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介護支援ブログ

介護制度について分かりやすく解説しています。介護に関っている全ての方々に役立つ総合介護情報サイト目指しています。現在は主に介護職員処遇改善加算、キャリアパス要件、介護保険施設等の実地指導について執筆中です。

介護職員処遇改善加算の使い道とは。一時金や賞与にも使っていいの?

介護事業者の皆様の間でいつも話題に上がる介護職員処遇改善加算(以下、処遇改善加

算)。業界全体で慢性的な人材の不足と、介護スタッフの定着が問題視されている中、従業員の職場の満足度は非常に大切です。

その中でも、やはり賃金改善が一番の課題だと思います。

この記事では、処遇改善加算の使い道と必要なプロセスについて解説しながら、従業員満足度をより上げる方法を詳しくご説明していきます。

ぜひ一読し、今後の経営にお役立てください。

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処遇改善加算のおさらい

本題の処遇改善加算の使い道に入る前に、 まずは処遇改善加算について簡単におさらいしておきます。

処遇改善加算の前身となる、平成21年より導入されていた介護職員処遇改善交付金においては、内部保留や不透明性といった問題が指摘されていました。

そのため、この交付金を改定し、介護保険の報酬から確実に介護職員の給料に上乗せで

る制度として創設されたのが、介護職員処遇改善加算です。

平成29年度からは、さらに1つ区分が増えて、最上位の基準を満たせば月額37,000円相当が支払われます。

処遇改善加算の背景・目的

介護業界における人材の現状(背景)

介護職員は、他の専門職と協力しながら、実際のケアを行う職種です。

介護に関する資格を取得するためには、専門学校や通信講座、あるいは自分で参考書などを用いて勉強するなどして専門知識を学ぶとともに、試験、経験、研修も必要とされます。

こうやってやっと取得した資格で勤務するも、残念ながら離職率の高い業界になってしまっています。夜勤のあるシフト勤務が多い不規則な勤務時間や、体力や精神面においても重労働の割に低賃金であることが、人材確保を難しくしている一因であると考えられています。

また、慢性的な人手不足のため、介護職員1人にかかる負担が大きくなり、その職場で働き続けられなくなって退職、現場は更に人員不足になる。

早急に、とりあえずの人材を確保しようと、あまり適任でない人も採用するが続かない、といった悪循環に陥ってしまっている事業所も見受けられます。

賃金改善(目的)

では、どうすれば介護職員の定着率を上げられるのでしょうか。

介護現場における「改善」についての会議等は、通常「利用者にとっての改善、メリット」を考える場になっています。

もちろんこれも大切なことですが、「介護職員を疲弊させず、職場環境を改善しよう」というのは、二の次にされることが多いのです。

高齢者を支える仕事をしようというモチベーションを持って入社してきても、実際の介護現場の大変さに燃え尽きてしまう人もいます。

しかし、勤務時間や業務の内容については、現実問題として大きく変更することはできません。残る方法は、介護の仕事をある程度割に合ったものにするということです。

これにはキャリアアップしている実感と、それに伴って賃金を上げる方法しかありません。

そのため、処遇改善加算の算定には、キャリアアップのための制度を整えているかといったことも必要になります。

処遇改善加算の特徴

基準を満たし処遇改善加算が算定されれば、事業者は加算の全額を介護スタッフの給与へ上乗せし、賃金水準を改善させることが義務付けられています

つまり、内部保留や備品の購入など他の支出に流用することはもちろんのこと、介護スタッフに支給する交通費や福利厚生、研修の参加費用などに使用された場合にも返還する義務があります。

悪質な違反事業者に対しては指定取り消しといった厳しい処分も予想されます。

このように、明確に介護職員の賃金改善を目的としていることが処遇改善加算の特徴です。

分配方法については事業者に委ねられていますが、給与明細を見て総支給額が上がっているなど、介護職員が賃金改善を実感できるようにする必要があります。

また、処遇改善加算の取得においては、ケアスタッフの賃金改善をすることの他に、新人や中堅スタッフが、それぞれのポジションにおいてキャリアアップを目指していけるように、研修制度の提供などといった職場環境や、キャリアパス制度を整えていくことも奨励されています。

処遇改善加算の対象者

では、次に処遇改善の対象者について説明します。厚生労働省のサイトでは、以下のように定義されています。

同加算はあくまで直接処遇職員に対するものであって、ケアマネージャー、 看護師、生活相談員、事務員、調理師など、間接処遇職員については対象外である。

[出典] http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000070796.pdf

つまり、実際に現場で介護を行っている職員がこれに該当します。

基本的に事業所の管理者やサービス管理責任者、ケアマネージャー、事務職、看護師などの医療職は加算対象外となります。

あくまでも、重労働のわりに低賃金で離職率の高い「介護職員」が対象なのです。

しかし、小規模の事業所では、基準を満たす最低人員で運営している事業所も多く、そういった事業所では、生活相談員や事務職、更には「所長」といった管理者が、実際の介護職員としても兼任して働いている場合があります。

このような場合には、加算の対象として認められることもあります。

例として、認知症対応型のグループホームは、ケアマネージャーを配置しなければなりません。多くの認知症対応型グループホームでは、ケアマネージャーが管理者と兼務、あるいは介護職と兼務しています。

この場合、介護業務も実際に行っているケアマネージャーであれば、介護職員処遇改善加算の対象となります。ですが、管理職との兼務であれば対象外です。

その他の施設においてケアマネ―ジャー業務のみ行っている方も、もちろん対象外となります。看護師についても、看護師資格はあるものの、看護師としては働いておらず、主に介護業務を行っているのであれば対象となります。

処遇改善加算についての詳細はこちらから。

処遇改善加算について - 介護支援ブログ

処遇改善加算の使い道

では、実際に処遇改善加算には、どのような用途が適切であるのか解説します。

原則として、該当するのは給与・賞与・一時金の3つです。

給与

処遇改善加算を申請する時点での基本給に上乗せ支給することになります。

「昇給」として毎月の給料のベースアップをする、あるいは「処遇改善手当」として別に賃金項目を追加して、処遇改善加算を分配します。

厚生労働省は、基本給に上乗せすることが最も好ましいと考えているようです。

賞与

事業所によっては、賞与は年1〜3回支給されているところもあります。

このボーナスに上乗せして支給します。

例えば加算額が、加算Ⅱの15,000円相当であれば、これは毎月の金額になるので、

15,000円×12カ月で、年間の総額は180,000円となり、賞与が年2回の施設であれば1回あたり90,000円の上乗せになります。

(ただし分配方法は事業者に委ねられているため、介護スタッフ一律15,000円支給の場

合もあれば、勤務年数や資格等により介護職員ごとに増減されることもあります。)

一時金

数カ月ごとに1回、または年末年始や年度末などに、特別報酬やインセンティブとして1年分を一括して支払われることもあります。「処遇改善手当」や「その他手当」、「一時金」という賃金名目にして支給することが多いようです。

これは事業者にとって、毎月の基本給に上乗せするよりも、処遇改善加算の収入に応じて、支給額を調整しやすいといった利点があるようです。

介護保険の加算においては、増減や新設及び廃止といったことが度々起こるので、随時対応しなければいけないことも影響しています。

法定福利費(社会保険料)

法定福利費とは一般に、健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料・労働災害保険料・児童手当拠出金・雇用保険料などの社会保険料を指します。

このうち、最初の3つは事業者と被雇用者の折半、労働災害保険料と児童手当拠出金は事業者の全額負担、雇用保険料は介護分野(一般)では、給与の0.9%が事業者負担で被雇用者負担は0.6%になります。

例えば、処遇改善加算の支給金額をそのまま全額、社会保険料にあてることはできません。

しかし、処遇改善加算を基に支払う賃金が増えれば、それにともなって社会保険料も増えます。この増加分のうち、事業者が負担した部分は、賃金改善額として計算することができます。

使い道選定に関する注意事項について

処遇改善加算をどういった使い方をするのか、あるいは支給の回数や時期というのも、事業者の判断に任されています。

しかしながら、加算の本来の趣旨である「介護職員の賃金改善」といったことを逸脱し、基本給を下げてその分を加算で補う、交通費など他の賃金名目に使う、介護に従事していない役員の給与に上乗せするといった、悪質な業者について耳にすることもあります。

処遇改善加算の用途には制限があること、違反すれば既に支給されている加算を全額返還しなければならないことを、事業者はしっかりと認識しておくべきです。   

また、加算における賃金改善実施期間は基本的に4月から翌年の3月までの1年間です。

処遇改善加算の取得プロセス

処遇改善計画書の作成

処遇改善計画書には、介護職員1人あたりの平均の賃金改善見込み額を記載し、その内容をすべてのスタッフへ周知させる必要があります。

これにより、被雇用者側はおおよその加算金額や支給方法や頻度を知ることができると

ともに、事業者が加算を他の用途に使うことを監視し、事業者側としても、対象のスタッフが誰になるのか、上乗せされる金額は介護職員間においても差があること、キャリアアップの制度などについて周知させることができます。

管理者は介護保険の改正などに敏感で情報を得ようとしますが、一般の介護職員においては、介護保険制度に詳しくない方も多くいます。そういったスタッフに誤解を生じさせないためにも、処遇改善計画書を周知させるということは重要なのです。加算申請時には、この処遇計画書や処遇改善加算届出書の他、必要書類を添えて、自治体の担当課に提出します。

処遇改善加算の算定

処遇改善加算の計算は、申請する加算のカテゴリーⅠ〜Ⅴと介護サービス事業の種類により異なるので少し複雑ですが、基本的に1カ月あたりの利用総単位数にサービス別加算率を掛け、端数は四捨五入して介護報酬総単位数を求めます。さらにこれに地域区分率を掛けます。つまり、計算式は、総単位数×サービス加算率×地域区分率となります。

このうち、税金からの負担分が90%、利用者負担分が10%になります。

この他にも、キャリアパス制度を整えているかといったことも算定要件になります。

申請するカテゴリーⅠ〜Ⅴにより、算定要件は異なります。

都道府県都知事等への提出

介護職員処遇改善加算については、通常の加算と同様に自治体に届出る必要があります。

必要書類及び添付書類は、以下のようなものになります。

 

介護給付費算定に関する体制等に係る届出書

介護給付費算定に係る体制等状況一覧表

介護職員処遇改善加算届出書(*)

介護職員処遇改善計画書(*)

キャリアパス要件に係る添付資料

就業規則・給与規程(写し)

労働保険関係成立届等及び納付書(写し)

 

注意点として2点あり、(*)の書類については、平成29年度から体系に変更があるため、様式の変更等が予想されます。

もう1点は、複数の介護事業所を運営しているグループ事業者などについては、複数の事業所を一括して処遇改善計画書を作成し、指定権者に届出ることもできますが、事業の指定が県と市町村の管轄に分かれている場合には、それぞれに提出することになります。

また、グループ事業所についての追加の書類を提出しなければなりません。

 

新規申請の場合は、算定を受けようとする月の前々月の末日までに届出が必要となっています。すでに加算を受けていて、その更新時には、年度末に近い2月末日までに届出ます。

4月以降のサービス分で介護職員処遇改善加算の算定を受けようとする場合は、算定を受けようとする月の前々月の末日までに申請するようになっているので、6月末日までに書類を提出すれば、8月サービス分から算定を受けることができます。

平成29年度は改正にともない、提出期限を4月中旬〜下旬に設定してあります。

期日は自治体により異なるので、直接問い合わせてください。

賃金改善の実績報告

賃金改善の実地報告も義務付けられています。加算が最後に支払われた月の2カ月後末までに処遇改善加算実績報告書を作成して、これに賃金総額の積算根拠となる資料を添付し、自治体の担当課に提出します。

平成29年3月まで加算を算定していた事業所は、最終の加算の支払いがあった平成29年5月の2か月後、つまり7月末までに実績報告書を提出することになります。

この期限は厳密で、期限までに実績報告を行わないと加算の算定要件を満たさないことになり、1年分を遡って返納することになるので、注意します。

また、賃金改善額が、加算による収入額を上回ることが前提なので、何らかの事情により下回ってしまった場合には、年度末に一時金として支給するなど、対応が必要です。

金額内訳を記載する欄もあり、監査の際には問題がないかチェックされます。

まとめ

以上、処遇改善加算の使い道や規則、申請のプロセスについて解説しました。

介護職員不足は緊急の課題であり、今後の更なる人員需要の高まりも見据えて、国としても賃金改善を後押ししています。

そのために、処遇改善加算の用途を間違えると、返納や指定取り消しなど厳しい処罰になります。

事業者の皆様は、この加算は税金と利用者からの介護職員へのインセンティブであることを理解し、介護スタッフが長く働いていける環境を整える責任があるのではないでしょうか。

この記事が参考になりましたら、ぜひシェアをお願いいたします。

 

 

処遇改善加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

 

(専門家監修:矢野文弘 先生)

放課後等デイサービスでもキャリアビジョンが描ける! 福祉・介護職員処遇改善加算の内容と算定方法とは?

放課後等デイサービスは、障害をもつお子さんのための学童保育所です。

利用者である6~18歳のお子さんにとっては、必要なケアを受けられる大切な居場所です。

地域包括支援事業や総合支援事業など、介護サービスの多様化が進む中、障害分野に類する放課後デイ等サービスも今後拡充していくものと考えられます。

そんな中で、人材確保は介護福祉業界の大きな課題です。

働く職員にとって魅力のある職場づくりに役立つのが、今回の記事でご紹介する福祉・介護職員処遇改善加算です。

加算の仕組みはわかりにくいものですが、ぜひご一読されて、今後の経営にお役立てください。

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1 福祉・介護職員処遇改善加算とは

福祉・介護職員処遇改善加算は、福祉や介護現場で働く職員の待遇を改善して職場への定着を図ると同時に、人材不足が続く福祉・介護業界の人材確保を目的として平成24年4月に創設されました。

 

それまでの「交付金」が一時的な手当であるのに対して、「加算」という仕組みになったことで、要件を満たしている限りその事業所が上乗せして報酬を受け取ることができます。

その上乗せ分を職員の給与をアップさせるために使う、というのがこの福祉・介護職員処遇改善加算の概要です。使途については明確に処遇改善のためだけに使うことが求められています。

年を追うごとに加算はより手厚いものへとなっていますが、それに伴い要件も増えています。

職員が自分の将来像をイメージしながら、目標と希望を持って働けるように考えられています。

導入された時点では、もともとは加算という形式は3カ年の一時的な施策でした。

まず目先の人材不足に対応しつつ、将来的には加算分の賃金上昇が可能なくらい基本サービス費をアップさせようという目論見がありました。

しかし、福祉や介護を取り巻く財政には厳しいものがあり、報酬改定には厚生労働省だけでなく財務省など関係各省庁の折衝があるため、思うようには進まず、加算の制度が維持されているという背景もあります。

 

結果的に、平成27年度介護報酬改定においては制度が維持されただけでなく、さらに介護職員の社会的・経済的な評価を高めるサイクルを生み出すために、介護事業者の取組みがより促進されるように加算が拡充されました。

そして平成29年4月より、さらに加算の枠組みが拡大されています。

2 福祉・介護職員処遇改善特別加算とは

福祉・介護職員処遇改善加算と混同されがちですが、「特別加算」は全く別の加算となりますので注意が必要です。

特別加算は、福祉・介護職員処遇改善加算の算定が難しい事業所に対しても、職員の処遇改善を図ることができるように創設された加算です。

通常の加算が区分I~Vに区分され、それぞれ算定に必要な要件が定められているのに対し、特別加算は、職員の処遇改善を図ることが明確であれば算定可能です。

ただし、通常の加算と比べて得られる金額は低く設定されており、放課後等デイサービスにおいては、1.1%の加算率となっています。

加算を算定するために都道府県知事等に届出が必要であることは通常の加算と同じです。

要件を示すための書類については必要ありません。

詳しくは最新の厚生労働省通知をご確認ください。

福祉・介護職員処遇改善加算及び福祉・介護職員処遇改善特別加算に関する 基本的考え方

3 放課後等デイサービスの福祉・介護職員処遇改善加算とは

放課後等デイサービスにおいても、福祉・介護職員処遇改善加算の算定方法や条件は、他のサービスとの違いはありません。

区分ごとに明確な算定要件が定められています。

加算Iに近いほど、加算率が高くその分多くの金額を職員の給与に反映させることができます。

しかし、より要件が厳しくなり、中長期的に職員を育成できる仕組みが必要となります。

それぞれの事業所において身の丈に見合う加算算定が重要です。

まず、5区分の加算区分について、それぞれの加算率と一緒に確認していきます。

 

  1. 加算I(放課後等デイサービスの加算率1%)
    キャリアパス要件Ⅰ、キャリアパス要件 Ⅱ、キャリアパス要件Ⅲ、職場環境等要件の全てを満たすこと。
  2. 加算II(放課後等デイサービスの加算率9%)
    キャリアパス要件I、キャリアパス要件II、職場環境等要件の全てを満たすこと。
  3. 加算III(放課後等デイサービスの加算率3%)
    キャリアパス要件I又はキャリアパス要件IIのどちらかを満たすことに加え、職場環境等要件を満たすこと。
  4. 加算IV(放課後等デイサービスの加算率7%)
    キャリアパス要件I、キャリアパス要件II、職場環境等要件のいずれかの要件を満たすこと。
  5. 加算V(放課後等デイサービスの加算率4%)
    キャリアパス要件I、キャリアパス要件II、職場環境等要件のいずれの要件も満たさないこと(キャリアパス要件IIIのみを満たしている)。

 

続いて、それぞれの区分で求められる3つのキャリアパス要件と職場環境等要件を確認していきましょう。

 

◎キャリアパス要件(I)

次のイ・ロ・ハすべての要件を満たすことが必要です。

 

イ 職員の職位、職責又は職務内容等に応じた任用等の要件を定めている。

 

施設には様々な職種の職員が働いています。その中で、特に昇進すると仕事内容がどのように変わるのかを明らかにするのは難しいことです。

規模の大きな一般企業であれば、昇進のための試験を設けているところもあるでしょう。

試験を行うことで、一定の水準に達していればその職責に足る、という判断が可能です。

福祉や介護の事業所において、試験を行うような仕組みづくりは難しいと思われます。

そのため、業務分掌を作成して、職種・職位ごとの担当業務の明確化を図ること等が必要となります。

 

 

ロ 職位、職責又は職務内容等に応じた賃金体系について定めている。

 

給与について、職種ごとの基本給や手当について、明確にされていることが必要です。

 

同じ職位であっても年齢や経験年数によって給与に差がつくケースは多いと思われます。

その場合、その違いの根拠が示せるような基準が必要となります。

 

給与は本来、需要と供給のバランスによって成り立つものであり、人手不足であれば高く、就職難の場合は低くなるものです。

そのため就職したタイミングで給与に差が付く場合がありますが、本来よりも高い水準の給与が支払われている場合は、上乗せ分を特別手当とするなど、明確にしておく必要があります。

 

 

ハ 就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、すべての福祉・介護職員に周知し

ている。

 

1と2の内容も含めて、誰でもが自由に確認できる場所に就業規則を書面の形で設置して、その存在についても周知している必要があります。

昇進したら給料がいくらアップするのかがわかるようにしておくことは、職員のモチベーション向上のためにも有効です。

ですが、逆に知られてしまうことで将来性を感じてもらえずに職員に見切られてしまうというリスクもあり、経営サイドとしては苦しいところです。

 

◎キャリアパス要件(II)

次のイ・ロのどちらの要件も満たすことが必要です。

 

イ 福祉・介護職員の職務内容等を踏まえ、福祉・介護職員と意見を交換しながら、資質向上の目標及び一又は二に掲げる具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保していること。

一 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等を実施(OJT、OFF-JT 等)するとともに、福祉・介護職員の能力評価を行うこと。

ニ 資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、 休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること。

 

OJTとは、職場内で業務中に行う研修のことを言います。

具体的にはプリセプター制度やスーパーバイザー制度と呼ばれる、職員の育成方法が当てはまります。

経験の浅い職員を指導することは、同時に指導役の職員の育成でもあります。

OFF-JTとは、職場を離れて研修会や勉強会などに参加することを言いますが、注意すべきはあくまでも「業務内」であるということです。

職員が自分の休みを使って自分でお金を払って参加したものは含まれません。

資格取得支援も含めて、研修に参加するための費用や、参加している間に現場の人員が不足することで生じる人件費も、計画的に予算に組んでおくことが必要となります。

 

ロ イについて、全ての福祉・介護職員に周知していること。 

 

業務に追われがちな職員にとって、一時的にでも持ち場を離れて研修に参加することはリフレッシュにもなります。

また活かすことのできない資格に時間を割こうという職員はいませんから、事業所全体で応援しているという姿勢も重要です。

そのような仕組みがあること、積極的に利用してほしいことを伝え、利用につなげていることが求められます。

 

◎キャリアパス要件(III)

次のイ及びロのどちらも満たしていることが必要です。

 

イ 福祉・介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けていること。

具体的には、次の一から三までのいずれかに該当する仕組みであること。 

 

一 経験に応じて昇給する仕組み

「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組みであること 

 

二 資格等に応じて昇給する仕組み

「介護福祉士」や「実務者研修修了者」などの取得に応じて昇給する仕組みであること。ただし、介護福祉士資格を有して当該事業所や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みで あることを要する。 

 

三 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み

「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき、昇給する仕組みであること。

ただし、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることを要する。

 

 

ロ イの内容について、就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての福祉・介護職員に周知していること。 

 

新設のキャリアパス要件(III)は、「昇給」についての規定です。 

勤続年数や資格などによって昇給する仕組みか、定期昇給のいずれかの仕組みが必要です。

資格取得によって行う昇給は、資格を失うことはないために将来的にずっと財源が必要となります。

人件費のアップだけを招かないように、職員が資格を得ることによって加算の算定が可能となるなど、事業所にも増収が期待できる資格について、昇給する仕組みであることが重要です。

定期昇給については、職員ごとの評価の差があることがモチベーションのアップのためにも重要です。

人事評価制度を基にきちんと評価できる仕組みを作りましょう。

定められた期間のはじめに、「何を求めているのか」を明らかにしておかないと、期末の評価があいまいなものとなってしまいますので注意が必要です。

 

◎加算(Ⅰ)及び(Ⅱ)に必要な職場環境等要件

平成27年4月から届出を要する日の属する月の前月までに実施した処遇改善(賃金改善を除く。)の内容を全ての 福祉・介護職員に周知していること。

 

◎加算(Ⅲ)及び(Ⅳ)の職場環境等要件

 平成20年10月から届出を要する日の属する月の前月までに実施した処遇改善(賃金改善を除く。)の内容(別紙1表4を参照)を全ての 福祉・介護職員に周知していること。 

 

加算Iもしくは加算IIを算定するためには、継続的に職場の労働環境を改善していることを実績として示す必要があります。平成27年4月から取り組んでいるものを明らかにする必要があるため、それ以前に行われて取り組みだけでは加算IまたはIIには該当しません。

 

※キャリアパス要件は区分ごとに細かく設定されており、複雑に感じる方も多いと思

います。詳細については、こちらのサイトも参考にされてください。

キャリアパス要件について 介護職員処遇改善加算マニュアル - 介護支援ブログ

4 福祉・介護職員処遇改善加算の計算方法

福祉・介護職員処遇改善加算は、サービス種別ごとに定められた加算率を、処遇改善加算以外のサービス費の合計単位に乗じて算定されます。

では、事業所のモデルを用いて、実際の加算額について解説していきます。

 

◎定員10名の放課後等デイサービス事業所

平日・放課後のみで月21日稼働。児童発達支援管理責任者と児童指導員がともに

常勤で勤務している場合

 

上記の条件で運営されている放課後等デイサービスの場合、一日・一人当たりの合計単位数は891単位となります。内訳は以下の通りです。

 

内訳

基本単位:491(有資格者配置加算9単位含む)

児童発達支援管理責任者専任加算:205

指導員加配加算(児童指導員等の場合):195単位

 

 

では、稼働が100%であったと仮定して、一ヶ月あたりの実際の加算額について計算してみましょう。1単位は10円としています。

 

○加算の算定がない場合

891(単位)×21(日)×10(人)×10(円)=1,871,100円

 

○加算I(加算率8.1%)の場合

891×1.081(加算率)×21×10×10=2,022,609円

 

○加算II(加算率5.9%)の場合

891×1.081(加算率)×21×10×10=1,977,753円

 

○加算III(加算率3.3%)の場合

891×1.081(加算率)×21×10×10=1,932,864円

 

○加算IV(加算率2.7%)の場合

891×1.081(加算率)×21×10×10=1,921,620円

 

○加算V(加算率2.4%)の場合

891×1.081(加算率)×21×10×10=1,916,006円

 

*特別加算(加算率1.1%)の場合

891×1.011(加算率)×21×10×10=1,891,682円

 

 

いかがでしょうか。最も高い加算Iを算定することができれば、一ヶ月当たり15万円程度の増収が見込めることとなります。実際の計算時には、ご利用者一人一人の単位数に四捨五入が生じる関係上、金額は一致しませんので、あくまでも参考とお考え下さい。常勤の職員が4名と考えると、満額の加算であれば昇給には十分な増収が得られる計算になります。

5 まとめ

放課後等デイサービスにおける福祉・介護職員処遇改善加算について解説してきました。

処遇改善加算には、職員の働く意欲を高めて介護と福祉の分野により多く、より質の高い人材を集める呼び水の効果があります。

しかし、経営サイドからは、昇進基準や昇給金額など、明確にしておかなければならない項目も多くあります。

処遇改善は決してその場しのぎものではありません。

長期的なビジョンも求められているのです。

取得にあたっては、がんばっている職員ひとりひとりの未来図と、事業所の未来図を重ね合わせながら考えていきたいものですね。

 

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処遇改善加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

 

(専門家監修:矢野文弘 先生)

総合事業の処遇改善加算について

介護事業経営者の皆様。

総合事業の説明会には参加されましたでしょうか。

平成27年(2015年)の法改正以降、新しい総合事業に関する説明会が各市町村で数回にわたって開催。

この記事では、「説明会を逃してしまった」「改めてしっかり把握しておきたい」方に、全国共通のものから各市町村特有の内容まで詳しく説明していきます。

ぜひ、今後の事業展開等にお役立てください。

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処遇改善加算のおさらい

処遇改善加算とは?その目的は?

処遇改善加算とは、加算の主名目は、賃金改善による介護職員の職種定着を図るために、当該施設が一定のキャリアパスという要件を満たした場合にのみ算定される加算です。

介護職員の定着だけでなく、サービスの質的向上、事業所のイメージアップを図る上でも、重要な加算です。

元々、平成23年度まで実施されていた「介護職員処遇交付金」が元になっています。

処遇改善加算については、前回の介護報酬改定(平成27年度)にて、加算の種類が4種類に分割されました。

加算Ⅰ~加算Ⅳですが、それぞれにキャリアパス要件が定められており、施設ごとの状況に応じた適切な処遇改善加算が算定されるように設定されています。

介護報酬毎に上方修正される処遇改善加算ですが、実際に現場の声を聴いてみると、費用対効果が見合っていないという声が多く聞かれています。

その要因としては、介護職の世間のイメージもあるでしょう。

 

介護業界には、いまだ人材が集まらないという状況が続いています。そのため、介護職員一人当たりへのマンパワーが極点化し、「報酬は増えても、それに見合っていない、むしろもっとあげてくれ」といった、いわば”いたちごっこ”の状況になっています。

これらの状況を改善してくれるような上方修正を、今後の処遇改善加算の改定には期待したいものです。

総合事業のおさらい

総合事業とは

総合事業とは、平成27年度から始まった日常支援総合事業のことを指します。

これは地域包括ケアシステムの名の下、機能し始めて間もないサービス形態です。

介護予防、生活支援サービス事業、一般予防事業などがこれに含まれています。

元々、介護保険サービスというのは、要支援者・要介護者主体のサービスでしたが、総合事業の考え方は、この枠組みを一般高齢者まで裾野を広げ、健康な体作りの増進などを目的に、一般予防事業にも力を入れています。

総合事業のみなし指定とは

みなし指定とは、当該事業所が総合事業を展開する際において、指定事業所とみなす場合を、みなし指定といいます。

みなし指定期間を作ることは、介護予防事業が、総合事業にスムーズに展開することが可能になるため、移行を検討している事業所の方は、平成30年3月末までの有効期間内に移行するようにしましょう。

詳細はこちらをお願いします。

新しい総合事業で何が変わる!? 介護事業所がすべきこととは - 介護支援ブログ

総合事業における処遇改善加算

総合事業における算定届の必要有無

算定を受けるためには、当該事業所の付属する市町村に対して、提出期限までに届出をする必要があります。

これから新しく総合事業関連の加算の適用を受けようと思った時や、加算の要件に該当しなくなった時など、基本的に事業形態が変化する場合は届出が必要です。

(届出先が都道府県である場合は、都道府県に届出を行うと同時に、当該届出の写しを市町村に提出してください)

総合事業における算定届出の提出先

提出先は先述の通り、当該事業所の付属する市町村です。

提出書類については各々のホームページに詳細が記載してあります。

さらに、市町村によっては、封筒の指定や封筒面の書き方の指定などもありますので、詳細に至っては各市町村ホームページを参考にしてください。

みなし指定事業者については、処遇改善加算に関する届出が都道府県及び政令指定都市にされており、別紙等が添付されている場合は、市町村への届出及び別紙等の添付は不要です。

総合事業における算定届出のプロセス

① 事前相談

当該施設のある市町村の行政に対して、総合事業開始にあたり、相談窓口まで相談をするか、もしくは、市町村が指定する相談にあたって必要な書類を提出します。

事前相談については、提出を求められる場合とそうでない場合がありますので、こちらについては市町村ホームページを確認してください。

② 指定申請書の提出

事前相談後、市町村が指定する指定申請書を期限内に提出する必要があります。

こちらについても、全てホームページに記載していますが、参考までにこちらの市町村のホームページを参照してみてください。

足立区/介護予防・日常生活支援総合事業の指定申請について

③ 指定前実地調査

市町村から、適切な事業運営が期待できるかについて、運営基準をはじめ、人員基準、設備基準などの確認作業が入ります。

④ 指定の決定

上記①~③の流れを受け、総合事業の指定を受けることが出来ます。

まとめ

今回は、総合事業における処遇改善加算を紹介させていただきました。

総合事業は平成30年度まで移行期限があり、処遇改善加算は、平成29年度にさらなる上方修正が入ります。

つまり、総合事業における介護職のニーズというのは高まっていくことが今後も予測されます。

総合事業を展開される事業者の方は、処遇改善加算についても見直してみてはいかがでしょうか。

 

参考になればシェアのほどお願い致します。

 

処遇改善加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

 

総合事業について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

 

(専門家監修:矢野文弘 先生)