介護支援ブログ

介護制度について分かりやすく解説しています。介護に関っている全ての方々に役立つ総合介護情報サイト目指しています。現在は主に介護職員処遇改善加算、キャリアパス要件、介護保険施設等の実地指導について執筆中です。

通所介護における個別機能訓練加算ⅱとは?

3年に一度行われる介護報酬改定で、どこが変わったの?何で変わったの?お困りではないでしょうか。

個別機能訓練加算ⅱを適切に算定し、経営・雇用の安定化を目指したい介護事業者の皆様はぜひこの記事をご覧ください。

そんな改定内容を介護事業者の皆様が読んで分かりやすい解説をしていきます。

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1)2015年改定での通所介護における個別機能訓練加算iiの変更点

  2015年改定前 2015年改定後
単位 50単位 56単位
評価算定内容 個別機能訓練を行う場合は、個別機能訓練計画書を作成し開始時とその後3カ月に1回以上利用者または家族に内容を説明し記録する。
その際、目標の見直しや訓練内容の評価や変更するなど適切な対応をとる。
個別機能訓練を行う場合は機能訓練指導員等が居宅を訪問し興味関心シートの作成・生活状況を確認したうえで個別機能訓練計画書を作成。
見直しは3カ月に1回以上自宅訪問し評価・進歩状況を説明し記録する。
また、訪問時は居宅訪問チェックシートの記入を行う。

2015年の介護報酬改定における変更点を要約すると、

  • 単位が6単位増えた
  • 本人の興味関心をチェックシートに記入
  • 自宅に訪問して評価・進歩状況の確認を行い、居宅訪問チェックシートに記入

この3点が大きな変更点かと思います。

また、自宅訪問に関して、ご家族によっては訪問を嫌がる方もいらっしゃると思います。

その為、あらかじめ事前に自宅訪問に関して説明しておきましょう。

適切な時期としては初回訪問時が良いかと思います。

初回訪問は契約・重要事項説明などに含めて説明をする機会ですので、訪問の了承を得やすいかもしれません。

2)通所介護における個別機能訓練加算iiの算定要件

個別機能訓練加算にはⅰとⅱの2種類があります。

  個別機能訓練加算ⅰ 個別機能訓練加算ⅱ
目的 身体機能の維持向上の個別機能訓練 生活機能向上のニーズにあった心身の状況を重視した個別機能訓練
人員配置 常勤の理学療法士等1名が機能訓練指導員のみに従事し提供時間内終日の配置。 機能訓練の実施時間内に勤務し機能訓練指導員のみに従事する職員が1名必要。
実施時間内に勤務していれば遅刻・早退しても算定可能。
非常勤の職員でも良い。
プログラム内容 筋力の維持向上や可動域を広げるなど身体機能の向上内容に沿ったプログラム ADL及びIADLも含む可能な限り自立していけるよう生活機能の維持向上に関する段階的なプログラム。
具体的な行為に対してプログラムを設定することが望ましい。
実施人数等 具体的に人数の制限はなく、グループで行うことも可能 個別対応もしくは目標が一致した個人で5名程度まで
実施場所 特に記載はない 施設内では目標に沿った環境


それぞれ目的が異なるため、同日での両方の算定が可能です。

では、個別機能訓練加算ⅱをもっと深く掘り下げていきましょう。

個別機能訓練加算ⅱ算定要件

  1. 個別機能訓練加算ⅱに専従する機能訓練指導員を1名以上配置していること。(常勤・非常勤は問わない)。
  2. 機能訓練指導員等が個々の利用者の生活機能向上のニーズにあった心身の状況を重視した個別機能訓練計画を作成していること。
  3. 個別機能訓練計画に基づき、利用者の生活機能向上を目的とする機能訓練の項目を準備し、機能訓練指導員が利用者の心身の状況に応じた機能訓練を適切に行っていること。
  4. 機能訓練指導員等が利用者の居宅を訪問した上で、個別機能訓練計画を作成し、その後3ヶ月 に1回以上利用者の居宅を訪問した上で、利用者又はその家族に対して機能訓練の内容と個別機能訓練計画の進捗状況等を説明し、訓練内容の見直し・内容変更等を行っていること。
    ※ 機能訓練指導員等とは,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,看護職員,柔道整復師又はあん摩マッサージ指圧師をいう。
    ※加算算定には管轄の役所への届出が必要です。詳しくは各管轄の役所へお尋ねください。

要約すると

  • 個別機能訓練加算ⅱ算定の為専従の機能訓練指導員が1名以上必要
  • 個別機能訓練計画書はご本人の生活ベース(トイレに行きたい・お風呂に入りたい・買い物に行きたいなど)のプログラム設定を行なう。
  • プログラムに沿って個別でのリハビリを行なう。
  • 3ヶ月に1回以上の訪問での計画書の内容・進歩状況等の確認変更を行なう。

加算を算定するには、上記4点を満たしている必要があります。

3)個別機能訓練加算ⅱの計画書の内容解説

①個別機能訓練計画書とは

個別機能訓練加算を算定する為に、なぜ必要なのか・頻度・留意点等の算定に対するマニュアルになります。

②提出期限

個別機能訓練加算算定するにあたっての書類なので開始前が基本です。

③提出方法

ご本人及びご家族・ケアマネジャーへ提出が基本です。ただし、ご本人及びご家族には2部提出、1部サインを頂き事業所保存が基本です。

個別機能訓練加算ⅱのケアプランについて

まず、ケアマネジャーが作成したご本人及びご家族の要望に沿ったケアプランが基本ベースになります。

次に、通所介護計画書が作られます。

その中で、通所介護利用の目的で長期目標・短期目標・サービス内容等に沿って、なぜ個別機能訓練加算ⅱが必要かの記入が必要になってきます。

計画書様式例の紹介

ケアプラン

(長期目標)  自分でトイレに行きたい。

(短期目標)  車イスでの移動が行える。

(サービス内容)通所介護にてリハビリに参加。

通所介護計画書にケアプランの内容が記入されます。

(長期目標)  自分でトイレに行きたい。

(短期目標)  車イスで移動が行える。

(サービス内容)通所介護、個別機能訓練加算ⅱにて自宅内の動線及び危険箇所の把握を行い、ご本人が可能な限り自立してトイレに行けるよう個別のリハビリを行なう。

※なぜ個別機能訓練加算ⅱなのかの記載が重要です。

次に個別機能訓練加算ⅱの計画書の作成です。

(長期目標)   自分でトイレに行きたい。

(短期目標)   車イスでの移動が行える。

(プログラム内容)①車イスから立ち上がる、車イスへ座る訓練。

         ②手すりを持ちその場で足踏みの訓練。

         ③ベッドから車椅子への移乗動作訓練。

など、プログラム内容を細かく記入してください。

(留意点)    ①ブレーキがかかっているかの確認。

         ②姿勢が保てているか注意する。

         ③ブレーキの確認・立ち上がる際の姿勢の確認。

などプログラムに対しての留意点の記載も必要です。

(算定時間)   各プログラムに対して必要な時間を算定します。その合計が算定時間になります。

 

以上になりますが、介護・医療用語を使わず、利用者や家族など、誰が読んでも理解できる書き方で作成を行いましょう。

まとめ

事業所にとっては“いかに加算を取って人件費を軽減できるか“など経営を考えながらの対応で、日々業務に追われていると思います。

そのため、役所に確認する事は重要です。

少しでも皆様がスムーズに業務が行えるよう制度を要約し、発信できればと思います。

参考になった方は是非シェアをお願いします。

 

 

個別機能訓練加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

 

(専門家監修:矢野文弘 先生)

中重度者ケア体制加算における、職員数の計算方法

中重度者ケア体制加算を取ろうと思われた際に、加算に必要な職員数の計算がややこしく、頭を悩ませておられる方も多いのではないかと思います。

制度について読んでいくと、加配職員などの聞きなれない言葉も出てくるため、さらに戸惑うことでしょう。

この記事では、中重度者ケア体制加算について基本的な制度の内容から説明し、その上で職員数の計算方法、注意点を説明していきます。

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中重度者ケア体制加算とは?

中重度者ケア体制加算について、制度のできた背景や基本的な内容をおさらいしていきたいと思います。

1.中重度者ケア体制加算の背景・目的

中重度者ケア体制加算は、2015年(平成27年)の介護報酬改定の際に新設された制度です。

これから高齢化社会が進む際に、中重度者ケアが必要な高齢者が増えることは、容易に想像がつきます。

中重度者ケアの必要な高齢者は施設介護を利用する割合が増え、介護保険財政への負担が大きくなってきています。

そのため、中重度のケアが必要なものであっても、できるかぎり在宅での生活を維持できるように、制度自体もシフトしています。

その流れを受け、在宅からの通いサービスでも中重度者を積極的に受け入れられる施設を増やすことを目的に中重度者ケア体制加算が創設されました。

2.中重度者ケア体制加算の概要

先述したように、中重度者ケア体制加算は在宅生活を支えるサービスのため、適応となるのは「通所介護」と「通所リハビリ」の2つになります。

さらに、中重度者を支えるという観点から、利用者の介護度や職員の配置に対しても規定があります。

詳しくは以下の表をご覧ください。

  通所介護 通所リハビリ
利用者の要件 前年度、もしくは加算を行う月の前3カ月の全利用者(※)から、要支援者を除いたうえで、要介護者のうちの要介護3以上の利用者が占める割合が、3割以上。(※)前年度実績のない事業所のみ適応
職員の要件 人員基準で定められている介護職員および看護職員の人数に加えて、介護職員もしくは看護職員を常勤換算で、2以上配置する事。 人員基準で定められている介護職員および看護職員の人数に加えて、介護職員もしくは看護職員を常勤換算で、1以上配置する事。
サービス提供時間内において、専従の看護職員を1以上配置していること。
その他の要件 中重度の者であっても、社会性の維持を図り、在宅生活の維持に必要なケアを計画的に実施するプログラムを作成すること。 中重度の者であっても、社会性の維持を図り、在宅生活の維持に必要なリハビリを計画的に実施するプログラムを作成すること。

上記のように大まかに3つの条件を満たす必要があります。 以下で、その中の利用者の要件、職員の要件の計算方法について詳しく説明していきます。

中重度者ケア体制加算の計算方法

1.利用者における要介護3以上の割合の計算方法

この項目は、通所介護、通所リハビリ共に共通です。

例)通所介護(リハビリ)事業所の利用者状況

  要介護度 利用実績
1月 2月 3月
利用者① 要介護1 7回 4回 7回
利用者② 要介護2 7回 6回 8回
利用者③ 要介護1 6回 6回 7回
利用者④ 要介護3 12回 13回 13回
利用者⑤ 要介護2 8回 8回 8回
利用者⑥ 要介護3 10回 11回 12回
利用者⑦ 要介護1 8回 7回 7回
利用者⑧ 要介護3 11回 13回 13回
利用者⑨ 要介護4 13回 13回 14回
利用者⑩ 要介護2 8回 8回 7回
要介護3以上合計 46回 50回 52回
合計(要支援者を除く) 46回 50回 52回

(2015年の介護報酬改定Q&Aより抜粋)

①延べ人数で計算する方法

まず、利用者の総数(要支援者除く)を計算します。

(ここでは3カ月になっていますが、前年度実績の際には12カ月分で計算して下さい。)

82人(1月)+81人(2月)+88人(3月)=251人

同様に、要介護3以上の人の数を計算して下さい。

46人+50人+52人=148人

そして、要介護3以上の延べ人数を、利用者の総数で割って、割合を計算します。

148÷251=0.5896・・・となります。

少数第二位以下は切り捨てのため、58%となります。

30%以上であることから、基準を満たしていることとなります。

②実人数で計算する方法

まず、要支援者を除く利用者の人数を計算します。

9人(1月)+9人(2月)+9人(3月)=27人

同様に、要介護3以上の人の人数を計算してください。

4人+4人+4人=12人

そして、要介護3以上の人数を利用者の人数で割って、割合を計算します。

12÷27=0.44444・・・

となります。

少数第2位以下は切り捨てのため、44%となります。

こちらも30%以上であることから、基準を満たしていることとなります。

実際はどちらかが満たしていれば、基準を満たしたことになります

2.職員の配置数の計算方法

次に、加配職員の計算の方法を説明します。

ここでは通所介護を例に挙げて説明します。

通所リハビリでは、加配職員は常勤換算1以上ですのでご注意下さい。

 

例)ある通所介護事業所の1週間の職員配置です。

定員は20名で、提供時間は7時間。

常勤が必要とされる勤務時間が週40時間。

 
利用者数 18人 17人 19人 20人 15人 16人 105人
必要時間数 11.2時間 9.8時間 12.6時間 14時間 7時間 8.4時間 63時間
職員A 8時間 8時間 8時間 8時間 8時間 0時間 40時間
職員B 0時間 8時間 8時間 8時間 8時間 8時間 40時間
職員C 7時間 7時間 7時間 7時間 7時間 0時間 35時間
職員D 8時間 8時間 0時間 0時間 8時間 8時間 32時間
23時間 31時間 23時間 23時間 31時間 16時間 147時間
加配時間数 11.8時間 21.2時間 10.4時間 9時間 24時間 7.6時間 84時間

(2015年の介護報酬改定Q&Aより抜粋)

ここでは1週間を例に挙げていますが、実際は月単位で計算して下さい。

まずは表中の必要時間数の計算方法について説明します。

必要時間数は、利用者数に対して必要な介護職員の数を、提供時間で換算して割り出した時間数となります。

月曜日を例に説明しますと

必要な介護職員数は ((利用者数-15)÷5+1)で計算されます。

よって、月曜日は1.6人となります。

そこに提供時間数をかけて、必要時間数を求めます。

1.6×7=11.2

となり、必要時間数は11.2時間となります。

もう1つ、表中の加配時間数について説明します。

加配時間とは、先ほど割り出した必要時間数よりも実際に職員が多く確保された時間数を指します。

職員の延べ勤務時間から必要時間数を引いて求めます。

月曜日を例に説明しますと、

延べ勤務時間(合計)23-11.2=11.8時間となります。

ここで割り出された加配時間を常勤の必要とされる勤務時間数で割ったものが、加配人数となり、それが2以上であれば基準を満たすことになります。

ここでは、週全体で84時間の加配時間があり、常勤の必要な勤務時間40で割ると、2.1人となるため、基準を満たしたことになります。

中重度者ケア体制加算の計算における注意点

以下に、計算するうえで間違いやすい項目を記載します。ご一読ください。

利用者の要件について)

  • 利用者の要件を、前月までの3カ月で申請した場合は、その後も要件を満たしているか隔月ごとに確認し、要件を下回った場合には直ちに申請を取り消さなければなりません。
    毎月注意して計算していきましょう。

職員の要件について)

  • 常勤換算時間を計算する際の勤務延べ時間数に関しては、サービス提供時間前後の延長加算を算定する際に配置する、介護職員および看護職員の勤務時間は含めることが出来ませんので、注意が必要です。
  • 加配の延べ勤務時間数に、加算の算定要因となる「専属で必要となる看護師の勤務時間数」を含めてはいけません
    専従の看護職員以外に、看護職員が配置されている場合には、加配時間に含めてもかまいません。
  • 看護職員が1人も勤務できていない場合(体調不良等)その日に限って、加算は算定できません。

まとめ

中重度者ケア体制加算の利用者・職員の要件は、お分かりいただけましたでしょうか?

いずれも集計や計算がややこしいですが、計算用のエクセルシート等を利用すると、比較的簡単に割り出すことが出来ます。

看護師の配置などの細かい点に注意して、確実に加算をとれるようにしたいものです。

 

最後までお読みくださって、ありがとうございました。

この記事が参考になったと思われた方、シェアしていただけますと嬉しいです。

 

 

中重度ケア体制加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

 

(専門家監修:矢野文弘 先生)

中重度者ケア体制加算におけるプログラム・計画書とは?

中重度者ケア体制加算を取る際に、皆さま一度は悩まれると思われる、「中重度者ケア対象者に対するプログラム」。

この記事では、中重度者ケア体制加算について改めておさらいをし、そこからプログラムの在り方、計画書の書き方について考えていきたいと思います。

プログラムについてお悩みになっている方、ご参考になさってください。

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中重度者ケア体制加算のおさらい

プログラム・計画書について説明する前に、中重度者ケア体制加算についておさらいをしたいと思います。

1.中重度者ケア体制加算とは?背景・目的は?

2015年(平成27年)介護報酬改定の際に、新設された加算です。

超高齢社会の到来で要介護者が増えることを背景に、介護度が中重度の者であっても、できるだけ住み慣れた在宅で長く生活できる体制を整えることを目的として創設されました。

そのため、対象となるサービスは「通所介護」「通所リハビリ」の2つとなります。

そして、その中でも、中重度者ケアを行うことができる(算定要件をクリアしている)施設にのみ加算されます。

加算される単位数は、通所介護では45単位、通所リハビリでは20単位です。

基準を満たしている施設では、すべての利用者に対して加算が適応になります。

2.中重度者ケア体制加算の算定要件

①利用者の要件

利用者の要件は、通所介護・通所リハビリ共通です。

前年度、もしくは算定を行う月を含めた前3カ月の利用者(前年度の実績がない事業所に適用)のうち、要介護3以上の利用者が3割を占めることが条件です。

計算方法は、要支援者を除いて、要介護者の延べ人数のうちの要介護3以上の者の割合を算出します。

前3カ月の実績で計算したものは、その後も要件を満たしているか確認し、要件を満たさなくなった場合、直ちに届け出が必要になります。

②施設の人員要件

通所介護の人員要件

1)人員基準で定められている介護職員・看護職員の人数に加えて、介護職員もしくは看護職員を常勤換算で2以上配置していること。

2)サービス提供時間内において、看護職員を専従で1人配置していること。

通所リハビリの人員要件

1)人員基準で定められている介護職員・看護職員の人数に加えて、介護職員もしくは看護職員を常勤換算で1以上配置していること。

2)サービス提供時間内において、看護職員を専従で1人配置していること。

プログラムに関する要件

通所介護

中重度のもので合っても、社会性の維持を図り、在宅生活の維持に必要なケアを計画的に実施するプログラムを作成すること。

通所リハビリ

中重度のもので合っても、社会性の維持を図り、在宅生活の維持に必要なリハビリを計画的に実施するプログラムを作成すること。

 

次に、この③の項目のプログラムに関する要件について、詳しく説明していきます。

中重度者ケア体制加算におけるプログラムとは?

上記のプログラムの要件は、厚生労働省令に記載されている要件になります。

しかし、実際にはどのように解釈し、プログラムを作成・実行すれば良いのでしょうか?

プログラムについて詳しく説明していきます。

1.プログラムの概容

2015年(平成27年)介護報酬改定の際の中重度者ケア体制加算の加算要件で

中重度のもので合っても、社会性の維持を図り、在宅生活の維持に必要なケア(ケアは通所介護、通所リハビリではリハビリ)を計画的に実施するプログラムを作成する事。

とあります。

 

介護報酬改定におけるQ&Aでは、通所介護における解釈が説明されており、

今までその人が築いてきた人間関係、社会関係を維持し続けられるように、家庭内の役割作りのための支援や地域の中で役割や生きがいを持って生活できるような支援をすることなどの目標を通所介護計画または別途作成する計画に設定し、通所介護を提供する必要がある

と、記されています。

言い換えると、

「介護度の高い人でも、何かしら家庭や社会での役割を持つことで、生きがいを見出し、有意義な在宅生活をできるだけ長く維持したい。そのために介護者は、その人の希望や状況に合った出来ることを共に考え、ケア(リハビリ)計画を立てて、実行しましょう。」

ということではないでしょうか?

2.プログラムの計画・例

次は、プログラムを行うための計画について、例を挙げながら考えていきたいと思います。

上記でも説明したとおり、プログラムは実現可能なこと(あまり高すぎる目標でないこと)をあげて実行していく必要があります。

 

目標設定の際には、

1)家庭や社会生活における希望や役割

2)本人が行いたいと望むこと、行っていることの維持

この2点を考えるとわかりやすいかと思います。

例えば、「本当は家族に自慢の手料理をふるまいたい」と望む方がいるとします。

要介護3以上の方で、1人で作ることは難しいことは容易に想像がつきます。

その中で、その人の残存機能に焦点を当ててみましょう。

例えば、野菜の皮むきが出来るなど、何かしら料理に関わることがでてくると思います。

次は、それを行うための、ケアやリハビリを考えていくとわかりやすいのではないでしょうか?

そこで、長期目標を「家族に自慢の手料理をふるまいたい」

短期目標を「レシピを思い出して、紙に書きだす。」

と、設定したとします。

実際の計画は、座位の保持、手先のリハビリや、書字の練習などでも良いと思います。

そして、期間の設定を行い、期間が来た際には評価も記載します。

レシピの共有による周りの反応などが、本人の望みを少しでも叶え、やる気の向上につながることになれば、要件を満たしたと言えるのではないでしょうか?

3.プログラムの記載方法・作成者は?

書式に関しては、具体的な指定はありません。

記載先に関しては、別紙で記載しても良いし、計画書内に記載してもよい、とのみ書いてあります。

どこに記載しても、中重度者ケア体制加算のためのケアとわかるように記載しておくほうが良いと思います。

内容に関しては、上記例をご参照ください。

作成者に関しても、特に記載はありません。

サービス情報提供書を作成する職員が、一緒に記載しても問題ありません。

まとめ

家庭内での生きがいやや社会参加を促すプログラムというと難しいように思いますが、その人がどのように生きてきたのか、どんな人物像であったのかなどを知り、本当にうれしかったこと、したいことなど、心が嬉しくなるようなことなどを聞き出すことで、目標は見えてくるのではないでしょうか?

楽しい話題は、人の心を温かくしてくれます。

素敵な計画が立てられる手助けになりましたら幸いです。

 

最後までお読みくださって、ありがとうございました。

この記事が参考になったと思われた方、シェアしていただけますと嬉しいです。

 

 

中重度ケア体制加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

 

(専門家監修:矢野文弘 先生)

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