認知症高齢者との接し方② ~気持ちよく介護するための5か条~
はじめに
前回では、認知症高齢者と接するために知っておくべきこと、基礎知識について解説しました。
今回は、実際に接する際のポイントについて解説します。
認知症の方と接する上での5つのポイント
- 観察する
認知症になると不調を伝えるのが難しくなります。そこで近距離や離れた場所から表情や動作を観察してください。よく見て観察することで、まばたきの回数がいつもより多い、歩く時の傾きが大きいなどの変化がわかるものです。
- 見守る
ついつい自らが介護することばかりに意識がいきがちです。しかし本人が自分でやろうとしていることを無視して行うのは自発性をそいでしまい認知症の進行を早めます。声をかけた後にひと呼吸おいて相手を見守ることも大切です。
- 質問する
認知症の方は言葉で説明する力が低下する為、「はい・いいえ」で応えられる短答式で質問しがちです。しかし5W1H形式の、いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どうやって、を利用して質問しましょう。それによって、相手の気持ちを感じられるきっかけが作れるのです。
- 提案する
「○○してください」と、「○○したらどうかな?」は受け手からすると印象が変わります。命令は時に高圧的に感じ、提案は自身を尊重してもらっていると感じやすくなります。
- 気持ちに寄り添う
忙しくて一人だけにかまっていられない状況も多々あるでしょう。しかし相手の気持ちに寄り添い共に行動する気持ちを持つことから信頼関係も作られるのです。
この5つのポイントを押さえることで、自然と「相手の言葉や気持ちを受け入れる」対応になるはずです。
認知症の介護時のQ&A
認知症の方の介護を行うにあたっての「○○なときのQ&A」をご紹介します。
Q1. 大声をあげて攻撃的になったとき
施設内で介護をしている時、大声をあげられたり攻撃的になられると、他の方の迷惑になっても困ると焦ってしまうものです。
しかし逆の立場で考えてみましょう。実は無意味に大声をあげているのではないのです。不安を感じていたり、気持ちが伝えられなくてもどかしく苛立っているのかもしれません。
そういったことを感じ取る為にも、ただなだめるだけでなく、質問したり提案するなどして相手の気持ちに寄り添いましょう。
Q2. 家に帰りたいと言いだした時
認知症の方は、今の状況は判断できないものの、昔のことは覚えていたりします。ここは自分の家ではないと急に思い立ち、こんな風に口にすることがあるのです。
「帰って夕飯の支度をしなくちゃいけない!」
本人からすると当然のことを口にしているつもりですが、それを叶えてあげられないことがほとんどでしょう。しかし、いくら諭したところで残念ながら相手には理解ができません。
「お風呂が準備できているから先にお風呂に入りませんか?」
と提案するなど、気をそらして協力を依頼してみましょう。
どちらも「これが絶対的な正解」というわけではありません。相手がその行動をとっている気持ちを理解した上で対応をしていくようにしましょう。
次回は、介護が虐待にならないためには、をテーマに解説します。
認知症加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。