昨今、超高齢社会に足を踏み入れ、徐々に在宅や、地域の施設において、重症度の高い高齢者の利用が増加してきています。通所介護事業者の方、中重度ケア体制加算を取得されている方はどの程度いらっしゃるでしょうか。要件が複雑でよくわからない、耳にしたことはあるけどほったらかしにしている方も多いのではないでしょうか。この記事では、中重度ケア体制加算について詳しく紹介していきます。今後にお役立てください。
中重度ケア体制加算とは
中重度ケア体制加算とは、通所介護事業所において一定の人員を確保し、かつ中重度(この場合は要介護認定3以上)の利用者の方を積極的に受け入れ、在宅でその人がその人らしく生活できるようフォローアップすることや、ご家族様の心的負担の軽減を図るため、継続的に取り組みのなされている事業所のそのサービスを評価するために作られた加算のひとつです。
中重度ケア体制加算を算定している事業所は中重度の要介護者であっても、地域社会に復帰しその人らしい生活が送れるように在宅生活をサポートするための計画を立て、それに即したプログラムの実践が義務付けられています。
加算をとるためには人員基準だけでなく、利用者の状態やその受け入れ割合、職員の業務体系など、一定の条件を満たす必要があります。
では、一定の条件とは、どのような条件を指すのでしょうか。下記参照してください。
中重度ケア体制加算の算定要件
① 看護職員または介護職員を常勤換算方法で、2以上確保している(通所リハは1以上)
ここの項目は満たすことが簡単ですが、あくまで、常勤換算での計算になります。よくある質問として、非常勤スタッフだと常勤換算にならないのかという質問がありますが、常勤換算方法というのは、全従業員が対象になります。そのため、パートや正社員などの雇用形態は一切関係ありません。常勤換算方法については下記の計算式を参考にしてください。
常勤換算人数=
常勤職員の人数+(非常勤職員の勤務時間の合計÷常勤職員が勤務するべき時間)
② 前年度実績または、算定日が属する前三か月の利用者の総数のうち、要介護3以上の利用者が3割
中重度ケア体制加算は、そもそもサービス提供に人員・時間が割かれる利用者の方に対してサービスを提供していることを評価するための加算ですので、一定数以上サービスを提供しているという実績が必要になります。そのための線引きとして、要介護3以上かつ利用者の3割という線引きがなされています。
③ その事業所でのサービス提供専ら従事できる看護職員を1名以上配置している。
専ら従事とは、「その業務の8割以上を行い、他に行う業務が勤務時間の2割程度未満」という解釈です。施設基準において「専ら」という表現は多いですが、一般的には、このような解釈でよいでしょう。この専らと定められている時は、他の業務をせずその業務について全うする責務がありますので注意してください。
この条件を満たさない限りこの加算は取得できませんので注意してください。また、この加算は事業所を利用する利用者全員に算定できるもので、認知症加算の算定要件も満たす場合は、中重度ケア体制加算の算定ともに、認知症加算も算定できます。
まとめ
今回は、中重度ケア体制加算について紹介させて頂きました。
医療技術の発展に伴い、寿命の延伸が期待されています。実際に、男女ともに寿命については延伸傾向にありますが、その反面、健康寿命が伸び悩んでいる背景があります。
さらに、介護が必要なレベルの高齢者が増加しており、こういった中重度ケア体制加算をとることができる事業所が増えてきています。適切なサービスと従業員のマンパワーを確保していく上でも、今一度、中重度ケア体制加算がとれる・とれないについて再考してみてはいかがでしょうか。
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中重度ケア体制加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。
(専門家監修:矢野文弘 先生)