介護支援ブログ

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総合事業における介護予防ケアマネジメントとは

平成27年4月1日より実施された介護予防・日常生活支援事事業(総合事業)。

今回は総合事業における介護予防ケアマネジメントについて詳しく解説していきます。

ぜひご一読いただければと思います。

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総合事業とは

総合事業の概要

総合事業とは、指定権者である市町村が中心となり、地域で暮らす高齢者の実情に応じて、必要と思われる生活支援や介護予防を総合的に行っていく事業のことです。

地域の実情によりサービスを類型化したり、基準や単価等決定したりするため、隣の市町村とサービスの内容が異なることもあります。

 

総合事業の構造

総合事業は「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」から構成されています。

総合事業のサービスを受けるには、住んでいる市町村の窓口または地域包括支援センターへ相談します。

専門の相談員が相談を受け、総合事業の適用なのか、それとも要介護認定を受けた方が良いのか等具体的な相談をすることができます。

そしてどの支援を受けるか具体的に選択したら、介護予防ケアマネジメント依頼書の提出、被保険者証の発行、ケアプランに基づくサービスの開始となります。

介護予防ケアマネジメントとは

概要

介護予防ケアマネジメントは、介護予防本来の目的である、高齢者が要介護状態になることをできる限り遅らせる、また仮に要介護等状態になったとしても、悪化をできる限り防ぐために、高齢者自身が地域において、少しでも自立した日常生活を送れるよう支援することとされています。

高齢者自身が地域で活躍することが、結果的に介護予防につながるという観点であり、心身機能、活動や参加といったことにバランスよくアプローチしていくことが大事とされています。

対象者

対象者は、要支援者と基本チェックリスト該当者です。

要支援認定を受けていない者については、基本チェックリストの記入を行い、事業対象者の基準に該当するか確認を行います。

介護が必要と認められる場合は、要介護認定等申請を勧めます。

原則、被保険者本人が直接窓口へ来ることとなっていますが、入院等で本人が来ることができない場合については、電話やご家族の来所でも良いとされています。

要支援者

65歳以上の者で介護予防給付を受けている、要支援1・2の高齢者が該当します。

要介護状態とならないよう心身の状態改善等を目指して、介護予防サービスの利用を支援します。

なお、要介護・要支援認定を受けていないが、明らかに介護予防が必要と思われる者については、要介護・要支援認定申請の説明を行います。

基本チェックリスト該当者

基本チェックリストに該当していると申請が受理されると、サービス事業対象者として市町村が登録され、利用者の被保険者証に「サービス事業対象者」であることが記載されます。

生活機能が低下している場合、早期発見と予防または改善できることを目的として、市町村が行う介護予防教室等介護予防事業の利用を支援します。

なお、要介護等認定申請を行いその認定が決定した時は、そちらを優先することとなります。

介護予防ケアマネジメントの種類

介護予防ケアマネジメントA

介護予防ケアマネジメントAは、原則的な介護予防ケアマネジメントのことです。

介護予防や生活支援サービス事業の指定を受けた事業所からサービスを受ける場合や、訪問型と通所型サービスCを利用する場合、また地域包括支援センターが必要と判断した場合に用いられます。

アセスメントを行った後ケアプランの原案を作成します。

その後サービス担当者会議を開催し、それぞれの専門職からの意見を交え、利用者やご家族へ説明と同意を得た後、ケアプランが確定しサービスの利用が開始されます。

モニタリングの際は、利用者の心身の状況や課題等を直接伺い、サービスの変更を検討しましょう。

介護予防ケアマネジメントB

介護予防ケアマネジメントBは、簡略化した介護予防ケアマネジメントと言われるものです。

介護予防ケアマネジメントAやC以外のケースとして、必要と判断された場合をいいます。

例えば、指定事業所以外の様々なサービスを利用したい場合などが考えられます。

アセスメントからケアプラン原案の作成までは介護予防ケアマネジメントAと同じように行いますが、サービス担当者会議は省略して、ケアプランを作成することができます。

またモニタリング時期は適宜とされており、状況や必要に応じて期間を設定しましょう。

サービス担当者会議やモニタリングを実施しなかった月に関しては、相当分をマイナスして報酬請求することとなります。

介護予防ケアマネジメントC

介護予防ケアマネジメントCは、初回のみの介護予防ケアマネジメントのことです。

ケアマネジメントを行った結果、利用者自身が状況についてや目標がどれだけ達成されているか等を確認できており、生活支援サービス等を利用する場合に実施されます。

初回のみ、簡略化された介護予防ケアマネジメントの過程を実施します。

ケアマネジメントを行った結果を利用者やご家族に説明し、同意を得ます。

原則としてモニタリングは行いませんが、必要に応じて状況を把握していくことは必要です。

また、利用者の状況が悪化したりして相談があった際には、地域包括支援センターによるケアマネジメントへ移行していきます。

介護予防ケアマネジメント費用の請求

請求方法はケアマネジメントの種類により異なり、単位数は国が規定するものを上限として、指定権者である市町村が定めることとされています。

以下、種類ごとに見ていきましょう。

介護予防ケアマネジメントA

毎月報酬を請求することが可能です。

指定事業者のサービスを利用する際には、給付管理表の作成が必要となります。

介護予防ケアマネジメントB

先述しましたが、サービス担当者会議やモニタリングを行わなかった月については、相当分を差し引いた報酬を請求します。

担当者会議やモニタリングについては、必要と判断した時に実施します。

介護予防ケアマネジメントC

サービス提供を開始した初月のみ報酬を請求することが可能です。

基本報酬に初回加算を加えた報酬となります。

請求における留意点

要支援1・2の利用者でケアマネジメントを行った結果、予防給付の利用がある者については、予防給付の介護予防サービス計画費が発生します。

一方で、予防給付のサービス利用の実績がなく、生活支援サービス事業のみ利用した者については、介護予防サービス計画費の請求はできず、介護予防ケアマネジメント費を請求するようになります。

そして生活支援サービス事業の対象者については、市町村が直接介護予防ケアマネジメントを行う場合は費用が発生しません。

地域包括支援センターが委託を受けて行う場合は、市町村から地域包括支援センターへ委託料が支払われるということはありますが、利用者に対しての費用請求はありません。

介護予防ケアマネジメントの様式

マニュアル及び契約書等の様式については、指定権者である市町村の判断によって任意の様式を使用することができます。

市町村によって異なるため、この記事では一例として取り上げることをご理解ください。なお、予防給付で使用している様式を活用することも可能です。

自立支援の観点から、適切な介護予防ケアマネジメントが実施できるツールとならなければいけません。

利用者の状況や背景、課題と必要な支援まで流れを追って確認できるような様式が望ましいでしょう。

 

参考までに神戸市で作成された様式を添付しておきますので、参考になさってください。

介護予防ケアマネジメント関連様式の記入方法

まとめ

今回は総合事業における介護予防ケアマネジメントを見てきました。

介護予防ケアマネジメントの概要から種類、費用の請求等、改めて内容を整理して、実際の運営に役立てていただけたら幸いです。

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総合事業について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

介護保険改正による要支援者の流れ

2018年の介護保険制度改正でも注目されている、要支援者向けサービス。 

要介護・要支援者の年々増加により、より状況とニーズに合わせた介護保険制度の細かいアップデートが期待されます。

本記事では、要支援者に関する介護保険制度の改正に関して詳しくご説明いたします。ぜひ一読し、今後の経営にお役立てください。

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2015年の介護保険制度改正における要支援者向けサービス

新しい総合事業

2015年に介護保険制度改正があり、要支援者は従来利用していた介護予防給付サービスの通所介護と訪問介護が対象外になりました。

通所介護は機能訓練が大半を占め、訪問介護は買い物が中心となり要支援者にとって日常生活を送る上で大切な役割を担っています。 

 

2015年介護保険制度の改正にあたり、サービスがどのように変わったのかをご説明いたします。

 

新しい総合事業とは、従来の介護予防事業に加え、介護予防給付であった通所介護、訪問介護を地域支援事業に移行してできた事業をいいます。

主に市区町村が主体となり事業を行い、今までの既存サービスの提供の他にNPO法人、民間事業者、住民ボランティアなどが加わります。

地域の多様なニーズに焦点を充てた、今まで以上に地域全体で介護事業を支えていく仕組みであり、総合事業を通じて高齢者と社会との繋がりを構築していくことが必要となります。

 

介護産業に民間事業が参入するケースは年々増加傾向にありますが、市区町村により具体的なニーズが異なるため地域に密着した支援を再編成していく必要があるといえます。

利用者の負担割合

一部利用者において、個人の負担額が2割負担となりました。

対象者は個人の合計所得が160万円以上。

ポイントは一世帯ではなく個人の合計所得です。

合計所得とは収入から年金などの控除額を差し引いたものになります。

特例として合計所得が160万円以上にあっても実質的な所得が280万円以下や、2人以上世帯で346万円未満の場合は1割に戻すことが可能になります。

2018年の介護保険制度改正における要支援者向けサービス

軽度者向けサービスの縮小

介護保険制度が始まった2000年度は全体給付が3兆6000億円で保険料は平均2,911円だったのに対し、2015年度には10兆円を超え保険料は月5,514円で今後も高齢化に伴い増加すると推定されています。

主な動きは「生活援助」を必要とする比較的介護度の低い軽度者に対してのサービス。

では、軽度者向け介護サービスを縮小することの目的を考えていきます。

 

軽度者向けサービス縮小について考えていきます。

 

一つは、「要支援者は要介護の予備軍」ということを重点に置いた場合、軽度者のサービスを縮小させることにより、予防介護サービスは減少していくと考えます。

現在のサービスはあくまでこれ以上症状を悪化させないことや、症状を遅らせたりするのが目的であり今の生活を維持する、「生活の質(QOLクオリティーオブライフ)」を意味します。

もし要支援状態にある方が予防介護サービスの利用を控えた場合、
本来なら早くに社会復帰できたかもしれない方でも、症状悪化に繋がる可能性があるということです。

場合によっては要支援から要介護へと状態が悪化することも大いに考えられます。

上記例を例に挙げた場合に、要支援者のサービス縮小が個人の介護レベルの低下になり得るということです。

そうなれば介護保険の給付金額が増大し最終的に財源を圧迫することに繋がることに比例します。

 

二つは、介護サービスの運営。

軽度者へのサービス縮小をすることによって、介護報酬が縮小し、介護事業所も運営方法に直面することが現実的に考えられます。

介護保険の改正は過去にも実施されているので、手順などは特別変化することはないとは思いますが、常に政府や市区町村から発表される制度に関して、新しい情報を収集し現場に落とし込む必要があります。

これは発表から実施における着手には多少なりとも地域で差が生じることが考えられるからです。

2018年8月における介護保険の負担見直し

自己負担額3割に引き上げ

自己負担額の3割になる対象者は、高齢者の年収が現役並み所得の383万円以上などが条件になります。

主に在宅サービスによる訪問介護利用者の34%が対象見込みです。

「現役並み所得」とは、世帯内に課税所得145万円以上の第1号被保険者がいる場合になります。

世帯内の第1号被保険者の収入合計が520万円(1人の場合383万円)以上となる場合です。

訪問介護サービス利用者で約13万人(3~4%)、施設入居者では約1万人(1~2%)が該当見込みと言われています。

 

政府は介護保険改正による財政効果は100億円程度が見込まれると発表していますが、介護保険料3割負担になることに対して、同改正案を妥当とする意見も多いなか反対意見もあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか? 

事業者は正しい情報を収集し本人が適切支援を受けられる形を創っていくこと、発信していくことが重要と言えます。

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モニタリングのやり方とは?業務内容を解説

利用者に対して、細かな変化に気づき、その状態に合った介護サービスを提供するために、モニタリングを行うことが大切となります。

今回はそのモニタリングについて、実際にどのように行うかを解説したいと思います。

サービスを行う担当だけが知っているのではなく、すべての介護従事者がその手法を知ることにより、より円滑な運営を行うことに繋がると思います。

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モニタリングのおさらい

モニタリングの目的

介護サービスを利用する要介護者等は、疾患等により日々状態が変化する恐れがあります。

そのためモニタリングを行うことで、利用者や利用者を取り巻く環境の変化を素早く察知することが目的となります。

サービスを提供する中で利用者を観察し、ケアプランに沿った内容で的確にサービスが受けることができているか確認します。

 

また、問題となっていると思われる事柄や、新たな課題が発生していないか、目標に向かっているかなどの視点も忘れないようにしましょう。

直接関わることが重要であり、言いにくいことを察知したり聞き出したりして、信頼関係を築きましょう。

不適切な支援が継続されることで、利用者の心身状況が悪化する恐れもあるため、適切な視点を持ってモニタリングを行うようにしましょう。

モニタリングの概要

介護の現場においてモニタリングを行うのは、サービスを提供する事業所のサービス提供責任者です。

利用者に対して、上記で述べたような視点で観察を行います。

時期については、日々行うモニタリングと、1カ月に一度等の定期的に行うモニタリングがあります。

様式については下記にURLを記載しておきますので、確認してみてください。

モニタリングの様式

モニタリングにおける業務内容

施設職員による日々の記録

施設職員によるモニタリングは、2種類が考えられます。

 

1つ目は、日々の生活の中で観察したことを記録していく、日常的なモニタリングです。

日常生活において利用者と接する中で気が付いた点を記録したり、会話している時に気になったことなどを記録したりします。

例えば、以前は受け答えに時間がかからなかったが、最近は聞かれたことに対して数秒間を置くようになったなどです。

日々観察しているからこそ分かる、些細な点を見つけて記録するようにしましょう。

 

2つ目は定期的なモニタリングです。

日常的なモニタリングを基に、毎月一度実施状況を確認します。

そして3ヵ月に一度の頻度で見直しを行い、課題や目標の継続等について検討を行います。

ケアマネージャーへの定期報告

基本的に毎月一度、ケアマネージャーに対して現在の状況報告を行います。

先ほどの日常的なモニタリングを基にしてまとめあげ、定期的なモニタリング結果を報告しましょう。

尚、利用者の状態変化等緊急性が高い場合はこの限りではありません。

変化を察知した時点で迅速にケアマネージャーへ連絡し、状況を報告するようにしましょう。

ケアマネージャーへ定期報告を行うことで、利用者のサービス自体も見直しが必要となる場合もありますので、専門的な視点で的確な報告を行いましょう。

期間終了時の施設内でのモニタリング

モニタリングは目標が達成されるであろう期間を設定します。

その期間が終了する前に(更新時)、計画が円滑に行われているか否かを判断します。

施設内で担当者会議を開催し、専門職から意見をもらい話し合うようにしましょう。

検討を行った結果、目標が達成されない、状態変化が著しい場合などは、改めて目標や支援内容を設定し直します。

大きな状態著変が見られない場合は、同様の支援内容を継続する場合もあります。

3カ月や半年程度で行う場合が多いでしょう。

 

尚、急な状態著変等で計画が円滑に行えない場合、緊急性を要する場合は、上記の期間に捉われずに適宜モニタリングを行います。

必要に応じてターミナルケアに切り替えるなどの視点が必要です。

ケアマネージャーへの報告書提出

施設内でモニタリングを行った結果について、担当ケアマネージャーに対して報告書を提出します。

サービスが円滑に行われているか、利用者が支援に対して満足しているか、加えて利用者の心身状況等の変化を捉え、サービスを継続または変更した方が良いのか等具体的な事実と考察を記載しましょう。

「モニタリングの書き方」

モニタリングにおける書き方や記入例を見ていきましょう。

モニタリングには利用者の状態を記録します。

そのため日々の記録を通して感じられた変化や、気になった点など細かな点を見逃さないようにしましょう。

大きな変化がみられない場合は、目標や支援内容に対して引き続き同じ内容で良いのか考察を書きましょう。

具体的な内容については、以下の項目について記載します。

サービスが適切に行われているか、課題の充足度について、短期目標の達成度、ケアプランの変更有無、本人や家族の満足度、それに加えて考察を記載します。

記入例を見てみましょう。

 

(例)(短期目標)認知症の悪化を防ぐため、皆さんと過ごす時間を作り交流することができる。

→ この短期目標は達成しなかった。

理由は日中居眠りすることが多く、交流する時間が少なかった。

午前中は比較的意識がはっきりしているので、午前中に時間と具体的な内容を決めて、皆さんと一緒に過ごせるような工夫が必要。

 

上記の例では、短期目標に対して達成しなかった旨を報告しています。

そして現状はどうだったのか、また午前中であれば活動を促せるので、具体的な時間や内容を決定した方が良いと提言しています。

このように実情がケアマネージャーに伝わるようにしましょう。

まとめ

今回はモニタリングのやり方と業務内容について見てきました。

担当者だけでなく、事業所のすべての職員が把握することにより、適切なモニタリングを行い、より良い運営に繋げられると良いですね。

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モニタリングについて、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

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