介護支援ブログ

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処遇改善加算における提出書類とは?

最近、世間の話題となっているキーワードの一つが、「人手不足」ではないでしょうか?外食業界での「ワンオペ」や、宅配便ドライバーの過酷な勤務実態などが新聞の紙面を賑わせています。

介護職員の人材不足解消の一手となるのが、「介護職員処遇改善加算」(以下、処遇改善加算)です。

今回は、一見複雑に見える書類上の手続きについて解説していきます。

ぜひ、この記事をご覧いただき、お役立ていただきたいと思います。

 

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1. 処遇改善加算とは

処遇改善加算とは、2012(平成24)年4月より導入された、介護報酬における「加算」の一つです。

あくまでも「加算」ですから、その他の「看護体制加算」や「機能訓練加算」などと同じように、条件を満たしていれば介護報酬に上乗せして収入を得ることができます。

しかし、通常の加算と異なるのが、その使い道が限定されていることです。

処遇改善加算で収入が増した場合、得られた金額以上のお金を必ず職員の給料アップや資質向上などに使って、職員に還元しなければなりません。

 

制度のスタートから5年目となる2017(平成29)年では、加算の体系が加算I~Vの5段階となりました。

その中の最上位である加算Iを算定した場合、職員の給与を最大月額で37,000円アップできるだけの収入が得られます。

事業者は、給料をアップしても経営上の負担が少なくて済むメリットがあります。

また、高い加算を算定していることは、仕事を探している人にとってそれだけでアピールポイントになります。

他の事業所と差をつけることができます。

加算の算定に関わる監督官庁は各都道府県または政令市となります。

手続きの流れを、以下のモデルケースで見ていきましょう。

 

平成29年 6月 8月からの加算(II)算定に必要な手続き

平成29年 8月 加算(II)算定開始

平成30年 2月 次年度より、加算(II)を加算(I)に変更するための手続き

平成30年 4月 加算(I)算定開始

平成30年 7月 前年度の実績報告書を提出

平成30年 8月 事業所の統合により、月末で加算算定を終了

平成30年 12月 平成30年度の実績報告書を提出

 

 

手続きは、郵送により書類を提出する形式で行います。

必要な提出書類について、次の項目で詳しく見ていきましょう。

2. 介護職員処遇改善加算の提出書類

それでは、手続きごとに必要な書類について、さいたま市の場合を例にして解説していきます。

様式については、どの都道府県や政令市においても大きな違いはありませんが、対応が異なる場合もありますので、事業所のある都道府県のホームページなどで必ずご確認の上お手続きをお願いします。

 

① 加算の届出を行うとき

処遇改善加算に限らず、新しく加算の算定を行うにあたっては、必ず以下の書類の提出が必要となります。

 

○介護給付費算定に係る体制等に関する届出書 
○介護給付費算定に係る体制等状況一覧表

 

 

さらに、以下の書類が必要となります。

 

○「処遇改善加算提出書類チェックリスト」

まずチェックリストをダウンロードし、その内容に沿って提出書類を準備するとスムーズです。

 

○「介護職員処遇改善計画書」

様式は各都道府県・政令市のホームページよりダウンロードできます。

記入に際して注意点が二つあります。

 

一つ目は、「加算の見込額」よりも「給与改善の見込額」の方が多くならないといけません。

初めにも少し触れましたが、処遇改善加算を算定する事業所は、加算で得られた収入を全て職員の処遇改善に使うと同時に、さらにいくらか上乗せする義務があるためです。

 

二つ目が、「給与総額」についてです。

加算を算定する場合、算定開始年度の前の年度の賃金が「賃金水準」となり、加算算定によって賃金アップがどれだけ得られたからの判断材料となります。

しかし、介護職員の人数は常に変わってしまうため、単純に支払った給与の総額を比べても、正確な比較はできません。

そのため、初めて加算を算定する場合に、前年度から職員が増員しているときは注意が必要です。

少し複雑なので以下のモデルで説明します。

 

(間違った例)

加算算定前 職員19人×月20万円=月の給与総額380万円

加算算定後 職員20人×月21万円=月の給与総額420万円 プラス40万円

 

この例で、「加算算定のおかげで給与は40万円アップした!」というのはおかしいですよね。

一人あたりのアップは1万円です。

職員が一人増えているために、より給与総額がアップしているのです。

この場合、加算算定前の人数もそちらに合わせる必要があるのです。

 

(正しい例)

加算算定前 職員20人×月20万円=月の給与総額400万円

加算算定後 職員20人×月21万円=月の給与総額420万円 プラス20万円

 

 人数がもっと大人数の場合や、年間の総額となると数字も大きくなり計算が大変になります。

各都道府県や政令市でもホームページ上で書き方の注意点が公開されていますので参考にしてください。

 

 

その他に必要となる書類です。

○処遇改善加算申請書

○就業規則の写し

○給与規定の写し(就業規則と別に定められている場合に提出が必要です)

○労働保険加入が確認できる書類

 

 

さらに加算の段階によって必要となる書類が異なります。

キャリアパスに関する要件をもとに算定する場合は、以下の書類のいずれかが必要となります。

加算(I)であれば、キャリアパス要件1から3を全て満たす必要がありますので、全て必要となります。

 

○「キャリアパスを規定した書類」・・・キャリアパス要件1を満たす場合に必要

○「資質向上のための計画」・・・キャリアパス要件2の5アに該当する場合に必要

○「定期昇給を判定するための仕組みについて整備した書類」・・・キャリアパス要件3を満たす場合に必要

 

変更の届出

以下の内容に該当する場合には、変更の届出を行う必要があります。

  • 加算事業所が合併した場合や、法人内で新設や廃止などがあった場合
  • 就業規則を改正した場合(介護職員の処遇に関係しない場合は不要)
  • 新たにキャリアパス要件を満たした場合など

いずれの場合も、「処遇改善加算変更届」を提出します。

どの内容の変更であるかによって、添付する書類が変わります。

 

③ 特別事情の届出

赤字が続いてしまうなど、事業所の経営が思わしくないときには、給与水準を下げなくてはならないこともあります。

そのような場合には、「特別な事情に係る届出書」を提出しなくてはなりません。

決算書など、特別な事情であることがわかる書類を添付する必要があります。

また、年度をまたいで給与水準の引き下げを継続する場合には、新年度の加算申請手続きの際に、再度この「特別な事情に係る届出書」を提出する必要があります。

特別な事情による引き下げは、あくまでも一時的な措置ですから、経営状況の改善に努めるとともに、改善後は速やかに元の水準に給与を回復させることが必要です。

 

④ 実績報告

加算を算定している年度が終わったら、翌年度の7月末までに「実績報告書」の提出が必要となります。

ただし、年度の途中で事業所を廃止された場合や処遇改善加算の算定を終了した場合は、最終の加算の支払いがあった翌々月の末日までに、実績報告書を提出する必要があります。

報告書は、各都道府県・政令市が用意する雛形に入力して提出します。

もしも、年度の途中で事業所を閉鎖したり、加算の算定を終了したりすることになった場合は、その時点で実績報告書を提出しなければなりません。

その場合は、加算が含まれる最後の支払いがあった翌々月の月末が期限日となります。

 

⑤ 同意書について

処遇改善加算は、「加算」のひとつであるため、高い加算をとればとるほど、利用者の負担が増すこととなります。

行政への提出書類ではありませんが、算定や変更の際には、重要事項説明書の差し替えなどを行って、利用者・ご家族にきちんと説明し、理解が得られるように注意しましょう。

 

まとめ

ここまで、処遇改善加算についての手続きの流れと必要な書類について解説してきました。

この記事が参考になった方はぜひシェアをお願いします。

 

 

処遇改善加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

 

(専門家監修:矢野文弘 先生)

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