介護支援ブログ

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総合事業ガイドラインをわかりやすく解説します!

総合事業が開始されているのは知っているけど、一体どうやって移行すればいいの?どういうシステムなの?など疑問を持っている方はいますでしょうか。

知っているようで知らないことがまだ多い総合事業ですが、今回は、そんな総合事業ガイドライン案に則って、なるべく簡潔に説明を加えていきたいと思います。

総合事業のことを全く知らない方や、これからサービス提供をするにあたり、確認したいと思っている介護事業者の方は必見です。

 

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総合事業ガイドラインってどういうもの?

ガイドラインとは様々な解釈がありますが、一般的には、組織や団体に対して、守るのが好ましいとされる規範や、目指すべき目標を明文化し、その行動に具体的な方向性を与えることや何らかの縛りを与えることを指します。

このガイドラインは、介護保険法で規定された総合事業を円滑に実施するため、基本的考え方や事務処理手順、様式等を厚生労働省が定めたもので、実質的には多くの地域でこれ従って事業が行われることになります。

総合事業は、厚生労働省による平成24年度介護保険制度改正で創設された「総合事業」を発展的に見直し、新しい総合事業として平成29年4月までに全ての市町村で実施することを定められています。

この総合事業ガイドラインは、全ての介護事業所にむけて発信されているものですが、中でも介護予防訪問介護、介護予防通所介護サービス提供事業所については、地域支援事業に移行しなければなりませんので、こういった事業所がより理解を深める必要があるでしょう。

 

ガイドラインの概要を簡単に解説!

総合事業ガイドラインは、3つの大項目と、7つの小項目にまとめられております。簡潔にまとめたものが下表になります。今回は、小項目①~⑦について、出来るだけ簡潔に紹介していきます。

 

大項目

小項目

はじめに

①    総合事業に関する総則的な事項

事業所の具体的な内容

②    サービス類型

④    サービス利用の流れ

⑥    制度的取り組み

基盤整備

③生活支援・介護予防サービスの充実

⑤関係者間の意識共有と、介護予防ケアマネジメント

⑦    円滑な事業への移行・実施


 

総合事業に関する総則的な事項

総則的とはあまり聞き慣れないですが、全体に通用する基本的な事項のことをいいます。つまり、言い換えるのであれば、総合事業とは一体なに?と簡単に説明してくれているのがこの第一項目「総合事業に関する総則的な事項」になります。この大まかな内容については下記の構成になっています。

 

  • 事業の目的・考え方
  • 各事業の内容及び対象者
  • 市町村による効果的・効率的な事業実施
  • 都道府県による市町村への支援
  • 好事例の提供

 

このように、総合事業の理解を深めていく上で、総合事業の全体像をまとめて記載しているのがこの総則的な事項になります。理解するのは時間を要するかもしれませんが、今後、”総合事業に関わりがない事業所はない”ということも予測されますので、できるだけ介護関係の職員並びに介護事業所の方々には理解をしてほしいところです。

 

 サービスの類型

総合事業では、要支援者の方々に対して、様々なサービス提供を行っていくために、市町村は、サービスを類型化し、基準や単価などを定める必要があります。

そのサービスは大きく分けて3つあります。

 

  • 訪問型サービス
  • 通所型サービス
  • その他の生活支援サービス

 

各々のサービスにおいて、そのサービス種別、サービス内容、対象者とサービス提供の考え方、実施方法、基準、サービス提供者を定めた事例が、厚生労働省発信の総合事業ガイドラインp10(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000088276.pdf)がありますので、こちらを合わせて参照してみてください。

訪問型サービスとは、現行の(介護予防)訪問介護に相当するもので、通所型サービスとは、現行の(介護予防)通所介護に相当するものを指します。その他の生活支援サービスとは、栄養改善サービス、ボランティアによる見守り、自立支援に資する生活支援からなります。

総合事業に移行されてから仕組みが複雑化した、この介護予防訪問介護と介護予防通所介護サービスですが、地域包括ケアシステムの名のもとに、このふたつがサービス移行したことは、長い目で見ると、高齢化問題解決の糸口になる可能性が高いため、現状まだ完全にサービス移行できていない事業者の方は、早急に対応することをおすすめします。

 

生活支援・介護予防サービスの充実

総合事業の真の目的には、元気な高齢者増加による、社会保障費の抑制と、高齢者による介護マンパワーの確保による2025年問題の解決にあります。これらを体現化するために、今まで介護が必要だった人にしか受けられなかったサービスを、徐々に一般高齢者に裾を広げて、幅広く高齢者をサポートしていこうとしています。

地域全体で、多様な主体によるサービス提供を推進していくことが重要で、下記にその取り組み例を紹介します。この項目については、介護従者者だけでなく、地域で対象者に関わるすべての人向けに発信されておりますので、総合事業とは?と尋ねられた時にこの部分については深く説明できるようになれるといいですね。

 

 生活支援・介護予防サービスの開発・発掘のための取り組み

これには、地域支援コーディネーターが必要になってきます。多様な主体による取り組みのコーディネート機能を担い、一体的な活動を推進します。地域に不足するサービスを創出することや、元気な高齢者が担い手として活動する場を確保するのも、地域支援コーディネーターの仕事です。

 

住民主体の支援活動の推進のための取り組み

生活支援をする側がのスキル・知識向上のための研修会

地域サロン、会食会、外出補助などでボランティアを行った場合、ポイントを付与するボランティア制度などが市町村で始められています。

 

地域ケア会議、既存資源、他施策の活用

生活支援を行っていく上で、多職腫や住民で検討を行うことで、課題解決に向けて問題共有することが重要です。関係者ネットワークの構築や、資源開発を図っていく地域ケア会議を積極に活用することが推進されています。

 

サービス利用の流れ

サービス利用の流れについては、ケアマネジャーだけが知っていればいい。なんてことはありません。介護事業所で働いている人ならば誰でも知っているべき事項ではないでしょうか。

在宅にお邪魔してサービスを提供する介護従事者は、特に知識が必要です。在宅では普段聞きにくいこともサラっと聞いてくる利用者の方がいらっしゃることや、ご家族も同伴されていることがほとんどです。その時に、どういう流れで動けばいいか、ケアマネジャーに任せっきりにしてしまうと、信頼関係構築において不利益を生じることがあります。

意外にも、理学療法士、作業療法士などのリハビリ専門職に、こういったサービスのことを聞いてこられる方が多く、リハビリ専門職は最低限の知識は身に付けておきたいところです。

 

Step1:相談

基本的にサービスを受けるためには、まず市区町村窓口や地域包括支援センターでの受付が必要です。ここでは、窓口担当者が具体的に総合事業の利用か、要介護認定を受けるべきかなど、幅広く相談に乗ってくれます。

Step2:基本チェックリストの活用・実施

窓口で相談をした被保険者に対して、基本チェックリストを活用して、利用すべきサービスの区分の振り分けを行います。基本チェックリストについてはこちらを参照してください。http://www.kaigo-shien-blog.com/entry/2016/12/07/184216

Step3:介護予防ケアマネジメントの実施

介護予防、生活支援を目的に、適切な事業が提供されるよう専門的視点からサポートを行います。基本的に、利用者が居住する地域包括支援センターが行いますが、居宅介護支援事業所が受託する場合もあります。

  

関係者間の意識共有と、介護予防ケアマネジメント

関係者間での意識共有を図る中で、重要とされる要素について6つに分けられています。

  • 地域包括ケアシステムの構築と、規範的統合
  • 明確な目標設定と、本人との意識の共有
  • ケアプランの作成
  • モニタリング・評価
  • セルフケア・セルフマネジメントの推進
  • 「介護予防手帳(仮称)※等の活用」

とあります。

それぞれの文言には、小難しく、あえて項目立てて記述していますが、この項目で述べていることは当然のことです。一利用者に対して多職種が連携とり、インフォームドコンセントを果たしましょう。また、それを十分に達成するために利用できるツールは積極的に使用するようにしましょう、というものです。

こちらの項目については主にケアマネジャーが注視すべき点にはなりますが、個別機能訓練加算など、リハビリ専門職種が関わるケースもあります。一概に介護関連職に限った知識ではありませんので、医療・介護に関わる誰しもが今一度理解しておいたほうがいいでしょう。

また、セルフマネジメントの推進や介護予防手帳の活用の項目においては、利用者自身ができる取り組みと、その支援方法が記載されています。

 

 

※介護予防手帳とは

心身の健康に配慮した生活を送りながら、自分だけで難しいことは支援・サービスを選択して利用する「セルフマネジメント」のためのツールで、本手帳と介護予防手帳にわかれています。前者は保管用、後者は携帯用となっています。保管用はセルフマネジメントに取り組むのに必要な情報を集めたもので、携帯用はセルフマネジメントの目標と計画をたてるものになっています。

 

 総合事業の制度的な枠組み

総合事業には、そのサービスの実施方法、その基準、サービス単価、利用者負担、給付管理など、市町村が独自に定めなければならないものがいくつかあります。介護事業者も、その方針に従うことになります。

 

サービス実施方法について

市町村による直接実施

昨今では、役所の講堂、公民館などで、「理学療法士による介護されない体作り」「脳梗塞予防のための生活習慣」など、リハビリテーション専門職が講演をするケースが増えてきました。

委託による実施

NPO、民間事業者が行うミニデイサービスがよくある例です。デイサービスでの運動や、レクリエーションがこれにあたります。

指定事業者によるサービス提供

これはそのまま、既存の事業者が、介護予防に相当するサービスを提供する場合に必要です。

NPOやボランティア等への補助

老人クラブ、認知症サポーター養成講座など、予防事業サービスを提供する場合はこれに相当します。

  • サービスの基準

市区町村は、総合事業が円滑に進むよう、以下のようなサービスの基準を示す必要があります。

通所型サービス(現行の通所介護相当サービスの場合)                            

人員

管理者※ 常勤・専従1以上

生活相談員 専従1以上 看護職員 専従1以上

介護職員 ~15 専従1以上 15~利用者1人専従0.2以上

機能訓練指導員 1以上

設備

食堂・機能訓練室(3㎡×利用定員以上)

静養室、相談室、事務室

消火設備、その他の非常災害に必要な設備

必要なその他の設備・備品

運営

個別サービス計画の作成

従事者の清潔保持・健康管理 秘密保持

事故発生時対応、廃止等の届出と便宜の提供

 

※詳細につきましては、厚生労働省ホームページ

総合事業ガイドライン概要をご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000088276.pdf

 

 円滑な事業への移行・実施

総合事業とは、繰り返しになりますが平成27年度から始まった新しい介護予防・日常生活支援総合事業のことです。元々あった介護予防訪問介護サービス、介護予防訪通所介護サービスの在り方を全く変えてしまう大きな取り組みですので、総合事業が浸透しきらないまま、現在を迎えているのが実情です。

総合事業への円滑な移行を国は求めており、市区町村が条例で定めている場合は、総合事業の実施を平成29年4月まで猶予可能となっていました。総合事業を実践する側も、総合事業をサポートする側(この場合は市区町村)、どちらも受け皿の整備を行うように努めることが適当です。

このガイドラインにおける総合事業への円滑な移行は、総合事業を実践する側、サポートする側両者に発信されたガイドラインであり、両者とも確認すべき事項でしょう。

 

まとめ

今回は総合事業ガイドラインにスポットをあてて説明いたしました。どうしても、ガイドラインとなると、堅苦しく、理解しにくい言い回しが増えてしまいます。

厚生労働省が作成したガイドライン概要も簡略化されており、図式での説明がある分非常にわかりやすくなっていますが、今の自分にどこの部分の知識が足りていないのか、ガイドラインのどこの部分をおさえておけば大丈夫なのかわからないため、知識として取り入れるのを先延ばしにしてしまってはいませんか?そんな事業者様のフォローが出来たら幸いです。平成29年度に総合事業が完全移行できるように国は市区町村に働きかけてきました。

それに合わせて、地域で働く医療介護関係スタッフの動向も大きく変化してくることと思いますが、今一度、総合事業の展開の足並みに合わせて、ご自身の働き方を検討してみてはいかがでしょうか。

参考になりましたらシェアの程宜しくお願いします。

指定居宅介護支援事業所を開業するための設備基準とは?

居宅介護支援事業所を開業する時は、必要な設備基準を満たさないといけません。

設備基準には居宅介護支援事業所の必要なスペースや備品が定められています。また、他に手洗い等の衛生設備が必要となります。

ここでは、指定居宅介護支援事業所を開業するための設備基準と設備基準を満たす際の注意点について解説しています。

女性

 

 

 

居宅介護支援事業所の設備基準とは

設備に関する基準は「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」の平成11年3月31日厚生省令第38号第20条に次のように定めています。

 

(設備及び備品等)第20条

指定居宅介護支援事業者は、事業を行うために必要な広さの区画を有すると共に、指定居宅介護支援の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない

居宅介護支援事業所を開くために必要な、設備基準の事務室や備品類は次にあげています。

区画

事務室

特に広さの規定はありませんが、人数分の机や椅子、書棚などが設置できるスペースが必要です。

同一事務所で他の事業と共にする場合は、業務に支障がないようにスペースが明確に区分されていなければなりません。

最低限の人数で行う場合、家庭で使用しているようなテーブル1つに椅子を4つ置いていたり、折り畳みの長机を2つ合わせて皆で使用したりする場合もあります。

例えば、事務所が1つで、半分のスペースが訪問介護事業所、半分のスペースで居宅介護支援事業所を行う場合は、パーテーション、仕切り、ついたてなどで明確に区切られ、お互いの業務に支障がないようにしなくてはなりません。

また、同一事業所において他の事業を行う場合は、業務に支障がないならば、それぞれの事業を行うための区画が明確にされていれば行うことが出来ます。

例えば、通所介護事業所の建物内の1室に居宅介護支援事業所を設置する場合、通所介護のスペースと別にとっていれば同じ建物内で行うことが出来ます。

相談室

机と4人くらいがかけられる椅子を置く必要があります。相談室は同じ事務所で他の事業所と共にする場合は相談室を兼ねても構いません。相談室は別室が望ましいですが、区画をパーテーション、仕切り、ついたて等の遮断物を設置し、通行人から見えないようにし、相談者の話が漏れないようにプライバシーに配慮することでも満たします。

相談は利用者が出入りしやすい構造であることや車椅子の利用者の相談も考えられるため、車椅子が入るスペースも考慮に入れた方がいいでしょう。

会議室

サービス担当者会議等に対応するために適切なスペースを確保する必要があります。

また、遮蔽物などで、サービス担当者会議の内容が漏洩しないように配慮しなければいけません。会議室は相談室と兼用することが可能です。

設備・備品

備品

指定居宅介護支援の提供に必要な設備及び備品等を備える必要があります。

備品には、ケアマネージャーの人数分の机、椅子、パソコン、鍵付きキャビネットや書庫、電話、FAX、コピー機等です。同じ敷地内に、他の事業所と一緒に運営する場合、運営に支障がなければ一部備品等は共に使用することができます。

衛生設備

感染症を予防するために、手指消毒が出来る洗面所またはトイレの設備やアルコール、石鹸等を常備することが必要です。

自宅での開業の場合

自宅での開業の場合は、都道府県、市町村によって基準が異なりますが、住居スペースと居宅介護支援事業所とのスペースは完全に分かれていて事業所が独立している必要があります。

自宅の1室を事務所スペースとする場合は、事業所としての洗面所が必要であり、住居スペースと入り口が別であることが必要となります。

居宅介護支援の設備基準を満たす際の注意点

設備基準は、都道府県によって基準が異なる場合がある

設備基準は都道府県によって基準が異なる場合があります。詳しい設備基準は各自治体にお問い合わせください。

実地指導が入る場合がある

設備基準が守られていない場合は、実地指導の際に指導点としてあげられます。実地指導が入るときは、事業所内の衛生面の感染症予防がしっかり出来ているかどうかチェックをしておきましょう。手指消毒のための石鹸やアルコールが設置されているか、トイレや洗面所は清潔であるかなどを確認する必要があります。

また、実地指導の際は指定申請時に提出した平面図と、実際の事業所内のレイアウトが一致しているかが確認されます。レイアウトを変更した後などは、必ず変更届を提出して申請上の平面図と一致させておくようにしましょう。

備品が老朽化してないか、相談室や会議室はパーテーションなどで仕切られ、話が漏れず、プライバシーが守られているかなどもチェックする必要があるでしょう。設備や備品台帳に記載を正しくしておかないと実地指導でチェックが入ることがあります。また、記載事項に不正に違うことを書いたことが発覚した場合、悪質な場合は取り消し処分になる場合もあります。

備品の保管や設置方法をスタッフに周知する

他の事業所と共用する場合、ファイル等を記録のために共用部分に置いておくと、そのまま他の事業所の棚に片づけてしまう恐れがあります。備品やファイル等の置き場所や設置方法を変えた場合は事務所のスタッフ全員が分かるようにしましょう。

自宅で居宅介護支援事業所を開設する場合

設備基準には個人情報を管理する鍵付きのキャビネットか書庫が必要で、個人情報が漏れないようにする必要があります。しかし、自宅で開設した場合、家族や家族の関係者が出入りして個人情報が洩れる可能性があります。

自宅で開設する場合は、自宅の玄関と居宅介護支援事業所との入り口を別にし、居住スペースと居宅介護支援事業所のスペースを明確にしないと申請が通らない可能性があります。自治体によって異なりますので、開設時は各自治体にお問い合わせください。

まとめ

居宅介護支援事業所を開業する場合、事務所や相談室のスペースを確保する必要があります。

また、机や椅子、パソコンや電話などの備品を確保する必要があり、感染予防のための洗面所や手指消毒のためのアルコールや石鹸などを備えなければいけません。それに反すると、実地指導の時にチェックが入るので要注意です。

介護報酬改定2018年(平成30年度)-最新予測-

間もなく具体的な数字の議論が始まる2018年度の介護報酬改定。当記事では2017年実施の「介護事業経営実態調査結果」を踏まえ、改定の予測を公開しております。

全体要点と、経営されています事業種別での改正予測をご確認いただき、改正対応準備にお役立てください。

※尚、本記事は執筆時点での著者による予測です。予測という性質上、情報の正確性を保証できるものではございません。事前にご了承ください。

20171124:追記を実施

 

目次

介護報酬改定とは

介護報酬改定は何年ごと?時期は?

全体要点(概要)

サービス種毎の最新予測(居宅・施設)

今後の更新予定

 

介護報酬改定とは

指定介護サービスの提供対価である介護報酬を3年ごとに見直すものです。

指定介護サービスとは、居宅系サービスと施設系サービス、地域密着型サービスをあわせたものを指します。

一般に報酬改定における「報酬」とは、実際の「支払金額」ではなく、「単位数」を指します。

 

 

介護報酬改定は何年ごと?時期は?

前述の通り、改正は3年ごとに行われます。

次回改正は2018年4月(3月末)となります。次々回が2021年4月です。

今回の改定は、2017年の年末から年明け早い段階までに具体的な改定内容がかたまり、その後4月までに全事業者に対し、周知が行われます。

 

 

全体要点(概要)

◯概要1

2017年10月27日の第148回社会保障審議会介護給付費分科会において、「平成29年度介護事業経営実態調査の結果について」報告がありました。

当報告で、各サービス種別の収支差(どの程度儲かっているのかの指標)が公開されました。28年度決算と前年からの増減は下記です。※左に28年度、右の括弧内に増減を記します。

 

◯居宅系サービス

・訪問介護:4.8%(-0.7%)

・訪問入浴介護:2.8%(+0.1%)

・訪問看護:3.7%(+0.7%)

・訪問リハ:3.5%(-0.8%)

・通所介護:4.9%(-2.2%)

・通所リハ:5.1%(+0.5%)

・短期入所生活介護:3.8%(+0.6%)

・特定施設入居者生活介護:2.5%(-1.6%)

・福祉用具貸与:4.5%(+0.8%)

・居宅介護支援:-1.4%(+0.4%)

 

 

◯施設系サービス

・介護老人福祉施設(特養):1.6%(-0.9%)

・介護老人保健施設(老健):3.4%(+0.2%)

・介護療養型医療施設:3.3%(-0.4%)

 

 

◯地域密着型サービス

・定期巡回・随時対応型訪問介護看護:4.8%(-2.0%)

・夜間対応型訪問介護:1.5%(-2.1%)

・地域密着型通所介護:2.0%(-1.2%)

・認知症対応型通所介護:4.9%(-1.1%)

・小規模多機能型居宅介護:5.1%(-0.3%)

・認知症対応型共同生活介護:5.1%(+1.3%)

・地域密着型特定施設入居者生活介護:3.2%(-2.0%)

・地域密着型介護老人福祉施設:0.5%(-1.1%)

・看護小規模多機能型居宅介護:4.6%(-1.7%)

 

◯概要2

財政制度分科会(財務省)の意見に対する今回の改正要点を次の通りまとめました。

・アウトカムに対する報酬での評価

予測:利用者選別を防ぐ観点や、要介護度改善だけでは成果と呼べないとの意見が根強く、今回の改正には間に合わないものと予想。エビデンスが医療に比べ不足しているとの指摘もあることから、次回改正に向けて継続検討。

混同される給付抑制に成功した市町村へのインセンティブは実施へ向かうものと予想。

 

・介護ロボットやセンサー導入事業者への基準緩和、報酬評価

予測:こちらも当初のロボット活用計画から見るに、人員基準の緩和(ロボットを導入することで、スタッフ数を減らせるといった評価)は見送りとなる予想。来年度以降も引き続きロボットの導入効果のチェックを行う見込み。

 

・総量規制

予測:市町村主体での総量規制へ。特に過剰供給が給付費の上昇に影響している地域では(データの分析をもとに判断される)厳しい規制が行われると予想。

 

◯概要3

・要介護1.2の総合事業へ移行

予測:見送りでほぼ確定。次回改定(平成33年度)でのメインになるでしょう。

 

・処遇改善

予測:消費増税の議論とセットで介護人材の処遇改善が語られているが、今回の改正での処遇改善加算増額は見送りでほぼ確定。可能性として、加算4、5の廃止議論再燃はありえる。ただ新加算1の効果について調査結果がまとまっていない現段階で大きく動くことはないものと予想。

 

・口腔衛生

予測:歯科医師指導のものとでの口腔ケアに対し、評価の方向。在宅へ広がるか不透明。ただ専門職種のみでの展開は難しいため、多職種連携前提での議論になる模様。

 

・栄養管理

予測:施設、通所を対象に管理栄養士を手厚く配置した場合の加算を議論。ミールラウンドなど支援の流れまで踏み込んだ議論になると今期は先送りか?

 

サービス種毎の最新予測

ここからは、各サービス種別の予測をまとめます。重ねての記載となりますが、「著者の独自の予測」であって、正確性の保証がないことをご了承の上で、お読みください。

 

◯訪問介護

予測:マイナス改定。

適正と言われる4%を上回る現状から見て、マイナス改定はほぼ確実と見ています。

生活援助の報酬減額と人員基準緩和がセットとなるか注目しています。

初任者研修より初級者向け資格導入との関係性にも注目したいです。

サ責の要件に変更があり(初任者研修修了者の30%減算からサ責になれないへ)

1日あたりの利用額が極端に高い場合、減算等での対応か。

リハへの影響が大きいと予想される今回の改正ですが、加算上乗せが報道されている「生活機能向上連携加算」については、変更から間もないこともあり、強気に変更はなしと予想。

サ高住、住宅型有料老人ホーム(集合住宅)への外部サービスは集合住宅減算前の単位数で給付限度額計算を行い、報酬は減算後で計算へ変更か。(減算により、集合住宅利用者が個人宅に住む利用者よりも多くサービスを利用できる状況の是正)

 

◯訪問入浴介護

予測:ここまで議論にほぼ挙がらなかったため、判断が難しいです。事業所数が減少している現状が報酬にどう影響するか。

 

◯訪問看護

予測:大規模化を推し進めたい背景から、小規模事業所での算定が難しい「緊急時訪問看護加算」や「特別管理加算」の上乗せがあるものと予想。

病院併設の訪問看護事業所を増やすために打ち手があるのか注目しています。

ターミナルケアへの報酬での追加評価も可能性あり。医療・介護連携における会議を非対面(テレビ電話等のツール活用)へ拡張する可能性。理学療法士が訪問してのリハに条件指定で減算あるか?

集合住宅減算は訪問介護と同様。

 

◯訪問リハ

予測:退院・退所時にスピーディーにリハを開始出来た場合の加算、または医療連携への加算が手厚くなる模様。算定率の低い「社会参加加算」に増額期待。

集合住宅減算は訪問介護と同様。

 

◯通所介護

予測:基本部分はマイナス改定と予測。サービス提供時間を1時間刻みに変えるか?(7時間以上9時間未満では、7時間半程度の提供が多いことが影響)

延長加算の扱いにも注目しており、介護離職ゼロに繋げるため14時間以上への拡大や報酬面での評価も。

機能訓練での十分なPT・OT・ST配置を推し進める上で評価の変更に注目。

 

 

◯通所リハ

予測:提供時間が6~8時間帯まであるが、長時間利用は報酬減額または評価自体しないへ進むものと予想。合わせて短時間の単位数アップで見直しか。

訪問リハ同様に退院時のスピーディーなリハ開始を評価する流れ。医師連携への評価を手厚くする模様。「社会参加加算」についても訪問リハ同様。

脳血管疾患等の医療リハ利用者が介護保険へ移行。

 

◯短期入所生活介護

改正論点が少なく、予測は割愛します。

 

◯特定施設入居者生活介護

予測:大きな変更はないものと予想します。

自立の利用者がいる施設で、介護給付の対象と同一スタッフが自立の方へサービス提供した場合の減算についてや、看取り対応への追加評価は見送りではと思います。

 

 

◯福祉用具貸与

予測:福祉用具専門相談員は異なる価格帯・機能の商品の提案義務化。2018年10月より、福祉用具の貸与上限額が設定される(全国平均貸与価格+1標準偏差)

 

◯居宅介護支援

予測:特定事業所集中減算廃止の方向性と予測。事業所集中が一定割合を超えた場合の監視機能は市町村(地域ケア会議など)へ移るか?

医療連携が強く叫ばれる中、退院・退所時の加算強化の流れ。

管理者を主任ケアマネへ限定すべきかの議論があるが、今回制限まで進まないものと予想。サ高住併設のケアマネに集合住宅減算は実施に向けて継続議論。

★利用者入院時の病院または診療所への情報連携を義務化(運営基準の改正)

★入院時情報連携加算の算定要件のうち、期限(現在7日を3日)と対面非対面(現在は医療機関への訪問が加算Ⅰの要件だが撤廃)に変更あり

★退院退所加算と初回加算の同時算定が可能に

★医療、歯科、薬剤に関する利用者のモニタリング結果を医師・歯科医師・薬剤師に報告。医療が必要な利用者のケアプランを医師へ伝達・交付が義務化(運営基準の改正)

★末期がん利用者のターミナル期のケアプラン変更で、担当者会議の省略を許可。

★末期がん利用者のターミナル期ケアに対する新加算(仮称:ターミナルケアマネジメント加算)を創設し、死亡日前Ⅱ週間での複数回訪問、24時間連絡体制、アセスメントの記録と医療・居宅サービス連携を推進

★居宅介護支援事業所の管理者を主任ケアマネに限定(経過措置を平成33年3月末)

★特定事業所加算を改定し、他法人運営居宅介護支援事業所との事例検討会や地域包括の事例検討会への参加を推進

★特定事業所集中減算は、通所介護・訪問介護・特定福祉用具にのみ適用

★訪問介護を非常に多い回数での利用するケアプラン作成時は、市町村へ届け出て地域ケア会議にかける

 

◯共生型サービス

予測:新設は確定。指定基準の方向性は未確定。

 

◯介護老人福祉施設

予測:赤字施設の増加傾向から見て、プラス改定を予想。基本部分での対応になるのでは?看取り体制への加算強化も議論にあるが、これ以上人材不足を招く改正には否定的。ユニットケアを70%目標に向けて走るが、多床室の報酬を変更するような無理な舵切りはないと予想。

 

◯介護老人保健施設

予測:ダウンはないものと予想。通所リハ・訪問リハにて記載の通り、連携し退所後の早期リハスタートには評価がつく見込み。

★在宅復帰機能を求める改正(従来型の廃止の可能性含む)
★リハ専門職の配置に対し、より評価する仕組みの導入
★多剤投薬入所者のかかりつけ医連携と減薬に対する取り組みに評価を行う(診療報酬の改定と連携)

 

◯介護療養型医療施設

予測:介護医療院への転換が進められるが、引き続き緩やかな移行となる見込み。

★人員基準:介護療養型医療施設と同等程度(Ⅱ型はやや緩和?)
★設備基準:定員4名以下、1人あたり床面積を8.0平米。その他は介護療養型医療施設水準で検討
★運営基準:介護療養型医療施設の基準と同様。医師の宿直は引き続き議論(病院併設では宿直の兼務を認める)
★ユニットケアの設定を行う
★基本報酬は、Ⅰ型は介護療養病床と同等程度、Ⅱ型は老健よりも評価程度
★療養病床からの転換促進のため、設備基準の緩和等を検討
★短期入所療養介護、通所リハ、訪問リハ、訪問看護は引き続き提供可能、居宅療養管理指導は機能から考え廃止

 

今後の更新予定

本記事では適宜更新を実施予定です。

確定情報については、こちらよりPDFをお取り寄せいただくと閲覧できます。PDFは定期更新しておりますので、最新の確定情報取得にお役立てください。

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