はじめに
平成28年6月2日、ニッポン一億総活躍プランが閣議決定され、介護離職ゼロに向けた取組が実施されようとしています。
一見、介護職員への施策に感じますが、残念ながら介護職員が対象ではありません・・・!
しかし、介護職員には全く関係のない取組とも言い切れないのです。
介護職員の給与改善、介護事業所の職場環境改善だけでなく、細かな変更点にも気を配りたい内容となっています。
ということで今回は、介護職から見た「介護離職ゼロ」に向けた取組について解説したいと思います。
介護離職ゼロとは
「介護離職ゼロ」の真の目的は、身近な人の介護に徹することを理由に退職する会社員を減らそう、という取組です。
現在、このような理由で退職をする会社員は、年間10万人にのぼり、その多くは働き盛りである4.50代です。
少子高齢化が加速する現在、働き手が不足することを見越した策といえるでしょう。
具体的には、4点を軸に安心した社会保障の構築を目指しています。
働く環境改善、家族支援
[参考:厚生労働省 平成28年度予算PR版より]
1つ目の軸はこちら、介護を請け負うであろう家族を対象とした施策です。
介護に対する不安や、家族の認知症診断、仕事と介護の両立を支援する取組みが挙げられます。
上図のほかにも、現在定められている介護休業や介護休暇のより柔軟な取得を目指したり、介護休暇中の給与額の見直しが検討されています。(40%→67%)
健康寿命延伸に向けた取組み
続いてはこちら。
健康でいられる期間を延ばすことで、そもそもの介護必要者の人数を減らそうとする策といえるでしょう。
具体的には、ICTを駆使したデータヘルスによる生活習慣病の重症化の予防など、1つの事業所や家族、地域だけでなく、包括的な横のつながりの強化を図っています。
高齢者等の所得全体の底上げ、地域づくり
3点目です。
65歳以上の高齢者や障害者向けの雇用機会を増大させ、働くことによる健康、安心して働くことのできる地域づくりを目指しています。
より長く、生きがいを持って働くことのできる「生涯活躍のまち構想」をテーマに掲げています。
介護職員への影響
ここまでご覧になった方の中に
介護職員にとってメリットはないのでは??
このように感じた方がいるかもしれません。
たしかに、「介護離職」が減ることは、裏を返せば介護職員の負担になり得ますし、
病気や怪我の予防や健康づくりを推進したとしても、すぐに効果が表れることはないでしょう。
そこで、最後の4つ目の軸では、介護サービスの今後の在り方が示されています。
必要な介護サービスの確保
2025年に起こると推測されている超高齢者社会に向けた、在宅・施設介護サービス整備の推進、それに伴う介護人材の確保に重きを置き、
ICTを介護業界に積極的に導入することによって、業務効率化や現場ニーズを反映、より働きやすい環境を目指しています。
また、上図以外の施策として、平成29年度から介護職員1人につき平均10.000円の処遇改善を明言しています。
前例にならえば、介護職員処遇改善加算の一部として組み込まれるとが考えるのが妥当ではないでしょうか。
平成29年からの施行が予定されており、加算を取得している事業所としていない事業所では、給与に合計37.000円の差が開くことになります。
ほかにも、介護福祉士を志す学生に対する就学資金貸付制度や、再就職準備金貸付制度など、多様な人材を育成するための制度を整えています。
今一度、介護職員処遇改善加算やキャリアパス制度について検討する必要があるのではないでしょうか。
まとめ
「介護離職ゼロ」に向けた取組、いかがだったでしょうか。
今回取り上げた施策は一部でしかありません。
より詳しく理解したいという方は下のリンクをご覧ください。
介護保険制度改正について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。