介護事業を行う上で欠かせない存在がケアマネジャーです。
そのケアマネジャーに関する加算が、算定用件に基づき詳細に設定されています。
今回は、ケアマネジャーにおける加算についてまとめましたので、ぜひご参考になさってください。
ケアマネジャーに関する加算一覧
特定事業所加算
特定事業所加算は、専門性の高い人材が確保されていることや、困難な事例を受け入れている事業所に対して、それをきちんと評価するための加算です。
事業所の取り組みを正当に評価することにより、地域全体のケアマネジメントの質を向上させることを目的としています。
特定事業所加算の種類はⅠ、Ⅱ、Ⅲの3種類あり、それぞれ500単位、400単位、300単位がひと月ごとに受けられることになります。
3種類すべてに該当していても、3つ同時に算定することはできません。
該当する上位のものを算定します。
特定事業所加算以外の加算を同時に算定することは可能です。
なお、該当事業所は情報公表を行うほか、利用者に対して積極的に情報提供することが必要です。
また、加算の取得事業所である旨、利用者が理解できるよう説明も行いましょう。
入院時情報連携加算
入院時情報連携加算は、医療と介護の連携強化と推進を図るという観点から、入院時に医療機関に対して、利用者に関しての必要な情報提供を行うことを評価した加算です。
入院時情報連携加算には2種類あります。
入院時情報連携加算Ⅰは、病院や診療所などを訪問して必要な情報を提供した場合に算定され、単位数は200単位です。
入院時情報連携加算Ⅱは、訪問以外の方法、例えば電話などで必要な情報を提供した場合に算定され、単位数は100単位です。
利用者が入院してから、遅くても7日以内に、医療機関へ利用者の情報を提供することが求められます。
その際、当該情報を提供した月に算定が行われます。
なお、情報提供の方法については、文書でも口頭などでも可能です。
記録を行い、経過を残しておきましょう。
退院・退所加算
退院・退所加算は、医療と介護の連携強化と推進を図る観点から、退院や退所時に病院などと利用者に関しての必要な情報共有等を行うことを評価した加算です。
単位数は300単位です。
ケアマネジャーが直接、病院や施設等に出向き、当該職員と面談することで、利用者に関する必要な情報を得た上で、それらの情報を反映させた居宅サービス計画を作成した場合に算定されます。
退院や退所後にサービス利用を始めた月に算定されますが、退院や退所した月の翌月末までにサービスの利用がなかった場合は算定できないので気を付けましょう。
利用者に関する必要な情報は、退院や退所前に得ておくことが望ましいですが、退院や退所後7日以内でも良いとされています。
特別地域加算
特別地域加算は、サービスを確保するという観点から、離島など人口密度が低い、交通の便が悪い、などといった地域にある事業所が行うサービスに関して、サービス費用が上乗せされる加算です。
加算額は、サービス費用の15%ですが、福祉用具貸与に限っては、貸与を行う際の交通費に相当する額が加算額となります。
対象となる地域は、
- 山村振興法
- 離島振興法
- 沖縄振興開発特別措置法
- 奄美群島振興開発特別措置法
- 小笠原諸島振興開発特別措置法の法指定地域にある事業所と
- 過疎地域自立促進特別措置法
- 豪雪地帯対策特別措置法
- 辺地に係る公共的施設の総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律
これら法指定地域の一部にある事業所になります。
初回加算
初回加算とは、新規に依頼を受けて居宅サービス計画を作成する場合に、300単位が算定されます。
新規とは、契約の有無に関わらず、利用者について過去2月以上、当該居宅介護支援事業所において居宅介護支援を提供していない場合で、居宅介護支援が算定されていない時に当該利用者に対して居宅サービス計画を作成した場合を指します。
また要支援者であった者が、区分変更等によって要介護認定を受けた場合で、居宅サービス計画を作成した時も算定対象となります。
加えて、要介護状態区分が2区分以上変更された場合で、居宅サービス計画を作成した時も対象となります。
例えば要介護1であった者が、状態変化により要介護4と判定された場合が当てはまり
ます。
認知症加算
認知症加算は、ケアマネジメントを行う際、生活状況などの把握やサービス調整、日常生活における支援などが困難な状況にあって、特に労力を必要とする認知症高齢者に関しての支援を評価した加算です。
単位数は150単位です。
医師の判定や主治医意見書を用いた、日常生活自立度がⅢ以上であることが必要です。
主治医意見書など文書をもって判定結果を確認した際は、ケアプラン等と一緒にその文書の写しを保存しておきます。
口頭で判定結果を確認した場合や、文書の写しが入手できない時は、判定した医師名や確認日等について、居宅支援経過等に記録を残しておきましょう。
医師の判定がなかったり、主治医意見書が使用できなかったりする時は、認定調査票の記載を利用しましょう。
独居高齢者加算
独居高齢者加算は、ケアマネジメントを行う際、生活状況等の把握や日常生活における支援などが困難な状況にあって、特に労力を必要とする独居高齢者の支援を評価する加算です。
単位数は150単位です。
この場合の独居であるということは、利用者から単身で居住していると申し立てがあった際、ケアマネジャーがアセスメントを行って確認します。
なお、住民票のみで独居であると判断することは廃止されています。
このアセスメントの結果は、アセスメントシートやケアプラン等に明確に記載しましょう。
この加算を算定している間は、少なくとも月1回以上利用者宅を訪問し、アセスメントによって単身で居住していることを確認して、その結果をケアプラン等に記録して残しておきましょう。
小規模多機能型居宅介護事業所連携加算
小規模多機能型居宅介護事業所連携加算は、居宅サービスから小規模多機能型居宅介護へ移行する際、円滑に移行できるために、居宅介護支援事業所から小規模多機能型居宅介護事業所へ、利用者に関しての必要な情報提供を行うことを評価した加算です。
単位は300単位です。
ケアマネジャーは、小規模多機能型居宅介護事業所へ直接出向いて情報提供する必要があります。
原則として、情報提供や協力をした当該月に算定されます。
なお、小規模多機能型居宅介護の利用を開始した場合のみ算定でき、結果的に利用を開始しなかった時は算定できません。
また、当該小規模多機能型居宅介護事業所で6月以内に当該加算を算定したことのある利用者については、算定することはできません。
中山間部地域等における小規模事業所加算
中山間部地域等にある小規模事業所の経営改善を図ることを目的として、当該地域の小規模事業所が行う居宅介護支援に関して評価を行う加算です。
所定単位数の10%とされています。
特別地域加算を算定している場合は、この加算は算定することができません。
この場合の小規模とは、事業所全体の実利用者数が月の平均で20名以下であることとされています。
またこの加算は、支給限度額管理の対象外となっています。
加算の算定を行いたい時は、事前に「体制届」を提出しておきましょう。
加算を算定しようとする月の、前の月の15日までが提出期限となります。
なお、実利用者数が増加して、算定用件を満たさなくなった時は、速やかに「体制届の変更」の届出を行いましょう。
中山間地域等に移住する者へのサービス提供加算
中山間地域等に住んでいる者に対して、通常の事業の実施地域を越えてサービス提供した場合、その時にかかった移動費用について評価した加算です。
所定単位数の5%とされています。
利用者の住居地に着目している加算です。
各自治体において、事業所ごとに定める「通常の事業の実施地域」を越えてサービス提供を行った時に算定することが可能となります。
この加算によって、移動費用を評価しているので、直接利用者から交通費を徴収することはできません。
有料道路代や有料駐車場代についても、同様に徴収することはできません。
またこの加算は、支給限度額管理の対象外となります。
この加算と、特別地域加算や小規模事業所加算などと同時に算定を行うこともできます。
まとめ
今回はケアマネジャーに関する加算について解説しました。
様々な加算があり、混乱するかもしれませんが、何を評価した加算なのかを把握して、適正な加算が受けられるよう事業運営に繋げて頂けたらと思います。
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特定事業所加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。
認知症加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。
(専門家監修:矢野文弘 先生)