介護支援ブログ

介護制度について分かりやすく解説しています。介護に関っている全ての方々に役立つ総合介護情報サイト目指しています。現在は主に介護職員処遇改善加算、キャリアパス要件、介護保険施設等の実地指導について執筆中です。

訪問介護における特定事業所加算の単位数は?

f:id:kaigo-shienn:20180426115319p:plain

訪問介護における加算の種類には、2人体制加算や夜間早朝加算などの働き方に応じた加算だけでなく、サービス提供体制強化加算や特別事業所加算など、サービス提供の質を評価する加算が存在します。

昨今の度重なる介護報酬改定で、こういったサービスの質に関する加算をとるかどうかは、事業所の存続にも大きく関わってきます。

 

今回は、訪問介護における特別事業所加算の単位数等に関して説明していきます。

f:id:kaigo-shienn:20170220161405j:plain

訪問介護における特定事業所加算とは

特定事業所加算とは、ケアマネージャーをはじめとし、介護福祉士などの介護の専門性の高い人材を確保したり、重度介護者に対しての積極的な対応など、個としての関わりだけでなく、事業所全体としてより質の高いケアマネジメントを提供している事業所に対して、一定単位数を加算するものです。

この加算をとるためには、支援困難なケースでも適切に対応できる体制が整備されているなどの必要があります。

詳しい要件については次の項に記載しておりますので参照してください。

訪問介護における特定事業所加算の要件とその単位数

まず、特定事業所加算には「特定事業所加算Ⅰ」「特定事業所加算Ⅱ」「特定事業所加算Ⅲ」「特定事業所加算Ⅳ」の4種類が存在します。

Ⅰ~Ⅳでそれぞれ要件が異なりますので、きちんと確認をしておいてください。

特定事業所加算Ⅰ(所定単位数の20%)

① 訪問介護員ごとに研修計画を作成し、研修を実施していること

② 情報伝達や技術指導を目的として、会議を定期的に開催していること。

また、訪問介護の提供にあたり、サービス提供責任者が訪問介護員に対して留意事項を伝達し、サービス終了後には報告をしていること

③ 訪問介護員等に対し、健康診断等を定期的に行うこと

④ 緊急時における対応方法が利用者に明示されていること

⑤ 訪問介護員等のうち、介護福祉士が30%以上、または介護福祉士、実務研修修了者等が50%以上であること

⑥ 全てのサービス提供責任者が3年以上の実務経験を有する介護福祉士、または5年以上実務経験を有する実務者研修修了者であること。

ただし、人員基準により、1人を超えるサービス提供責任者の配置が必要な場合は、常勤のサービス提供責任者を2名以上配置していること

⑦ 前年度、または算定日が属する月の前3カ月間における利用者の総数のうち、要介護4・5、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅲ以上、喀痰吸引・経管栄養を受けている者の割合が20%であること

特定事業所加算Ⅱ(所定単位数の10%)

上記の①~④のいずれにも適合し、かつ、⑤または⑥のいずれかに適合していること

特定事業所加算Ⅲ(所定単位数の10%)

上記①~④、⑦いずれかに適合すること

特定事業所加算Ⅳ(所定単位数の5%)

  1. 上記②~④に適合していること
  2. 全てのサービス提供責任者に対し、サービス提供責任者ごとに研修計画を作成し、研修を実施すること
  3. 人員基準により、配置することとされている常勤のサービス提供責任者が2人以下の事業所であって、同項の規定により、配置することとされているサービス提供責任者を常勤により配置し、かつ、同項に規定する基準を上回る数の常勤のサービス提供責任者を1人以上配置していること
  4. 前年度または算定日が属する月の前3カ月間における利用者の総数のうち、要介護状態区分が要介護3・4または、要介護5である者、日常生活に支障をきたす恐れのある症状もしくは、行動が認められることから、介護を必要とする認知症である者並びに、社会福祉士法施行規則第一条各号に掲げる行為を必要する者の占める割合が60%以上であること

まとめ

今回は、訪問介護における特定事業所加算について概要と要件について紹介させていただきました。

特定事業所加算は、訪問介護と居宅とで要件が大きく異なりますので、確認をしてください。

 

特定事業所加算はハードルの高い加算になっています。

その分、特定事業所加算Ⅰを算定できる事業所は、所定単位数の20%を算定できますので、より質の高いサービスを継続的に提供できると思われます。

しかし、実際には要件⑦のように、重度介護者を受け入れることが現実問題難しい状況です。

そもそも、訪問介護事業所が「重度者」だけを選ぶことはできません。

ケアマネージャーも、介護度の高い利用者をピックアップしてケアプランを作成することもないと思われます。

さらに、痰の吸引には、事業所側に、認定特定行為業務従事者が必要になる分、さらにハードルが高くなります。

そのため実際のところ、特定事業所加算についてはⅡで要件を満たし、算定をとっている事業所が多く存在します。

 

Ⅰはあくまで理想、目標であるように扱われているのが悲しい現実です。

昨今の介護業界は、人材不足でかつ、若者の介護離れが加速し、安定した技術、知識伝承がなされておらず、特定事業所加算Ⅰにもあるような教育体制がとれないのも現実です。

このような加算を積極的にとることが、事業所の運営がスムーズにいく要因ですが、それ以外にも、スタッフが働きやすい環境を作っていく重要な加算と言えますので、今一度、特定事業所加算について熟考してみてはいかがでしょうか。

 

参考になりましたらシェアのほどお願い致します。

 

 

特定事業所加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

にほんブログ村 介護ブログ