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重度訪問介護における特定事業所加算とは?算定要件などを解説

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重度介護者を受け入れる事業所によっては、得なくてはならない重要な加算のひとつである特定事業所加算。

今回は、重度訪問介護における特定事業所加算についてまとめていますので、是非参考にしてください。

コスト

重度訪問介護における特定事業所加算とは?

まず、重度訪問介護についてです。 対象になる方は、重度の肢体不自由または重度の知的障害もしくは精神障害により、行動上困難を有する障害者であって、常時介護を要する方が対象です。

障害支援区分が4以上であって、次の2つのいずれかに該当する方になります。

  1. 次の(一)(二)とのいずれにも該当する
    1. 二肢以上に麻痺等がある
    2. 障害支援区分の認定項目のうち「歩行」「移乗」「排尿」「排便」のいずれも「支援が不要」以外と認定されている
  2. 障害支援区分の認定調査項目のうち、行動関連項目等の合計点数が10点以上

※一部例外は除く

 

重度訪問介護における特定事業所加算も、居宅、訪問介護の特定事業所加算と同様、3種類の加算が設けられています。

種類、要件、単位数については下記にまとめておりますのでご参照ください。

 

この背景には、「施設」から「地域生活」への移行の推進があります。

重度介護者を受け入れる体制を整備していくことが、その人が地域で住みやすくなる第一歩でもあるため、居宅介護や生活介護だけでなく、こういった受け皿の整備も進められています。

しかし、実情として、それを支えるマンパワーの確保が十分でないのも現実です。

Ⅱ加算(Ⅰ)の(1)~(6)まで掲げる基準のいずれにも適合し、かつ、(7)又は(8)及び(9)のいずれかに適合する10%Ⅲ加算(Ⅰ)の(1)~(6)まで及び(10)に掲げる基準のいずれにも適合する10%

種類 要件 単位数
次に掲げる基準のいずれにも適合すること
  1. 全ての重度不問介護従業者に対し、重度訪問介護従業者ごとに研修計画を作成。当該計画に従い研修を実施すること
    1. 利用者に関する情報、サービス提供にあたっての留意事項の伝達又は、十行書における重度訪問介護従業者の技術指導を目的とした会議を定期的に開催すること
    2. サービス提供に当たっては、サービス提供責任者が利用者を担当する重度訪問介護従業者に対して、利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項を文書などの確実な方法により伝達してから開始するとともに、サービス提供終了後、担当する重度訪問介護従業者から適宜項目を受けること
  2. すべての重度訪問介護従者に対し、健康診断等を定期的に実施すること
  3. 緊急時等における対応方法が利用者に明示されていること
  4. 新規に採用した全ての重度訪問介護従業者に対し、熟練した重度訪問介護従業者の動向による研修を実施していること
  5. サービス提供にあたり、重度訪問介護従業者の24時間派遣が可能となっており、現に深夜帯も含めてサービス提供していること
    1. 重度訪問介護従業者の総数のうち、介護福祉士の占める割合が30%以上
    2. 又は、介護福祉士、介護職員基礎研修課程を修了した者及び、居宅介護従業者養成研修1級課程を修了した者の占める割合が50%以上
    3. 又は、前年度、もしくは算定日が属する月の前3か月におけるサービス提供時間のうち、常勤のサービス提供時間の占める割合が40%以上
  6. 全てのサービス提供責任者が、3年以上の実務経験を有する介護福祉士又は、5年以上の実務経験を有する介護職員基礎研修課程修了者、もしくは1級課程修了者であること
  7. 1人を超えるサービス提供責任者を配置することとされている事業所では、常勤のサービス提供責任者2名以上を配置していること
  8. 前年度、もしくは算定日が属する月の前3か月における利用者の総数のうち、障害程度区分5以上であるものの占める割合が50%以上
20%

重度訪問介護における特定事業所加算の届出

重度訪問介護における加算の届出についてですが、生活介護における人員配置体制加算などと同様に、その事業所の属する市町村に対して、特定事業所加算に関わる届出書の提出が必要です。

内容については各市町村サイトにエクセルファイルや、PDFファイルがありますので、そちらのフォーマットにそって入力、提出するようにしてください。

概ね、どの市町村も体制要件(上記要件の上位項目)や、人員要件、サービス提供責任者に関する要件について記載するところがあります。

漏れがあると加算算定が出来なくなりますので注意してください。 また、それぞれの要件について根拠となる、研修計画書、研修資料、資格証等の書類も提出が義務付けられていますので、各自研修などを実施した際は保管しておくようにしましょう。

重度訪問介護における特定事業所加算の注意事項

重度訪問介護における特定事業所加算のよくある質問について下記に紹介します。

質問1
特定事業所加算の要件にもある「従業者の技術指導を目的とした会議」とは何?

→基本的に、サービス提供の責任者が主催して、サービス提供する人全員が参加しなければなりません。

しかし、一度に全員が参加する必要はなく、何回かに分けて開催する形が推奨されています。定期的とは、おおむね月に1回です。

自治体によっては例外を認めている場合があり、24時間365日、サービス提供を行っている事業所に関しては、毎月行う必要はありません。

適宜、必要と思われるタイミングで開催する形で構わないとすることもあります。

質問2
特定事業所加算の要件にもある「当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項」とはどのような内容?

→まず大切になってくるのは「利用者のADL(日常生活動作)の状況や、それを遂行する意欲」です。

根本的に、どの程度介助が必要なのかをわかっていないと、適切なケアが遂行できないのは言うまでもありません。

必要な分だけ、必要な時に介助を行うことが、その人のQOLを最終的に高めます。 また、「利用者の主な訴えやサービス提供時間の特段の要望」についても、きちんと傾聴する必要があります。

重度介助者の多くは、介助に対して受け身な方が多く、この個別に合わせたケアの部分が欠落してしまう事業所も多いため、利用者の訴えについては、直接本人から聞けずとも、ご家族からきちんと聴取した上でサービス提供に従事する必要があります。

その他、家族を含む周辺環境や、前月のサービス提供時の状況など、変化がある事項については記録をとっておく必要がありますので、注意してください。

質問3
重度訪問介護において、事業所外(例えば車内)で介護を行う場合、ヘルパー以外の別の資格が必要?
→これについては別段資格は必要ありません。
質問4
重度訪問介護において、3時間未満のサービス利用は可能?

→原則的に、1日3時間以上が基本ですが、請求そのものは3時間未満でも可能です。

しかしながら、重度訪問介護において、3時間未満の利用を求める声はほとんどありません。ご家族の介護負担や、スタッフの介護効率などを鑑みると、3時間未満の利用は、両者ともにメリットがあまりありません。

まとめ

今回は、重度訪問介護における特定事業所加算について紹介しました。

重度訪問介護は、重度の障害者を支える地域や、これから訪れるさらなる高齢化社会において、最も重要視されるべきシステムのひとつです。

しかし、実際のところ受け皿は増えてもそこでの従業者数が充足していないのが現実です。

そのため、介護業界での人員確保や障害福祉サービスと介護保険を同時に利用できる事業所の増加などが課題ではないでしょうか。

事業者の皆様は、重度訪問介護における特定事業所加算についてどのようにお考えでしょうか。 参考になりましたらシェアをお願いいたします。

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