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訪問看護の運営基準とは?

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介護保険だけでなく、医療保険も取り扱いのある訪問看護サービス。

2012年(平成24年)、他サービスの介護報酬が引き下げられる中、在宅医療の要となる訪問看護サービスの介護報酬は引き上げられました。

今回の記事では、そんな訪問看護の運営基準に関して詳しくご説明していきます。

一読し、今後の経営にお役立てください。

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訪問看護の運営基準とは

概要

訪問看護とは、主治医が認めた要介護者に対して、看護師等が居宅において、療養上の世話または必要な診療の補助を提供するサービスをいいます。

訪問看護のサービス基本方針は、要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限り、その居宅において、有する能力に応じて自立した日常生活を営むことができるよう療養生活を支援し、心身の機能の回復を目指すものでなければなりません。

サービス提供困難時の対応

訪問看護において、提供を拒否する正当な理由としては、利用申し込みに応じきれない場合と、利用申し込み者の居住地が当該事業所の実施地域範囲外である場合、そして、その他利用申し込み者に対して、自ら適切な指定訪問看護を提供することが困難な場合です。

このような場合、主治医及び居宅介護支援事業者への連絡を行い、適当な他の指定訪問看護事業者等を紹介するなどの必要な措置を速やかに講じる必要があります。

居宅介護支援事業者との連携

上記のように、なんらかの居宅でのトラブルをはじめ、利用者及びご家族が満足のいく形でのサービス提供ができるように、些細な事でも連絡報告を相互に行い合う必要があります。

健康手帳への記載

提供した訪問看護については、利用者の健康手帳の医療の記録に係るページに、必要な事項を記載しなければなりません。

健康手帳を持っていない場合はその限りではありませんので注意が必要です。

健康手帳とは:老人保健法の医療等以外の保健事業の1つで、40歳以上の人を対象として、市町村が交付する健康診査等の記録、医療の受給資格、医療の記録、医療の記録補足などの内容が盛り込まれているものです。

利用料等の授受

サービス提供をした際には、その利用者から、サービス費用基準額から居宅介護サービス費を控除した額の支払いを受けられます。

指定訪問介護の基本取扱方針の評価、改善等

訪問看護において、利用者の状態が利用開始時よりも悪くならないように、療養上の目標を設定します。

それにあたり、適切な看護プランの設定を行う必要があります。

また、そのサービス提供について自身が評価し、常に改善を図ることが重要です。

指定訪問看護の具体的取扱方針

訪問看護を実施する際は、利用者とご家族に対して、サービスの内容を分かりやすく説明するとともに、療養生活上必要な指導や助言を行っていきます。

また、サービス提供にあたっては、適切な技術をもって利用者の心身機能の維持、向上を目指すことが求められます。

管理者の主治医との密接な連携

管理者は、主治医の指示に基づいて適切な指定訪問看護が行われるよう管理をしなければなりません。

また、訪問看護の提供の開始に際し、主治医の医師による指示を文書で受ける必要があります。

さらに、主治医に訪問看護計画書及び訪問看護報告書を提出し、指定訪問看護の提供にあたって主治医との密接な関係を図らなければなりません。

訪問看護計画書及び訪問看護報告書の作成等

訪問看護を実施する看護師等は、主治医の指示やケアマネージャーが作成するケアプランの内容を踏まえ、訪問看護計画書を作成し、利用者に交付しなければなりません。

また、訪問看護の実施日、内容等を記録した訪問看護報告書の作成も義務付けられています。

同居家族に対する訪問看護の禁止

文字通り、利用者の同居家族に対しての訪問看護サービスを提供することは禁止されています。

緊急時の対応

訪問看護において、利用者の急変は珍しいことではありません。

仮にこのようなケースに遭遇した場合、必要に応じて臨時応急手当を行うとともに、速やかに主治医へ連絡し、指示を求めるなどの必要な措置をとることが義務付けられています。

運営規程の定めの設定

どの事業についても同様ですが、指定訪問看護事業所ごとに、次の運営についての事項を定めなければなりません。

  1. 事業の目的及び運営の方針
  2. 従業者の職種、員数及び職務の内容
  3. 営業日及び営業時間
  4. 指定訪問看護の内容及び利用料その他の費用の額
  5. 通常の事業の実施地域
  6. 緊急時等における対応方法
  7. その他運営に関する重要事項

従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録の整備と記録の保存義務

訪問看護事業所は、従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録を整備しておかなくてはなりません。

また、次に掲げる記録を整備し、完結日から2年間保存しなければなりません。

  1. 主治医による指示文書
  2. 訪問看護計画書
  3. 訪問看護報告書
  4. 提供した具体的なサービス内容等記録
  5. 市町村への通知に係る記録
  6. 苦情の内容等の記録
  7. 事故の状況及び事故に際してとった処置についての記録

基準上は諸記録を少なくとも2年間保存する義務があるが、利用者や保険者からの照会に対応するため、介護報酬に係る記録も含め、完結日から最低5年間は保存する必要があります。

また、指定訪問看護事業所が、保険医療機関である場合は、整備すべき記録のうち、指示書、訪問看護計画書及び訪問看護報告書については、診療記録の保存でも差支えません。

もし、利用者に対する指定訪問看護の提供により、賠償すべき事故が発生した場合には、損害賠償を速やかに行わなければなりません。

まとめ

今回は、訪問看護の運営基準について、出来るだけ簡潔にご紹介させていただきました。医療機関の患者の在宅復帰の促進を背景に、在宅要介護者の重度化が懸念され、訪問看護のニーズはさらに高まることが想定されます。

このことから、将来的な訪問看護従事者の増員を図るべく、病院または診療所からの訪問看護の供給量の拡大を促し、同時に、病院看護職に対しての教育による訪問看護職育成を推進するため、病院または診療所からの訪問看護の報酬の見直しを求めることが増えています。

 

実際、訪問看護ステーションに就業している看護職員は、全看護職員のたった2%であり、ほとんどが病院で勤務している実態があります。  

このような実態を改善し、訪問看護現場への看護師の移行がいち早く進むためには、きちんとした運営を行い、働きやすい職場であることをアピールすることが求められています。

訪問看護事業を立ち上げようと考えている方は、今一度、従業員を集めるためにはどのように立ち回ればいいか一考してみてはいかがでしょうか。

 

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運営基準について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

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