利用者に対して、細かな変化に気づき、その状態に合った介護サービスを提供するために、モニタリングを行うことが大切となります。
今回はそのモニタリングについて、実際にどのように行うかを解説したいと思います。
サービスを行う担当だけが知っているのではなく、すべての介護従事者がその手法を知ることにより、より円滑な運営を行うことに繋がると思います。
モニタリングのおさらい
モニタリングの目的
介護サービスを利用する要介護者等は、疾患等により日々状態が変化する恐れがあります。
そのためモニタリングを行うことで、利用者や利用者を取り巻く環境の変化を素早く察知することが目的となります。
サービスを提供する中で利用者を観察し、ケアプランに沿った内容で的確にサービスが受けることができているか確認します。
また、問題となっていると思われる事柄や、新たな課題が発生していないか、目標に向かっているかなどの視点も忘れないようにしましょう。
直接関わることが重要であり、言いにくいことを察知したり聞き出したりして、信頼関係を築きましょう。
不適切な支援が継続されることで、利用者の心身状況が悪化する恐れもあるため、適切な視点を持ってモニタリングを行うようにしましょう。
モニタリングの概要
介護の現場においてモニタリングを行うのは、サービスを提供する事業所のサービス提供責任者です。
利用者に対して、上記で述べたような視点で観察を行います。
時期については、日々行うモニタリングと、1カ月に一度等の定期的に行うモニタリングがあります。
様式については下記にURLを記載しておきますので、確認してみてください。
モニタリングにおける業務内容
施設職員による日々の記録
施設職員によるモニタリングは、2種類が考えられます。
1つ目は、日々の生活の中で観察したことを記録していく、日常的なモニタリングです。
日常生活において利用者と接する中で気が付いた点を記録したり、会話している時に気になったことなどを記録したりします。
例えば、以前は受け答えに時間がかからなかったが、最近は聞かれたことに対して数秒間を置くようになったなどです。
日々観察しているからこそ分かる、些細な点を見つけて記録するようにしましょう。
2つ目は定期的なモニタリングです。
日常的なモニタリングを基に、毎月一度実施状況を確認します。
そして3ヵ月に一度の頻度で見直しを行い、課題や目標の継続等について検討を行います。
ケアマネージャーへの定期報告
基本的に毎月一度、ケアマネージャーに対して現在の状況報告を行います。
先ほどの日常的なモニタリングを基にしてまとめあげ、定期的なモニタリング結果を報告しましょう。
尚、利用者の状態変化等緊急性が高い場合はこの限りではありません。
変化を察知した時点で迅速にケアマネージャーへ連絡し、状況を報告するようにしましょう。
ケアマネージャーへ定期報告を行うことで、利用者のサービス自体も見直しが必要となる場合もありますので、専門的な視点で的確な報告を行いましょう。
期間終了時の施設内でのモニタリング
モニタリングは目標が達成されるであろう期間を設定します。
その期間が終了する前に(更新時)、計画が円滑に行われているか否かを判断します。
施設内で担当者会議を開催し、専門職から意見をもらい話し合うようにしましょう。
検討を行った結果、目標が達成されない、状態変化が著しい場合などは、改めて目標や支援内容を設定し直します。
大きな状態著変が見られない場合は、同様の支援内容を継続する場合もあります。
3カ月や半年程度で行う場合が多いでしょう。
尚、急な状態著変等で計画が円滑に行えない場合、緊急性を要する場合は、上記の期間に捉われずに適宜モニタリングを行います。
必要に応じてターミナルケアに切り替えるなどの視点が必要です。
ケアマネージャーへの報告書提出
施設内でモニタリングを行った結果について、担当ケアマネージャーに対して報告書を提出します。
サービスが円滑に行われているか、利用者が支援に対して満足しているか、加えて利用者の心身状況等の変化を捉え、サービスを継続または変更した方が良いのか等具体的な事実と考察を記載しましょう。
「モニタリングの書き方」
モニタリングにおける書き方や記入例を見ていきましょう。
モニタリングには利用者の状態を記録します。
そのため日々の記録を通して感じられた変化や、気になった点など細かな点を見逃さないようにしましょう。
大きな変化がみられない場合は、目標や支援内容に対して引き続き同じ内容で良いのか考察を書きましょう。
具体的な内容については、以下の項目について記載します。
サービスが適切に行われているか、課題の充足度について、短期目標の達成度、ケアプランの変更有無、本人や家族の満足度、それに加えて考察を記載します。
記入例を見てみましょう。
(例)(短期目標)認知症の悪化を防ぐため、皆さんと過ごす時間を作り交流することができる。
→ この短期目標は達成しなかった。
理由は日中居眠りすることが多く、交流する時間が少なかった。
午前中は比較的意識がはっきりしているので、午前中に時間と具体的な内容を決めて、皆さんと一緒に過ごせるような工夫が必要。
上記の例では、短期目標に対して達成しなかった旨を報告しています。
そして現状はどうだったのか、また午前中であれば活動を促せるので、具体的な時間や内容を決定した方が良いと提言しています。
このように実情がケアマネージャーに伝わるようにしましょう。
まとめ
今回はモニタリングのやり方と業務内容について見てきました。
担当者だけでなく、事業所のすべての職員が把握することにより、適切なモニタリングを行い、より良い運営に繋げられると良いですね。
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モニタリングについて、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。