービス種と同様、開業の際には、自治体の指定を受ける必要があります。本記事では、福祉用具貸与の指定申請について説明していきます。
福祉用具貸与の指定申請とは?
福祉用具貸与を開業するには、都道府県または市区町村(政令指定都市や中核市)で福祉用具貸与事業者として指定を受ける必要があります。
そのために行う申請が「指定申請」です。
指定の有効期限は6年で、有効期限満了日後も事業を継続する場合には更新の手続きを6年ごとに行う必要があります。
指定基準
指定申請を行うにあたり、下記3つの基準を全て満たしている必要があります。
人員基準
常勤換算法で2名以上の福祉用具専門相談員、事業所ごとに常勤専従で1名の管理者が必要となります。
福祉用具専門相談員には、看護師、准看護師、介護福祉士、義肢装具士、保健師、作業療法士、理学療法士、社会福祉士、福祉用具専門相談員の指定講習修了者がなることができます。
また、管理者は常勤専従とありますが、管理上の支障がない場合、同事業所の他業務や、同敷地内にある他事業所・施設などの業務に従事できます。
設備基準
福祉用具の保管や消毒に必要な設備、器材、事業運営を行うために必要な広さを確保します。
運営基準
専門相談員は次のような方針(一部要約)に従って、サービス提供を行う必要があります。
- 利用者の心身や状況、希望や環境を踏まえて適切に選定する。
- 利用者が適切な福祉用具の使用をできるよう相談に応じ、使用方法や利用料などの情報を提供する。
- 貸与する福祉用具の機能や安全性、衛生状態に関して点検を行う。
- 貸与する福祉用具の調整、貸与後の使用状況に応じての指導や修理を行う など
指定申請の申請書類
新規の指定申請にあたり、各種書類が必要となります。
これは各自治体によって異なりますが、ここでは東京都八王子市を例に見てみましょう。
- 建築物等に係る関係法令確認書 に記載された各所管への申請前確認
- 指定居宅サービス事業所指定申請書
- 指定福祉用具貸与事業所の指定に係る記載事項
- 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
- 雇用契約書(写)または、辞令(写)等
- 福祉用具専門相談員資格者証(写)
- 就業規則(写)
- 管理者の経歴書
- 組織体制図
- 申請者の定款、寄付行為(原本証明付)
- 登記事項証明書(原本)
- 事業所の平面図
- 外観及び内部の様子がわかるカラー写真
- 運営規定(料金表等含む)
- 利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
- 法人代表者等誓約書
- 役員名簿
- 保管、消毒(標準作業書)
- 保管・消毒に係る委託誓約書
- 当該申請に係る資産の状況決算書(貸借対照表および損益計算書等)
- 事業計画書
- 収支見込みシミュレーション
- 建築物等に係る関係法令確認書
- 損害保険証書等の写し
- 介護給付費算定に係る体制等状況一覧
(出典元:東京都八王子市 新規指定申請提出書類一覧)
福祉用具貸与の指定申請の注意点
指定申請の申請受付期間は各地方自治体によって異なりますが、「前月の10日まで」「毎月1〜15日」などが一般的です。
担当部署に事前確認し、余裕をもって申請することをおすすめします。
書類提出後に書類の確認が行われ、翌月1日などに指定申請が認められる場合がほとんどです。
また、申請から指定を受けるまでには、2週間〜1カ月ほど期間を要します。
これも地方自治体によって異なりますので、確認の上、余裕をもって申請を行いましょう。
まとめ
福祉用具貸与の指定申請についてご理解いただけましたでしょうか。
指定申請等の事務作業はサポートを受けて簡略化し、事業戦略や人員採用に時間と労力を割くことが開業前のポイントかと思います。