介護職員処遇改善加算、難しいですよね。
キャリアパス要件、加算区分、算出方法、提出書類の書き方、提出期限、、、
難しい言葉だらけで頭が痛くなってくると思います。
今回は、処遇改善加算について厚生労働省や都道府県が作成しているQ&Aをカンタンにまとめてみました。
処遇改善加算よくある質問13選
計画書の提出期限は?
計画書の提出期限は一般的には前年度の2月末迄です。
例 平成28年度の加算取得をする場合は平成28年2月末提出
平成27年度介護報酬改定の際は処遇改善加算の内容決定が大幅にずれ込んだため、4月末までの期限措置を取った行政が数多くありました。
賃金改善期間は?
加算における賃金改善実施期間は原則4月から翌年の3月までです。
ただし、例えば4月から新規に加算算定をする事業所さんなどは国保連からの支払いが6月からとなりますので、賃金改善実施期間を6月~翌年5月までにするなどの対応を取ることができます。
計画書の(1)賃金改善計画についての②介護職員処遇改善加算算定対象月は平成28年4月~平成29年3月という形になりますが、⑦賃金改善実施期間は平成28年6月~平成29年5月という風に記載しても大丈夫です。
実績報告書の提出期限は?
各事業年度における最終の加算の支払いがあった月の翌々月の末日までに、実績報告書の提出をする必要があります。
基本的に加算対象月の最後のサービス提供月が3月となりますので、国保連からの支払いが5月となり、2ヶ月後の7月末が提出期限となります。
なお、期限までに実績報告を行わない場合は加算の算定要件を満たしていない不正請求として全額返還となりますので気を付けてください。
介護職員への周知方法は?
賃金改善等の計画書を職員に周知させる必要がありますが、周知方法については様式などが定められているわけではなく、各法人、事業所の裁量に任されています。
一般的には文章の掲示板提示や全職員への文章配布、回覧形式で印鑑をもらうなどを行う形となります。
配布した文章等はきちんと保管しておくことをお勧めします。
賃金改善を行う賃金項目などの内容を変更した場合の届出の必要性は?
計画書の内容等に変更があった場合には、必要な事項を記載した変更の届出を行う必要性があります。
ただし、加算取得に影響のない軽微な変更については、必ずしも届出を行う必要ありません。
そのため、賃金改善の見込み額の変更や、予想以上に加算額が増えて、賃金項目内容を増やす等をした場合などは変更届を出す必要はありません。これは最終的に実績報告を行うため、そこで記載すれば良いことになっています。
実績報告で賃金改善額が加算額を下回った場合は?
加算の算定要件として、賃金改善額が加算による収入額を上回ることとなっているため、下回ることが想定されていません。もし下回ってしまった場合は、一時金や賞与として支給することが望ましいとされています。
交付金の際は余ったから返還するということが出来ましたが、処遇改善加算においてはそのようなことは出来ません。
本来の用途とは関係ない支払いや事業者側の収益にしているなど悪質な事例については、加算の算定要件を満たしていない不正請求として全額返還となります。
計画書や報告書は事業所ごとに提出する必要があるのか?
処遇改善加算は原則事業所ごとの届出となりますが、介護サービス事業所等を複数持っている場合(例 訪問介護と通所介護等)(法人である場合に限られます)や介護サービス事業所ごとの届出が実態に鑑み適当でない場合は一括して作成することができます。
また、同一の就業規則により運営されている場合に地域ごとや介護サービスごとに作成することができます。例えば、「株式会社○○がA市にA訪問介護事業所、B市にB訪問介護事業所を持っている場合で同一の就業規則で運営されている場合」は一括で作成することができます。
なお、複数事業所を一括で作成する場合で都道府県を跨ぐ場合は事業所の一覧(添付資料1)、都道府県状況一覧(添付資料2)、市町村状況(添付資料3)を添付する必要があり、同一県内の場合は事業所の一覧(添付資料1)、市町村状況(添付資料3)を添付する必要があります。
賃金の改善方法は?
賃金の改善方法については各法人、事業所の裁量に任されています。厚生労働省としては基本給で実施されることが望ましいとされています。計画書の(1)賃金改善計画についての⑧賃金改善を行う賃金項目として基本給、[ ]手当、[ ]手当、[ ]手当、賞与(一時金)、その他()と記載できるようになっているので、例えば処遇改善加算手当や年末年始手当などの方法も可能です。
基本給を上げたり賞与を支払ったりする場合は社会保険料が増えますが、これに関しては加算の算定額として取扱うことができます。
基本給を上げ過ぎると処遇改善加算がなくなった場合に大きな痛手を被ることになりますので、処遇改善加算の1割~2割程度を基本給に反映、8割~9割程度を賞与や手当などに反映させておくほうが無難かもしれません。
また、介護職員の処遇改善を目的としておりますので、例えば職員の福利厚生にあたるものに使うや物品の購入などといったことに使うことは出来ません。
加算の配分方法について、一部の職員を対象外にすることは可能か?
加算の算定要件は、賃金改善に要する額が加算による収入を上回ることであるため、事業所(法人)全体での賃金改善が要件を満たしていれば、一部の介護職員を対象としないことは可能であるとなっています。
例えば、賞与での配分の際に評価制度を用い、職員ごとに金額が違うことは可能ですし、場合によっては評価が悪く配分しない人がいても問題ないということです。
また、例えば賞与支給月が12月だったとして、11月に辞めた職員に支払う必要があるかといわれれば、支払う必要はありません。
ただし注意しなければならないことは、賃金改善等の計画書を職員に周知させる必要がありますので、これをしっかりと行っておかないと配分されない職員と揉めることになります。
その他として介護職員さんが派遣労働者であった場合などでも処遇改善加算の対象とすることは可能です。その場合は派遣元と十分に相談したうえで実績報告書には派遣労働者も含めて作成する必要があります。
管理者やサービス提供責任者などは対象になるのか?
処遇改善加算は介護職員の処遇改善を目的としているので、管理者のみをしている方を配分対象とすることは出来ません。
しかし、例えば訪問介護において、管理者兼サービス提供責任者や管理者兼訪問介護員、サービス提供責任者などは、介護職員としての業務を行っているため、対象とすることが可能です。
ただし、一部の行政では職員の兼務要件等の解釈が厚労省通知よりも細かく定められているところなどもありますので、詳細は各行政に必ずお問合せください。
非常勤職員も対象になるのか?
非常勤職員であっても、実務的に介護職に従事していれば対象になります。
また、法人の役員であっても、介護職員の業務に従事している実績があれば対象となります(ただし、この場合は「役員報酬」ではなく「給与」として支払われている必要があります)。
ただし、非常勤でかつ事務職の専従である場合や運転手の専従である場合など、実務的に介護現場に従事していない場合は対象にはなりません。
事業者が加算の算定額に相当する介護職員の賃金改善を実施する際に賃金改善の基準点はいつか?
賃金改善は、加算を取得していない場合の賃金水準と、加算を取得し実施される賃金水準の改善見込額との差分を用いて算定されることになります。
- 平成26年度以前に加算を取得していた事業所の場合
①加算を取得する直前の時期の賃金水準。交付金を取得していた場合は、交付金による賃金改善の部分を除く。
これは平成23年度時点での基本給が200,000円として、以降、交付金及び加算を使って毎年1,000円昇給をさせている場合は平成28年度時点で206,000円。6,000円を加算の算定額として取扱うことができます。
②加算を取得する月の属する年度の前年度の賃金水準(加算の取得による賃金改善の部分を除く)
これは平成24年度以降の加算取得する前の賃金水準をさしていますので、平成24年度の加算取得時から5,000円昇給させている場合は5,000円を加算の算定額として取扱うことができます。
- 平成26年度以前に加算を取得していない介護サービス事業者等の介護職員の場合
加算を取得する月の属する年度の前年度の賃金水準
介護予防訪問介護と介護予防通所介護が総合事業へ移行した場合の取扱は?
介護予防・日常生活支援総合事業へ移行した場合は、保険給付としての処遇改善加算は取得できない取扱となります。
参考
今回の13選は厚生労働省のQ&Aページを参考に作成いたしました。
より詳しい解説は下のリンクからご覧ください。
処遇改善加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。