介護支援ブログ

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介護職員処遇改善加算の返還とは?

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介護事業者の皆様の間でいつも話題に上がる介護職員処遇改善加算。

業界全体で人材の定着が問題視されている中、賃金改善による従業員満足度の向上とても大切です。

しかし、正しく加算や賃金改善を行わなかった場合、行政処分が下されることもあります。今回の記事では、介護職員処遇改善加算の返還に関して詳しくご説明していきます。

ぜひ一読し、正しく加算を行っていきましょう。

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介護職員処遇改善加算とは

介護職員処遇改善加算とは、介護職の職種定着やサービスの質的向上、事業所のイメージアップなどを目的に、一定のキャリアパス要件を満たした事業所に算定される加算のことをいいます。

加算については介護報酬改定ごとに少しずつ変化しており、加算の種類も現在は4種類に増えており、サービス種別に応じて加算のパーセンテージも異なりますので、こちらを参照してください。

障害福祉サービスにおける処遇改善加算について

 

2012年(平成24年)から介護報酬に創設されていますが、改定ごとに処遇改善加算は上乗せされ続けており、2017年(平成29年)にも上乗せが予定されています。

この処遇改善加算は、2011年(平成23年)までに実施された「介護職員処遇交付金」が元になっています。

度重なる改定もあり徐々に処遇は改善されている事業所も確かにありますが、現場の声を聞くと、処遇改善加算はあまり功を奏していないという声が聞こえてきます。

1人あたりのマンパワーも、高齢化社会に伴い増加してきているため、平均して給料は増えているものの、マンパワーに比例するだけの報酬にはまだ到達していないというのが現場の本音のようです。

介護職員処遇改善加算の不正

その1:加算の不正請求

処遇改善加算の算定要件には、加算の種類に応じて満たすべきキャリアパス要件が設けられています。

不正請求といっても、悪意のある場合とない場合があり、前者については厳しい処分が下されるケースがあります。

具体例についてはこちらを参照してください。

介護保険施設等の実地指導 行政処分の事例紹介

 

よくあるケースとして、処遇改善加算要件には、資質向上のための計画にそって、研修機会の提供または技術指導などを実施するとともに、介護職員の能力評価を行うことと記されていますが、こういった教育・評価計画を立てずに、研修等の機会を作らないまま加算請求をするケースが見受けられます。

また、計画は作っていたけど、職員、施設の都合等で、研修が延期し、そのまま実施されないまま翌年度まで持ち越されたのにも関わらず、キャリアパス要件を満たしたとして加算請求してしまうこともあります。

こういった場合は全て不正請求とみなされますので注意が必要です。

その2:監査時の虚偽報告

監査(実地指導)は、通常、事業所には入りません。

利用者やご家族からの訴えや、内部告発などを理由に行政が事業所に立ち入って、書類の確認や、業務の実態について確認し、問題が発覚すれば行政処分となります。

事業所に来る段階で、「不正をしている可能性がある」ということですので、下手に誤魔化すとより重い行政処分が下りますので、虚偽報告は絶対にやめましょう。

 

虚偽報告事例は多々ありますが、例えば、訪問介護の資格を有していない人が訪問介護サービスを提供していたのにも関わらず、資格のある人がサービス提供していたと虚偽の報告を行政職員に行い、それが発覚し、スムーズな実地指導を妨害した場合、指定事業所の効力を期間付で停止処分になったり、最悪の場合、事業所の指定取り消し処分になります。

不正による返還処分

一般的に、行政処分の形には以下のようなものが挙げられます。

  • 新規利用者の受け入れ停止処分 
  • 事業所の指定取り消し処分
  • 返還金請求

などが挙げられますが、今回は、返還金請求について紹介します。

そもそも返還処分とは一体なんなのでしょうか。

処遇改善加算は、事業所ごと、かつ、加算の種類に応じて、加算申請できる額が異なってきますが、処遇改善加算のキャリアパス要件を満たすと思われる事業所からの申請を受け、加算額が支給された事業所が、なんらかの理由によって、行政に加算額をそのまま返金することを返還処分といいます。

そもそも、加算の算定要件は、賃金改善額が、加算による収入額を上回ることを指すため、加算による収入額を下回ることは予想されませんが、加算による収入額を下回っている場合は、一時金や賞与として支給することが望ましいとされてます。

これも、悪質なケースは、加算の算定要件を満たしていない不正請求として、全額返還処分の対象になりますので、加算による収入額を下回る賃金改善額だった場合は、上記のような対処で進めるようにしましょう。

また、基本的に処遇改善加算の算定期日が設けられていますが、その当該期間において、実績報告がない場合でかつ、行政からの再三の実績報告の提出勧告が出ているにも関わらず、実績報告の提出を行わない場合、加算の算定要件を満たしていない不正請求として、これも全額返還処分の対象になります。

このように、行政処分で最も多いのが不正請求になりますが、不正請求についても「公益侵害の程度」や「故意性」「反復継続性」「組織性」などを考慮し、厳重注意で済むものから、指定取り消しと重い処分になるものまで様々です。

不正による返還の事例

例1)訪問看護、介護予防訪問介護事業

このA事業所は、処遇改善加算の算定要件を満たしながらも、改善額を受け取りながら、当該職員に対して賃金補助は行わず、施設の利益として献上。

従業員からの内部告発があり、行政による実地指導が入りました。

さらにその際、行政には「待遇を改善した」と虚偽の報告を行ったとして、指定の取り消し及び返還処分となりました。

先述しましたが、行政が事業所に立ち入るという段階で、ある程度行政は目星をつけて監査に踏み切っていますので、実地指導が入る場合は素直に報告するのが望ましいでしょう。

 例2) 訪問介護

B事業所はキャリアパス算定要件を満たしているとのことで、処遇改善加算を算定しました。

介護職員への技術指導計画や能力評価についても年間予定表を作成し、スケジュール通りに遂行していましたが、介護職員の都合や、施設の都合等により、計画していた技術指導(OJT,OFF-JT)が延期及び中止になってしまい、実施しないまま翌年度を迎えました。

退職した職員の通達により、行政による実地指導の結果、不正請求として返還処分の行政指導が入りました。

まとめ

今回は、処遇改善加算の返還処分について紹介させていただきました。

介護事業所における行政処分のほとんどは、不正請求による処分がほとんどです。

そのうち処遇改善加算における返還処分も含まれていますが、処遇改善加算について介護報酬改定ごとにその金額は増加しています。

それに比例して、その基準要件も厳しくなっているため、不正請求が増加する懸念があります。

 

処遇改善加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

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