訪問介護を行う上で、利用者の些細な変化に気づき、適切な対応を行うために必要なのが、モニタリングです。
今回は訪問介護におけるモニタリングについて、詳しく解説していきます。
訪問介護事業所の皆様がご覧になり、サービスの質の向上等に役立てていただけたら幸いです。
モニタリングのおさらい
モニタリングの概要
訪問介護においてモニタリングを行うのは、事業所のサービス提供責任者です。
頻度は日々のサービス利用ごとに行うものと、1カ月に一度等定期的に行うものとあります。
対象者は利用者とその家族に対して行います。
様式については決まった書式等はありませんので、事業所のサービス等に応じて作成しましょう。
モニタリングの流れ
モニタリングの流れを説明します。
日々のサービス利用ごとに行い、モニタリングにおいてはサービス利用中に利用者と接して気が付いた点やいつもと違う点などを記録していきます。
日々観察しているから故、些細な変化を見つけやすくなり、万が一の時の迅速な対応が可能となります。
定期的に行うモニタリングにおいては、アセスメントを行い、訪問介護計画書を作成した後、1カ月に一度程度実施します。
利用者宅を訪問して面談し、サービスは円滑に行われているか、目標の達成度や満足度はどうか、利用者や家族の状況など観察と情報収集行い、評価を行います。
モニタリングを行った後、書面にてケアマネジャーへ報告します。
目標やサービス内容の見直しが必要か否かといった、専門性のある具体的な内容を記載することで、迅速かつ的確な支援が可能となります。
訪問介護におけるモニタリング
訪問介護サービスの流れ
ケアマネジャーからサービスの依頼が事業所に対して行われた後、利用者宅を訪問して契約が結ばれます。
その際、アセスメントを行い、利用者の心身状況を把握、家族の介護状況、家屋の状態や、必要な支援等について明らかにしていきます。
サービス担当者会議が開催され、訪問介護における役割を明確にします。
次に、ケアプランを基にして訪問介護計画書を作成し、文書にて利用者や家族へ説明し同意を得ます。
サービス提供を開始してからは、経過記録などに日々の様子を記録していきましょう。
これが日々のモニタリングということになります。
そして、一月に一度程度を目安として、サービス提供責任者が利用者宅を訪問し、モニタリングを行います。そこでその期間内の評価を行います。
モニタリングの項目
モニタリングの項目について説明していきます。
利用者の名前や担当職員と、訪問日時を記載します。定期のモニタリングによるものなど、訪問した理由も書いておきましょう。
利用者や家族の状況については、詳しく書きます。
前回訪問した際は、立ち上がりが容易にできていたが、今回は10秒程度時間がかかるようになったなど、具体的な内容を記載しましょう。
そうすることで、ケアマネジャーにも状況が伝わりやすくなります。
また家族の状況についても記載します。
例えば、妻が風邪を引いており、体調を崩しているなどと書きます。
上記に加え、利用者と家族の満足度も記入します。
①大いに満足、②概ね満足、③普通、④やや不満、⑤大いに不満などといった項目を作り、利用者や家族に直接尋ねるようにしましょう。
また、サービス内容について問題や課題がある場合は、その内容を記載します。
先に書いた利用者や家族の状況などによって、サービス内容を変える必要も出てきますので、注意して書きましょう。
その他利用者や家族からの意見がある場合は、別途記載します。
またケアマネジャーに伝えておいた方が良い内容も具体的に書きましょう。
モニタリングの留意点
①利用者や家族を主体とします
サービス主体とならないよう、利用者や家族の状況を十分把握した上で、どの程度満足しているかを明らかにしましょう。
②サービスを行っている担当者の声を聞きましょう
実際にサービスに入っている介護職員から、直接情報を得ましょう。
日々サービスを行っているからこそ気づける情報を教えてもらいます。
③利用者宅を訪問しましょう
電話などではなく、直接訪問することにより明らかになる情報があります。
人から聞くだけでなく、自分の目で確かめるようにしましょう。
実地指導におけるモニタリング
実地指導が行われる際、モニタリングを行っていない場合は、減算の報告が必要になります。
これを怠ったケースを見てみましょう
モニタリングは、期間を決めて行うため、一月に一度なら毎月必ず記録を残さなければいけません。
これについて、「モニタリングを実施していない事例」として、一カ月に一度居宅を訪問、利用者面接を行った記録がない事例が紹介されています。
加えて、モニタリング結果の記録がない事例が確認されました。
この場合、著しい運営基準違反として、指定の取り消しという厳しい処分が下されています。
まとめ
今回は訪問介護におけるモニタリングについて解説してきました。必ず実施しなければならないモニタリングにおいて、注意すべき点や具体的な内容を記載しましたので、参考にして頂けたら幸いです。この記事が参考になったという方は、シェアをお願いします。
モニタリングについて、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。
(専門家監修:矢野文弘 先生)