介護支援ブログ

介護制度について分かりやすく解説しています。介護に関っている全ての方々に役立つ総合介護情報サイト目指しています。現在は主に介護職員処遇改善加算、キャリアパス要件、介護保険施設等の実地指導について執筆中です。

放課後等デイサービスでもキャリアビジョンが描ける! 福祉・介護職員処遇改善加算の内容と算定方法とは?

放課後等デイサービスは、障害をもつお子さんのための学童保育所です。

利用者である6~18歳のお子さんにとっては、必要なケアを受けられる大切な居場所です。

地域包括支援事業や総合支援事業など、介護サービスの多様化が進む中、障害分野に類する放課後デイ等サービスも今後拡充していくものと考えられます。

そんな中で、人材確保は介護福祉業界の大きな課題です。

働く職員にとって魅力のある職場づくりに役立つのが、今回の記事でご紹介する福祉・介護職員処遇改善加算です。

加算の仕組みはわかりにくいものですが、ぜひご一読されて、今後の経営にお役立てください。

f:id:kaigo-shienn:20170510145858j:plain

1 福祉・介護職員処遇改善加算とは

福祉・介護職員処遇改善加算は、福祉や介護現場で働く職員の待遇を改善して職場への定着を図ると同時に、人材不足が続く福祉・介護業界の人材確保を目的として平成24年4月に創設されました。

 

それまでの「交付金」が一時的な手当であるのに対して、「加算」という仕組みになったことで、要件を満たしている限りその事業所が上乗せして報酬を受け取ることができます。

その上乗せ分を職員の給与をアップさせるために使う、というのがこの福祉・介護職員処遇改善加算の概要です。使途については明確に処遇改善のためだけに使うことが求められています。

年を追うごとに加算はより手厚いものへとなっていますが、それに伴い要件も増えています。

職員が自分の将来像をイメージしながら、目標と希望を持って働けるように考えられています。

導入された時点では、もともとは加算という形式は3カ年の一時的な施策でした。

まず目先の人材不足に対応しつつ、将来的には加算分の賃金上昇が可能なくらい基本サービス費をアップさせようという目論見がありました。

しかし、福祉や介護を取り巻く財政には厳しいものがあり、報酬改定には厚生労働省だけでなく財務省など関係各省庁の折衝があるため、思うようには進まず、加算の制度が維持されているという背景もあります。

 

結果的に、平成27年度介護報酬改定においては制度が維持されただけでなく、さらに介護職員の社会的・経済的な評価を高めるサイクルを生み出すために、介護事業者の取組みがより促進されるように加算が拡充されました。

そして平成29年4月より、さらに加算の枠組みが拡大されています。

2 福祉・介護職員処遇改善特別加算とは

福祉・介護職員処遇改善加算と混同されがちですが、「特別加算」は全く別の加算となりますので注意が必要です。

特別加算は、福祉・介護職員処遇改善加算の算定が難しい事業所に対しても、職員の処遇改善を図ることができるように創設された加算です。

通常の加算が区分I~Vに区分され、それぞれ算定に必要な要件が定められているのに対し、特別加算は、職員の処遇改善を図ることが明確であれば算定可能です。

ただし、通常の加算と比べて得られる金額は低く設定されており、放課後等デイサービスにおいては、1.1%の加算率となっています。

加算を算定するために都道府県知事等に届出が必要であることは通常の加算と同じです。

要件を示すための書類については必要ありません。

詳しくは最新の厚生労働省通知をご確認ください。

福祉・介護職員処遇改善加算及び福祉・介護職員処遇改善特別加算に関する 基本的考え方

3 放課後等デイサービスの福祉・介護職員処遇改善加算とは

放課後等デイサービスにおいても、福祉・介護職員処遇改善加算の算定方法や条件は、他のサービスとの違いはありません。

区分ごとに明確な算定要件が定められています。

加算Iに近いほど、加算率が高くその分多くの金額を職員の給与に反映させることができます。

しかし、より要件が厳しくなり、中長期的に職員を育成できる仕組みが必要となります。

それぞれの事業所において身の丈に見合う加算算定が重要です。

まず、5区分の加算区分について、それぞれの加算率と一緒に確認していきます。

 

  1. 加算I(放課後等デイサービスの加算率1%)
    キャリアパス要件Ⅰ、キャリアパス要件 Ⅱ、キャリアパス要件Ⅲ、職場環境等要件の全てを満たすこと。
  2. 加算II(放課後等デイサービスの加算率9%)
    キャリアパス要件I、キャリアパス要件II、職場環境等要件の全てを満たすこと。
  3. 加算III(放課後等デイサービスの加算率3%)
    キャリアパス要件I又はキャリアパス要件IIのどちらかを満たすことに加え、職場環境等要件を満たすこと。
  4. 加算IV(放課後等デイサービスの加算率7%)
    キャリアパス要件I、キャリアパス要件II、職場環境等要件のいずれかの要件を満たすこと。
  5. 加算V(放課後等デイサービスの加算率4%)
    キャリアパス要件I、キャリアパス要件II、職場環境等要件のいずれの要件も満たさないこと(キャリアパス要件IIIのみを満たしている)。

 

続いて、それぞれの区分で求められる3つのキャリアパス要件と職場環境等要件を確認していきましょう。

 

◎キャリアパス要件(I)

次のイ・ロ・ハすべての要件を満たすことが必要です。

 

イ 職員の職位、職責又は職務内容等に応じた任用等の要件を定めている。

 

施設には様々な職種の職員が働いています。その中で、特に昇進すると仕事内容がどのように変わるのかを明らかにするのは難しいことです。

規模の大きな一般企業であれば、昇進のための試験を設けているところもあるでしょう。

試験を行うことで、一定の水準に達していればその職責に足る、という判断が可能です。

福祉や介護の事業所において、試験を行うような仕組みづくりは難しいと思われます。

そのため、業務分掌を作成して、職種・職位ごとの担当業務の明確化を図ること等が必要となります。

 

 

ロ 職位、職責又は職務内容等に応じた賃金体系について定めている。

 

給与について、職種ごとの基本給や手当について、明確にされていることが必要です。

 

同じ職位であっても年齢や経験年数によって給与に差がつくケースは多いと思われます。

その場合、その違いの根拠が示せるような基準が必要となります。

 

給与は本来、需要と供給のバランスによって成り立つものであり、人手不足であれば高く、就職難の場合は低くなるものです。

そのため就職したタイミングで給与に差が付く場合がありますが、本来よりも高い水準の給与が支払われている場合は、上乗せ分を特別手当とするなど、明確にしておく必要があります。

 

 

ハ 就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、すべての福祉・介護職員に周知し

ている。

 

1と2の内容も含めて、誰でもが自由に確認できる場所に就業規則を書面の形で設置して、その存在についても周知している必要があります。

昇進したら給料がいくらアップするのかがわかるようにしておくことは、職員のモチベーション向上のためにも有効です。

ですが、逆に知られてしまうことで将来性を感じてもらえずに職員に見切られてしまうというリスクもあり、経営サイドとしては苦しいところです。

 

◎キャリアパス要件(II)

次のイ・ロのどちらの要件も満たすことが必要です。

 

イ 福祉・介護職員の職務内容等を踏まえ、福祉・介護職員と意見を交換しながら、資質向上の目標及び一又は二に掲げる具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会を確保していること。

一 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等を実施(OJT、OFF-JT 等)するとともに、福祉・介護職員の能力評価を行うこと。

ニ 資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、 休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること。

 

OJTとは、職場内で業務中に行う研修のことを言います。

具体的にはプリセプター制度やスーパーバイザー制度と呼ばれる、職員の育成方法が当てはまります。

経験の浅い職員を指導することは、同時に指導役の職員の育成でもあります。

OFF-JTとは、職場を離れて研修会や勉強会などに参加することを言いますが、注意すべきはあくまでも「業務内」であるということです。

職員が自分の休みを使って自分でお金を払って参加したものは含まれません。

資格取得支援も含めて、研修に参加するための費用や、参加している間に現場の人員が不足することで生じる人件費も、計画的に予算に組んでおくことが必要となります。

 

ロ イについて、全ての福祉・介護職員に周知していること。 

 

業務に追われがちな職員にとって、一時的にでも持ち場を離れて研修に参加することはリフレッシュにもなります。

また活かすことのできない資格に時間を割こうという職員はいませんから、事業所全体で応援しているという姿勢も重要です。

そのような仕組みがあること、積極的に利用してほしいことを伝え、利用につなげていることが求められます。

 

◎キャリアパス要件(III)

次のイ及びロのどちらも満たしていることが必要です。

 

イ 福祉・介護職員について、経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けていること。

具体的には、次の一から三までのいずれかに該当する仕組みであること。 

 

一 経験に応じて昇給する仕組み

「勤続年数」や「経験年数」などに応じて昇給する仕組みであること 

 

二 資格等に応じて昇給する仕組み

「介護福祉士」や「実務者研修修了者」などの取得に応じて昇給する仕組みであること。ただし、介護福祉士資格を有して当該事業所や法人で就業する者についても昇給が図られる仕組みで あることを要する。 

 

三 一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組み

「実技試験」や「人事評価」などの結果に基づき、昇給する仕組みであること。

ただし、客観的な評価基準や昇給条件が明文化されていることを要する。

 

 

ロ イの内容について、就業規則等の明確な根拠規定を書面で整備し、全ての福祉・介護職員に周知していること。 

 

新設のキャリアパス要件(III)は、「昇給」についての規定です。 

勤続年数や資格などによって昇給する仕組みか、定期昇給のいずれかの仕組みが必要です。

資格取得によって行う昇給は、資格を失うことはないために将来的にずっと財源が必要となります。

人件費のアップだけを招かないように、職員が資格を得ることによって加算の算定が可能となるなど、事業所にも増収が期待できる資格について、昇給する仕組みであることが重要です。

定期昇給については、職員ごとの評価の差があることがモチベーションのアップのためにも重要です。

人事評価制度を基にきちんと評価できる仕組みを作りましょう。

定められた期間のはじめに、「何を求めているのか」を明らかにしておかないと、期末の評価があいまいなものとなってしまいますので注意が必要です。

 

◎加算(Ⅰ)及び(Ⅱ)に必要な職場環境等要件

平成27年4月から届出を要する日の属する月の前月までに実施した処遇改善(賃金改善を除く。)の内容を全ての 福祉・介護職員に周知していること。

 

◎加算(Ⅲ)及び(Ⅳ)の職場環境等要件

 平成20年10月から届出を要する日の属する月の前月までに実施した処遇改善(賃金改善を除く。)の内容(別紙1表4を参照)を全ての 福祉・介護職員に周知していること。 

 

加算Iもしくは加算IIを算定するためには、継続的に職場の労働環境を改善していることを実績として示す必要があります。平成27年4月から取り組んでいるものを明らかにする必要があるため、それ以前に行われて取り組みだけでは加算IまたはIIには該当しません。

 

※キャリアパス要件は区分ごとに細かく設定されており、複雑に感じる方も多いと思

います。詳細については、こちらのサイトも参考にされてください。

キャリアパス要件について 介護職員処遇改善加算マニュアル - 介護支援ブログ

4 福祉・介護職員処遇改善加算の計算方法

福祉・介護職員処遇改善加算は、サービス種別ごとに定められた加算率を、処遇改善加算以外のサービス費の合計単位に乗じて算定されます。

では、事業所のモデルを用いて、実際の加算額について解説していきます。

 

◎定員10名の放課後等デイサービス事業所

平日・放課後のみで月21日稼働。児童発達支援管理責任者と児童指導員がともに

常勤で勤務している場合

 

上記の条件で運営されている放課後等デイサービスの場合、一日・一人当たりの合計単位数は891単位となります。内訳は以下の通りです。

 

内訳

基本単位:491(有資格者配置加算9単位含む)

児童発達支援管理責任者専任加算:205

指導員加配加算(児童指導員等の場合):195単位

 

 

では、稼働が100%であったと仮定して、一ヶ月あたりの実際の加算額について計算してみましょう。1単位は10円としています。

 

○加算の算定がない場合

891(単位)×21(日)×10(人)×10(円)=1,871,100円

 

○加算I(加算率8.1%)の場合

891×1.081(加算率)×21×10×10=2,022,609円

 

○加算II(加算率5.9%)の場合

891×1.081(加算率)×21×10×10=1,977,753円

 

○加算III(加算率3.3%)の場合

891×1.081(加算率)×21×10×10=1,932,864円

 

○加算IV(加算率2.7%)の場合

891×1.081(加算率)×21×10×10=1,921,620円

 

○加算V(加算率2.4%)の場合

891×1.081(加算率)×21×10×10=1,916,006円

 

*特別加算(加算率1.1%)の場合

891×1.011(加算率)×21×10×10=1,891,682円

 

 

いかがでしょうか。最も高い加算Iを算定することができれば、一ヶ月当たり15万円程度の増収が見込めることとなります。実際の計算時には、ご利用者一人一人の単位数に四捨五入が生じる関係上、金額は一致しませんので、あくまでも参考とお考え下さい。常勤の職員が4名と考えると、満額の加算であれば昇給には十分な増収が得られる計算になります。

5 まとめ

放課後等デイサービスにおける福祉・介護職員処遇改善加算について解説してきました。

処遇改善加算には、職員の働く意欲を高めて介護と福祉の分野により多く、より質の高い人材を集める呼び水の効果があります。

しかし、経営サイドからは、昇進基準や昇給金額など、明確にしておかなければならない項目も多くあります。

処遇改善は決してその場しのぎものではありません。

長期的なビジョンも求められているのです。

取得にあたっては、がんばっている職員ひとりひとりの未来図と、事業所の未来図を重ね合わせながら考えていきたいものですね。

 

この記事が参考になった方はシェアをお願いいたします。

 

 

処遇改善加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

 

(専門家監修:矢野文弘 先生)

総合事業の処遇改善加算について

介護事業経営者の皆様。

総合事業の説明会には参加されましたでしょうか。

平成27年(2015年)の法改正以降、新しい総合事業に関する説明会が各市町村で数回にわたって開催。

この記事では、「説明会を逃してしまった」「改めてしっかり把握しておきたい」方に、全国共通のものから各市町村特有の内容まで詳しく説明していきます。

ぜひ、今後の事業展開等にお役立てください。

f:id:kaigo-shienn:20170404105144j:plain

処遇改善加算のおさらい

処遇改善加算とは?その目的は?

処遇改善加算とは、加算の主名目は、賃金改善による介護職員の職種定着を図るために、当該施設が一定のキャリアパスという要件を満たした場合にのみ算定される加算です。

介護職員の定着だけでなく、サービスの質的向上、事業所のイメージアップを図る上でも、重要な加算です。

元々、平成23年度まで実施されていた「介護職員処遇交付金」が元になっています。

処遇改善加算については、前回の介護報酬改定(平成27年度)にて、加算の種類が4種類に分割されました。

加算Ⅰ~加算Ⅳですが、それぞれにキャリアパス要件が定められており、施設ごとの状況に応じた適切な処遇改善加算が算定されるように設定されています。

介護報酬毎に上方修正される処遇改善加算ですが、実際に現場の声を聴いてみると、費用対効果が見合っていないという声が多く聞かれています。

その要因としては、介護職の世間のイメージもあるでしょう。

 

介護業界には、いまだ人材が集まらないという状況が続いています。そのため、介護職員一人当たりへのマンパワーが極点化し、「報酬は増えても、それに見合っていない、むしろもっとあげてくれ」といった、いわば”いたちごっこ”の状況になっています。

これらの状況を改善してくれるような上方修正を、今後の処遇改善加算の改定には期待したいものです。

総合事業のおさらい

総合事業とは

総合事業とは、平成27年度から始まった日常支援総合事業のことを指します。

これは地域包括ケアシステムの名の下、機能し始めて間もないサービス形態です。

介護予防、生活支援サービス事業、一般予防事業などがこれに含まれています。

元々、介護保険サービスというのは、要支援者・要介護者主体のサービスでしたが、総合事業の考え方は、この枠組みを一般高齢者まで裾野を広げ、健康な体作りの増進などを目的に、一般予防事業にも力を入れています。

総合事業のみなし指定とは

みなし指定とは、当該事業所が総合事業を展開する際において、指定事業所とみなす場合を、みなし指定といいます。

みなし指定期間を作ることは、介護予防事業が、総合事業にスムーズに展開することが可能になるため、移行を検討している事業所の方は、平成30年3月末までの有効期間内に移行するようにしましょう。

詳細はこちらをお願いします。

新しい総合事業で何が変わる!? 介護事業所がすべきこととは - 介護支援ブログ

総合事業における処遇改善加算

総合事業における算定届の必要有無

算定を受けるためには、当該事業所の付属する市町村に対して、提出期限までに届出をする必要があります。

これから新しく総合事業関連の加算の適用を受けようと思った時や、加算の要件に該当しなくなった時など、基本的に事業形態が変化する場合は届出が必要です。

(届出先が都道府県である場合は、都道府県に届出を行うと同時に、当該届出の写しを市町村に提出してください)

総合事業における算定届出の提出先

提出先は先述の通り、当該事業所の付属する市町村です。

提出書類については各々のホームページに詳細が記載してあります。

さらに、市町村によっては、封筒の指定や封筒面の書き方の指定などもありますので、詳細に至っては各市町村ホームページを参考にしてください。

みなし指定事業者については、処遇改善加算に関する届出が都道府県及び政令指定都市にされており、別紙等が添付されている場合は、市町村への届出及び別紙等の添付は不要です。

総合事業における算定届出のプロセス

① 事前相談

当該施設のある市町村の行政に対して、総合事業開始にあたり、相談窓口まで相談をするか、もしくは、市町村が指定する相談にあたって必要な書類を提出します。

事前相談については、提出を求められる場合とそうでない場合がありますので、こちらについては市町村ホームページを確認してください。

② 指定申請書の提出

事前相談後、市町村が指定する指定申請書を期限内に提出する必要があります。

こちらについても、全てホームページに記載していますが、参考までにこちらの市町村のホームページを参照してみてください。

足立区/介護予防・日常生活支援総合事業の指定申請について

③ 指定前実地調査

市町村から、適切な事業運営が期待できるかについて、運営基準をはじめ、人員基準、設備基準などの確認作業が入ります。

④ 指定の決定

上記①~③の流れを受け、総合事業の指定を受けることが出来ます。

まとめ

今回は、総合事業における処遇改善加算を紹介させていただきました。

総合事業は平成30年度まで移行期限があり、処遇改善加算は、平成29年度にさらなる上方修正が入ります。

つまり、総合事業における介護職のニーズというのは高まっていくことが今後も予測されます。

総合事業を展開される事業者の方は、処遇改善加算についても見直してみてはいかがでしょうか。

 

参考になればシェアのほどお願い致します。

 

処遇改善加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

 

総合事業について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

 

(専門家監修:矢野文弘 先生)

個別機能訓練加算Ⅱとは?算定に必要な情報を分かりやすく解説

介護サービスを提供する事業者にとって、加算を取得することは、経営を安定させ、良い人材を雇用するためにとても大切なことです。

個別機能訓練加算Ⅱの算定を新規に検討されている、もしくは引き続き算定基準を満たしているのか確かめたい介護事業者の皆様のために、必要な情報をわかりやすく解説します。

個別機能訓練加算を取得し、より安定した経営を実現したい事業者の方は、ぜひこの記事をご覧ください。

f:id:kaigo-shienn:20170217153054j:plain

個別機能訓練加算Ⅱとは

個別機能訓練の概要

個別機能訓練加算Ⅱについて簡単に説明します。

デイサービスやデイケアといった通所系サービスにおいて、サービス提供時間中に、利用者に個別または5人以下の小グループで機能訓練を実施した場合につく加算です。

加算の申請にあたっては、人員基準を満たすほかに、居宅訪問、個別機能訓練計画書の作成、モニタリングなどの算定要件をクリアすることが必要になります。

平成27年度の改正内容

平成27年度の介護保険法の改正に伴い、個別機能訓練加算の単位数も変更されました。

多くの項目で単位数が減らされた中、個別機能訓練加算については、ⅠとⅡのいずれも増額されています。

機能訓練加算Ⅱについては、50単位から56単位に増えています。

また、アセスメントやモニタリング時において、居宅訪問をすることが義務付けられました

個別機能訓練の基本的な考え方は、自分が生活してきた家で、可能な限り自立して生活していけるようにするための訓練であるということです。

そのためには本人が現在住んでいる家屋を訪問し、利用者本人やご家族のニーズに加えて、自宅における環境面で何が障害になっているのかをチェックします。

そこで得た様々な情報やニーズ、住環境などを総合して判断し、個別機能訓練計画書を作成していきます。

個別機能訓練加算Ⅰ、Ⅱの関係性

個別機能訓練加算には、個別機能訓練加算(Ⅰ)個別機能訓練加算(Ⅱ)があり、それぞれ目的、算定条件、加算の単位は異なっています。

目的が異なるので、それに合わせて算定要件が定められていると言えます。

 

個別機能訓練加算(Ⅰ)は、厚生労働省のサイトで以下のように説明されています。

個別機能訓練加算()は、常勤専従の機能訓練指導員を配置し、利用者の自立の支 援と日常生活の充実に資するよう複数メニューから選択できるプログラムの実施が求 められ、座る・立つ・歩く等ができるようになるといった身体機能の向上を目指すことを中心に行われるものである。

出典:厚生省

ADL(Activities of Daily Living=日常生活動作)、つまり、立ち上がる、歩くといった移動に関する動作の他に、スプーンを持つ、噛む、飲み込むといった食事に関する動作など、毎日の生活で必ず必要になる一つ一つの動作ができるようになるための訓練にあたります。

個別機能訓練を実施してもらうのは、もちろん利用者にとってもメリットのあることです。

しかし逆に言えば、これらADLの基本的な行動ができないとなると、訪問介護や訪問看護といった更なるサービスの利用や、いずれは施設への入所を検討したりすることに繋がっていきます。

そうなると介護保険からの支出が増大するので、国としては個別機能訓練加算を付けてADLを維持してもらった方が財政的にもいいわけです。

それゆえに平成27年度の改正により、1日当たりの加算額が42単位から46単位に増やされました。

増額分は4単位ですが、個別機能訓練加算Ⅱの増額分は6単位です。

人員基準においてはⅠでは「常勤・専従」の機能訓練指導員を配置する必要があるので、「専従」と指定されているⅡよりも厳しいともいえるのですが、ⅠよりⅡが重視されているとみることができます。

 

個別機能訓練加算(Ⅱ)では、

身体機能 の向上を目的として実施するのではなく

体の働きや精神の働きである「心身機 能」

ADL・家事・職業能力や屋外歩行といった生活行為全般である「活動」

 ③家庭や社会生活で役割を果たすことである「参加」

といった生活機能の維持・向 上を図るために、機能訓練指導員が訓練を利用者に対して直接実施するものである。

出典:厚生省

つまり個別機能訓練(Ⅱ)は、ADLより複雑な動作が組み合わさった、高次の生活機能を評価するIADL(Instrumental Activities of Daily Living=手段的日常生活動作)を維持すること、または新たにできるようになることを目的としています。

ADLの目標が「玄関まで歩く」なら、IADLの目標は「近所の店まで買い物に行く」といったところでしょうか。

目標はシンプルですが、その間には、服や靴の着脱、財布や鍵の確認、店までの移動、実際の買い物といった、実に様々な動作が組み合わさっています。

また、財布や鍵の確認といったことは、筋肉の動作のみならず、「プランを立てる」「必要なものを考える」といった脳の作業を伴います。近所の店まで行くということは、「途中で近所の人とあいさつや会話をする」「お店の人とのやりとり」といった社会性にも関わります。

こういったことも含めてIADLになるので、厚生労働省は上のように「心身機能」「活動」「参加」の3つの点を挙げています。

個別機能訓練加算Ⅱの算定要件

では、あらためて個別機能訓練加算Ⅱの算定要件について解説します。

人員配置

人員配置については、専ら機能訓練指導員の職務に従事する常勤の理学療法士等を1名以上、機能訓練指導員として配置する必要がありますが、「等」となっているので、その他に、国家資格を持つ作業療法士や言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師を機能訓練指導員にした場合でも基準を満たすことになります。

個別機能訓練Ⅰとは違い「常勤」ではないので、機能訓練を実施する間だけ勤務していればよいことになります。

訓練について

生活機能の維持・向上のための訓練を効果的に実施するためには、実践的な訓練 を反復して行うことが中心となるため、身体機能を向上とすることを目的とした機能訓練とは異なるものである。実際の生活上の様々な行為を構成する実際的な行動 そのものや、それを模した行動を反復して行うことにより、段階的に目標の行動が できるようになることを目指すことになることから、事業所内であれば実践的訓練 に必要な浴室設備、調理設備・備品等を備えるなど、事業所内外の実地的な環境下で訓練を行うことが望ましい。

出典:厚生省

訓練内容や訓練を行う環境について、このように定められています。

「近所の店まで買い物に行く」が目標とします。理学療法士などの機能訓練指導員が実施者となり、それに関わる機能訓練を実施します。

具体的には、衣服や靴の着脱を繰り返し練習したり、実際に外に出て歩いたりしながら、目標に沿った機能訓練を行います。

目標の設定が「入浴」や「調理」、「趣味」に関することであれば、それぞれに合った設備や備品が事業者側に用意してある必要があります。

個別機能訓練加算Ⅱの届出手順

個別機能訓練加算Ⅱを算定するには、以下の4点の書類が必要になります。

  • 変更届出書
  • 個別機能訓練加算に関する届出書
    自治体によって「通所介護における個別機能訓練加算チェック表」など、名称は異なりますが、内容としてはほぼ同じになります。
  • 従業者の勤務体制及び勤務形態一覧表
    算定開始予定月の従業者の勤務の体制及び勤務形態一覧表になります。
    実際に個別機能訓練を行う機能訓練指導員の勤務体制が分かるように記載します。
  • 機能訓練指導員の資格証の写し
    機能訓練指導員に該当する職種は国家資格ですから、この資格者証のコピーを添えて提出することになります。

平成29年3月時点で、申請に必要な書類の様式や名称を変更する自治体があります。

加算の届出が遅れると、算定開始が遅くなるので、早めに確認されることをおすすめします。

これらの書類を県または市町村の福祉課等に提出します。

京都市を例に挙げると、届出受理日が毎月の15日以前に受理されれば翌月から、16日以降に受理されれば翌々月からとなっています。

加算の始まりは、申請書類作成日や発送日ではなく、担当課に受理された日を基にされているので注意が必要です。

個別機能訓練計画書について

個別機能訓練計画書とは

個別機能訓練計画書には、利用者のニーズや課題に合わせて、長期目標と短期目標を設定します。

また、具体的にどのようなプログラムを行うのか、プログラム提供時における留意点、機能訓練の頻度と1回あたりの時間なども記載します。

平成27年度改正の影響を受け、この個別機能訓練計画書作成に先立ち、機能訓練指導員が居宅を訪問することが必須になっています。

見直しの時期

3カ月に一度はモニタリングを行い、個別機能訓練計画書の見直しを行います。

目標の達成度に応じて、目標やプログラム内容の変更、継続を判断します。

利用者の心身や環境等に大きな変化があった場合にはその都度対応します。

利用者に説明し、同意を得るとともに、ケアマネジャーにもコピーを送付します。

様式の例

個別機能訓練計画書の様式例は以下から見ることができます。

個別機能訓練計画書 記入例

まとめ

個別機能訓練加算Ⅰよりも加算の大きいⅡについて、まとめてみました。

平成27年度の改正により、居宅訪問や個別機能訓練計画書の頻繁な見直しなど、ただでさえ忙しい現場において時間を取ることがなかなか大変なようですが、しっかり加算をとって安定した経営とよい人材を確保していきたいものです。

この記事が参考になった方はぜひシェアをお願いいたします。

 

個別機能訓練加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

 

(専門家監修:矢野文弘 先生)

にほんブログ村 介護ブログ