介護事業者の皆様にとっては、今後の介護保険制度改正がどのように行われていくか気になられているかと思います。
ここでは、介護保険制度改正でグループホームに関する介護保険制度がどのように変わってきたかの紹介と、今後の法改正がグループホームにどのような影響を与えるかについて触れていきます。
また、介護と医療の連携が今後のキーワードとなりますので、ぜひ参考にしてください。
グループホームに関する介護保険制度改正の経緯
高齢者の人口増加による介護負担に伴い、要介護者の増加、介護側の負担増加しているのが現状です。
日本の家庭は、核家族化が進み家族のあり方も変化してきて状況が一変してきたのです。
そこで、介護保険を利用し、社会や地域全体で支えていこう。
というものが介護保険の創設の原点です。
基本報酬の見直し
グループホームでの生活介護費用は要介護であればだいたい5%減少されてます。
職員の体制も特別養護老人ホームに比べて手厚い配置となっています。
しかし、現状から5%の減少というのは運営する事業者にとっては厳しい運営となります。
基本報酬加算
夜間帯の安全確保を推進するため、夜間の勤務体制の実態を踏まえて、宿直
する夜間職員の加算を新しく評価をする制度が制定されました。
夜間支援体制加算といいます。
算定条件として、介護職員Ⅰユニット1名配置すること、また、宿直勤務を行う職員を1名以上配置する事が条件となっています。
夜間体制の加算は他にも、看取り介護加算があります。
これは、利用者とその家族の意思を尊重して実施することができます。
ユニット数、事業所範囲
これまでは、施設に1又は2ユニットが一般的でしたが、何らかの事情がある場合には3ユニットを設置することも可能となりました。
また、特別養護老人ホームなどの建物に併設して設置することも可能です。
しかし、こちらの場合、介護を適切に行えている施設に限られています。
利用者には以前よりも負担は軽減され利用しやすくなりましたが、施設側にとっては資金が減少し、運営の手腕が問われるようになります。
以前よりも少ない資金でレベルの高いサービスを提供するには介護や医療との連携が必要となります。
職員全員が、しっかり把握した上で適切なサービスを提供することがポイントにもなるでしょう。
介護報酬の引き下げがサービスのレベル低下にならないよう、施設全体で考えていきましょう。
介護保険制度の改正ごとにグループホームに与えてきた影響について
介護保険の改正で、グループホームのあり方も変化してきました。
1997年 老人福祉法による痴呆対応型の老人共同生活援助事業の制度
1999年 ゴールドプラン21の痴呆性老人グループホームが開設
2000年 介護保険制度開始
グループホームも介護保険の給付対象となる
介護保険法改正
特に2006年の介護保険改正においては、大きく変化しました。
これまで都道府県が中心となって行っていたものが、市区町村に主体が変化しました。
当時のグループホームの位置づけとして、中度の認知症高齢者と認知されていましたが、介護保険の改正よりそれまで対象外である精神障害者などの重度高齢者も対象となりました。
グループホームにおいて、2006年の介護保険改正の前後というのは大きな違いがありますので、比較してみていきましょう。
- 改正前
介護保険改正により、痴呆対応型共同生活で痴呆による精神症状で著しい異常行動があるケースや、痴呆の原因となる高齢者が急性の状態に該当する人は除きます。
他の日常生活を送る上で食事、入浴など通常の生活の支援や機能訓練を行うことをいいます。
- 改正後
認知症対応型の共同生活介護は、要介護者が対象となります。
脳血管やアルツハイマーなど脳の変化により日常生活に支障をきたすケースが対象となります。
他には、記憶障害、認知機能が低下した状態を認知症といい、認知症の原因が急性の状態にある高齢者は除きます。
今後の介護保険制度改正でグループホームはどうなる?
高齢社会が進むにつれて、介護を必要とする高齢者のニーズも増加する上で
多様化してきています。
高齢者の増加とともに認知症患者も同様に増えてきています。
認知症高齢者を受け入れる施設として現在注目されているのはグループホームの存在ですが、グループホームの大きな課題は人件費です。
人員配置は3対1となりますが、これだけでは介護職員不足といえるでしょう。
その対策として2ユニット経営をしていくことです。
こちらは兼任が認められているので人員配置を工夫すれば人件費を抑えることができます。
また、介護と医療の連携としては看護師の24時間体制を組むことです。
これはあくまで常に滞在しているという意味ではなく、常に連絡をとれる体制であることを指します。
医療体制が整っていないために施設を退居せざる高齢者は多くいます。
これを避けるためにも、今後の医療体制をどのように配置していくかも課題となっています。
今後も介護保険制度の改正は実施されていきますが、キーワードとなるのが在宅への移行です。
今までは施設での手厚い介護をメインに実施されていましたが、高齢者人口の増加と国の支援がピークになる前に、医療と介護が一体となった制度改革をしていくことが目標とされています。
介護だけで運営していくのではなく、看護との連携によって運営にも大きな影響が出てくることでしょう。
双方の連携から、高齢者やその家族が安心して生活できるように、事業者の皆様は体制を整える必要がありそうです。
2025年には地域包括ケアを始動していきます。
地域で高齢者を支えることが目的です。
出来るだけ自宅での日常生活が送れるよう周りでサポートしていきます。
公的サービスを利用する前に地域の互助を促進する事が大切です。
まとめ
日本は、今後の超高齢社会に対する介護や医療のサービスを本格的に推進していくことが必要とされています。
特に、認知症高齢者に対して適切なケアをしてくことが重要であり地域支援事業の一環とされています。
グループホームは在宅と施設の両面から整備が行われています。
例えば、空き家を利用しグループホームを開設すると改修補助が受けられます。
介護職は人手不足という問題点についても、離職を防止する取り組みとして介護ロボットの導入、再就職準備金を貸付する制度などを創設しています。
今後グループホームは高齢者自身が自立した生活を送る事を目標とした役割があると思います。
介護職員にとっては職場が働きやすい環境であることが重要です。
比較的、グループホームは他施設に比べて需要がありますので今後の働き方も工夫次第で改善ができるのではないでしょうか。
参考になった方はぜひシェアをお願いします。
介護保険制度改正について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。
(専門家監修:矢野文弘 先生)