介護支援ブログ

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介護報酬改定2018年(平成30年度)-最新予測-

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間もなく具体的な数字の議論が始まる2018年度の介護報酬改定。当記事では2017年実施の「介護事業経営実態調査結果」を踏まえ、改定の予測を公開しております。

全体要点と、経営されています事業種別での改正予測をご確認いただき、改正対応準備にお役立てください。

※尚、本記事は執筆時点での著者による予測です。予測という性質上、情報の正確性を保証できるものではございません。事前にご了承ください。

20171124:追記を実施

 

目次

介護報酬改定とは

介護報酬改定は何年ごと?時期は?

全体要点(概要)

サービス種毎の最新予測(居宅・施設)

今後の更新予定

 

介護報酬改定とは

指定介護サービスの提供対価である介護報酬を3年ごとに見直すものです。

指定介護サービスとは、居宅系サービスと施設系サービス、地域密着型サービスをあわせたものを指します。

一般に報酬改定における「報酬」とは、実際の「支払金額」ではなく、「単位数」を指します。

 

 

介護報酬改定は何年ごと?時期は?

前述の通り、改正は3年ごとに行われます。

次回改正は2018年4月(3月末)となります。次々回が2021年4月です。

今回の改定は、2017年の年末から年明け早い段階までに具体的な改定内容がかたまり、その後4月までに全事業者に対し、周知が行われます。

 

 

全体要点(概要)

◯概要1

2017年10月27日の第148回社会保障審議会介護給付費分科会において、「平成29年度介護事業経営実態調査の結果について」報告がありました。

当報告で、各サービス種別の収支差(どの程度儲かっているのかの指標)が公開されました。28年度決算と前年からの増減は下記です。※左に28年度、右の括弧内に増減を記します。

 

◯居宅系サービス

・訪問介護:4.8%(-0.7%)

・訪問入浴介護:2.8%(+0.1%)

・訪問看護:3.7%(+0.7%)

・訪問リハ:3.5%(-0.8%)

・通所介護:4.9%(-2.2%)

・通所リハ:5.1%(+0.5%)

・短期入所生活介護:3.8%(+0.6%)

・特定施設入居者生活介護:2.5%(-1.6%)

・福祉用具貸与:4.5%(+0.8%)

・居宅介護支援:-1.4%(+0.4%)

 

 

◯施設系サービス

・介護老人福祉施設(特養):1.6%(-0.9%)

・介護老人保健施設(老健):3.4%(+0.2%)

・介護療養型医療施設:3.3%(-0.4%)

 

 

◯地域密着型サービス

・定期巡回・随時対応型訪問介護看護:4.8%(-2.0%)

・夜間対応型訪問介護:1.5%(-2.1%)

・地域密着型通所介護:2.0%(-1.2%)

・認知症対応型通所介護:4.9%(-1.1%)

・小規模多機能型居宅介護:5.1%(-0.3%)

・認知症対応型共同生活介護:5.1%(+1.3%)

・地域密着型特定施設入居者生活介護:3.2%(-2.0%)

・地域密着型介護老人福祉施設:0.5%(-1.1%)

・看護小規模多機能型居宅介護:4.6%(-1.7%)

 

◯概要2

財政制度分科会(財務省)の意見に対する今回の改正要点を次の通りまとめました。

・アウトカムに対する報酬での評価

予測:利用者選別を防ぐ観点や、要介護度改善だけでは成果と呼べないとの意見が根強く、今回の改正には間に合わないものと予想。エビデンスが医療に比べ不足しているとの指摘もあることから、次回改正に向けて継続検討。

混同される給付抑制に成功した市町村へのインセンティブは実施へ向かうものと予想。

 

・介護ロボットやセンサー導入事業者への基準緩和、報酬評価

予測:こちらも当初のロボット活用計画から見るに、人員基準の緩和(ロボットを導入することで、スタッフ数を減らせるといった評価)は見送りとなる予想。来年度以降も引き続きロボットの導入効果のチェックを行う見込み。

 

・総量規制

予測:市町村主体での総量規制へ。特に過剰供給が給付費の上昇に影響している地域では(データの分析をもとに判断される)厳しい規制が行われると予想。

 

◯概要3

・要介護1.2の総合事業へ移行

予測:見送りでほぼ確定。次回改定(平成33年度)でのメインになるでしょう。

 

・処遇改善

予測:消費増税の議論とセットで介護人材の処遇改善が語られているが、今回の改正での処遇改善加算増額は見送りでほぼ確定。可能性として、加算4、5の廃止議論再燃はありえる。ただ新加算1の効果について調査結果がまとまっていない現段階で大きく動くことはないものと予想。

 

・口腔衛生

予測:歯科医師指導のものとでの口腔ケアに対し、評価の方向。在宅へ広がるか不透明。ただ専門職種のみでの展開は難しいため、多職種連携前提での議論になる模様。

 

・栄養管理

予測:施設、通所を対象に管理栄養士を手厚く配置した場合の加算を議論。ミールラウンドなど支援の流れまで踏み込んだ議論になると今期は先送りか?

 

サービス種毎の最新予測

ここからは、各サービス種別の予測をまとめます。重ねての記載となりますが、「著者の独自の予測」であって、正確性の保証がないことをご了承の上で、お読みください。

 

◯訪問介護

予測:マイナス改定。

適正と言われる4%を上回る現状から見て、マイナス改定はほぼ確実と見ています。

生活援助の報酬減額と人員基準緩和がセットとなるか注目しています。

初任者研修より初級者向け資格導入との関係性にも注目したいです。

サ責の要件に変更があり(初任者研修修了者の30%減算からサ責になれないへ)

1日あたりの利用額が極端に高い場合、減算等での対応か。

リハへの影響が大きいと予想される今回の改正ですが、加算上乗せが報道されている「生活機能向上連携加算」については、変更から間もないこともあり、強気に変更はなしと予想。

サ高住、住宅型有料老人ホーム(集合住宅)への外部サービスは集合住宅減算前の単位数で給付限度額計算を行い、報酬は減算後で計算へ変更か。(減算により、集合住宅利用者が個人宅に住む利用者よりも多くサービスを利用できる状況の是正)

 

◯訪問入浴介護

予測:ここまで議論にほぼ挙がらなかったため、判断が難しいです。事業所数が減少している現状が報酬にどう影響するか。

 

◯訪問看護

予測:大規模化を推し進めたい背景から、小規模事業所での算定が難しい「緊急時訪問看護加算」や「特別管理加算」の上乗せがあるものと予想。

病院併設の訪問看護事業所を増やすために打ち手があるのか注目しています。

ターミナルケアへの報酬での追加評価も可能性あり。医療・介護連携における会議を非対面(テレビ電話等のツール活用)へ拡張する可能性。理学療法士が訪問してのリハに条件指定で減算あるか?

集合住宅減算は訪問介護と同様。

 

◯訪問リハ

予測:退院・退所時にスピーディーにリハを開始出来た場合の加算、または医療連携への加算が手厚くなる模様。算定率の低い「社会参加加算」に増額期待。

集合住宅減算は訪問介護と同様。

 

◯通所介護

予測:基本部分はマイナス改定と予測。サービス提供時間を1時間刻みに変えるか?(7時間以上9時間未満では、7時間半程度の提供が多いことが影響)

延長加算の扱いにも注目しており、介護離職ゼロに繋げるため14時間以上への拡大や報酬面での評価も。

機能訓練での十分なPT・OT・ST配置を推し進める上で評価の変更に注目。

 

 

◯通所リハ

予測:提供時間が6~8時間帯まであるが、長時間利用は報酬減額または評価自体しないへ進むものと予想。合わせて短時間の単位数アップで見直しか。

訪問リハ同様に退院時のスピーディーなリハ開始を評価する流れ。医師連携への評価を手厚くする模様。「社会参加加算」についても訪問リハ同様。

脳血管疾患等の医療リハ利用者が介護保険へ移行。

 

◯短期入所生活介護

改正論点が少なく、予測は割愛します。

 

◯特定施設入居者生活介護

予測:大きな変更はないものと予想します。

自立の利用者がいる施設で、介護給付の対象と同一スタッフが自立の方へサービス提供した場合の減算についてや、看取り対応への追加評価は見送りではと思います。

 

 

◯福祉用具貸与

予測:福祉用具専門相談員は異なる価格帯・機能の商品の提案義務化。2018年10月より、福祉用具の貸与上限額が設定される(全国平均貸与価格+1標準偏差)

 

◯居宅介護支援

予測:特定事業所集中減算廃止の方向性と予測。事業所集中が一定割合を超えた場合の監視機能は市町村(地域ケア会議など)へ移るか?

医療連携が強く叫ばれる中、退院・退所時の加算強化の流れ。

管理者を主任ケアマネへ限定すべきかの議論があるが、今回制限まで進まないものと予想。サ高住併設のケアマネに集合住宅減算は実施に向けて継続議論。

★利用者入院時の病院または診療所への情報連携を義務化(運営基準の改正)

★入院時情報連携加算の算定要件のうち、期限(現在7日を3日)と対面非対面(現在は医療機関への訪問が加算Ⅰの要件だが撤廃)に変更あり

★退院退所加算と初回加算の同時算定が可能に

★医療、歯科、薬剤に関する利用者のモニタリング結果を医師・歯科医師・薬剤師に報告。医療が必要な利用者のケアプランを医師へ伝達・交付が義務化(運営基準の改正)

★末期がん利用者のターミナル期のケアプラン変更で、担当者会議の省略を許可。

★末期がん利用者のターミナル期ケアに対する新加算(仮称:ターミナルケアマネジメント加算)を創設し、死亡日前Ⅱ週間での複数回訪問、24時間連絡体制、アセスメントの記録と医療・居宅サービス連携を推進

★居宅介護支援事業所の管理者を主任ケアマネに限定(経過措置を平成33年3月末)

★特定事業所加算を改定し、他法人運営居宅介護支援事業所との事例検討会や地域包括の事例検討会への参加を推進

★特定事業所集中減算は、通所介護・訪問介護・特定福祉用具にのみ適用

★訪問介護を非常に多い回数での利用するケアプラン作成時は、市町村へ届け出て地域ケア会議にかける

 

◯共生型サービス

予測:新設は確定。指定基準の方向性は未確定。

 

◯介護老人福祉施設

予測:赤字施設の増加傾向から見て、プラス改定を予想。基本部分での対応になるのでは?看取り体制への加算強化も議論にあるが、これ以上人材不足を招く改正には否定的。ユニットケアを70%目標に向けて走るが、多床室の報酬を変更するような無理な舵切りはないと予想。

 

◯介護老人保健施設

予測:ダウンはないものと予想。通所リハ・訪問リハにて記載の通り、連携し退所後の早期リハスタートには評価がつく見込み。

★在宅復帰機能を求める改正(従来型の廃止の可能性含む)
★リハ専門職の配置に対し、より評価する仕組みの導入
★多剤投薬入所者のかかりつけ医連携と減薬に対する取り組みに評価を行う(診療報酬の改定と連携)

 

◯介護療養型医療施設

予測:介護医療院への転換が進められるが、引き続き緩やかな移行となる見込み。

★人員基準:介護療養型医療施設と同等程度(Ⅱ型はやや緩和?)
★設備基準:定員4名以下、1人あたり床面積を8.0平米。その他は介護療養型医療施設水準で検討
★運営基準:介護療養型医療施設の基準と同様。医師の宿直は引き続き議論(病院併設では宿直の兼務を認める)
★ユニットケアの設定を行う
★基本報酬は、Ⅰ型は介護療養病床と同等程度、Ⅱ型は老健よりも評価程度
★療養病床からの転換促進のため、設備基準の緩和等を検討
★短期入所療養介護、通所リハ、訪問リハ、訪問看護は引き続き提供可能、居宅療養管理指導は機能から考え廃止

 

今後の更新予定

本記事では適宜更新を実施予定です。

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