介護支援ブログ

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地域密着型通所介護の運営基準とは?

 介護事業者の皆様は、ご利用者のニーズに応え、また職員の暮らしを支えるべく日々ご尽力のことと思います。

 健全な経営・財務状況を実現するうえでは、運営基準の遵守が欠かせません。

 ぜひ、この記事をご覧いただき、お役立ていただきたいと思います。

 

 

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地域密着型通所介護の運営基準とは

 

サービス計画書について

 介護保険サービスの提供は、すべて契約に基づいて確実に実行されなければなりません。

 その契約内容が記されているのが施設サービス計画書となります。

 居宅介護支援におけるケアプランが作成されている場合には、その内容に沿ったものでなければなりません。

 地域密着型通所介護事業所には、「利用者一人一人の人格を尊重し、利用者がそれぞれの役割を持って日常生活を送ること」ができるようにサポートすることが求められています。

 一人一人の身体状況、認知機能の状態、家族との関係、住宅環境などの情報から必要な支援を導き出していく必要があります。

 また、サービス計画書の内容についてはきちんと説明を行い、同意を得る必要があります。

 さらに、計画書を交付することも忘れてはなりません。

 本人・家族への説明義務については、費用の面でも重要です。納得されるまで丁寧な対応をこころがけましょう。

 

地域住民との交流

 地域密着型のサービスは、地域包括ケアシステムにおいても、とても重要視されています。

 住み慣れた街(中学校の学区内程度の範囲)の中で、高齢者が地域との関わりを持ちながら暮らしていけるように、地域住民と積極的に交流の機会を持つことが重要です。

 

運営規程の整備

 以下の10項目について、運営規程を定めておく必要があります。

  • 事業の目的及び運営の方針
  • 従業者の職種、員数及び職務の内容
  • 営業日及び営業時間
  • 指定地域密着型通所介護の利用定員
  • 指定地域密着型通所介護の内容及び利用料その他の費用の額
  • 通常の事業の実施地域
  • サービス利用に当たっての留意事項
  • 緊急時等における対応方法
  • 非常災害対策
  • その他運営に関する重要事項

 

運営推進会議の開催

 指定地域密着型通所介護の提供にあたっては、運営推進会議を半年に一度以上の頻度で実施することが必要です。

 会議は以下のメンバーによって構成されます。

  • 利用者
  • 利用者の家族
  • 地域住民の代表者
  • 所在地のする市町村の職員、又は所在区域を管轄する地域包括支援センターの職員
  • 地域密着型通所介護について知見を有する者等

 

 事業者は、運営推進会議に対し活動状況を報告し、評価を受けます。

 同時に運営推進会議から必要な要望、助言をヒアリングして運営に反映させていくことも求められます。

 また、会議の内容について記録し、それを公表することも必要です。

 

職員体制について

 事業所ごとに従業者の勤務の体制を定めておかなければなりません。

 複数の事業所がある場合に、兼務できる職種は限られています。

 直接利用者の支援を行う介護職員は、事業所ごとで専従していなければなりません。

 また、介護サービスの質を向上させていくためにも、職員に対して研修の機会を設けることも求められています。

 

苦情や事故への対応について

 利用者からの苦情には真摯に対応する必要があります。

 また、市町村などから派遣される第三者が行う相談援助業務などに協力するよう努めなければなりません。

 事故が起きてしまった際には、直ちに市町村、当該利用者の家族、当該利用者に係る指定居宅介護支援事業者等に連絡を行います。

 そして、損害賠償についても必要であれば、速やかに手続きを行います。

 事故の状況やその後の対応について記録を残すことも必要です。

 

災害や感染症への対応について

 非常時や災害時の具体的な計画を定めるとともに、関係機関への通報及び連携体制を整備する必要があります。

 また、職員にその内容を周知して、定期的に防災訓練を行わなければなりません。

 感染症の予防のためには、日頃から衛生的な管理に努める必要があります。

 そのほか、感染症が発生してしまった際に速やかに収束させることも求められます。

 

記録の保全

 ここまでの各項目においても再三登場する「記録」について、きちんと保管しておく必要があります。

 サービスの完了から2年間保管の義務があります。

 

 詳しくは次項で説明します。

  

 

地域密着型通所介護の運営基準における注意点

 地域密着型通所介護事業所を運営していく上で、特に気をつけなければならない点が2つあります。

 

サービス提供の記録

 サービス提供の記録は、実地指導や監査の際に正しく運営しているという「証拠」となるものです。

 実地指導も監査も、指導項目については「当日現地で確認すること」が原則です。

 監査の場合、通知が当日直前というケースもありますから、日頃からきちんと整備しておきましょう。

 サービス提供の記録は、サービス提供が完結した日から最低2年間は保管が義務付けられています。

 ただし、都道府県によって必要とされる保管期間が異なります。

 「5年間」としている自治体もありますので注意が必要です。

 

利用者定員の超過

 利用者定員は、必ず守らなければなりません。

 減算にはならない場合であっても、「基準違反状態」となってしまうと指導の対象となり、監査当日が超過した状態であれば罰則も考えられます。

 定員の超過が例外的に認められるのは、「災害その他やむを得ない事情がある場合のみ」とされています。

 利用者都合による急な利用などでは、「やむを得ない事情」とは認められませんので注意が必要です。

 

 

地域密着型通所介護の運営基準における減算

 地域密着型通所介護事業所においては、運営基準を満たせないことによる減算の取り扱いは他の小規模型事業所と同様です。

 減算の対象となるのは、「利用者定員を超過した場合」と、「介護職員・看護職員に欠員が出た場合」の2つです。

 それぞれについて解説していきます。

 

利用者定員を超過した場合

 定員をオーバーしている場合の減算については、1カ月単位の総数で判断されます。

 定員15名で定休日なしで30日間運営した場合、最大利用定員は15×30で延べ450人となります。

 この人数を1名でも上回ってしまうと、翌月より利用者全員の介護報酬が30%減額されてしまいます。

 月単位で定員超過が解消されるまでこの措置は継続されます。

 

介護職員・看護職員に欠員が出た場合

 まず、欠員の程度によって、減算の期間が異なります。

 欠員が基準の一割を超えている場合には、翌月から欠員状態が解消されるまでの間、介護報酬が30%減額されてしまいます。

 欠員が基準の一割以内に留まる場合には、減算の開始が翌々月となり、翌月末日までに欠員が解消していれば減算は生じません。

 

 地域密着型通所介護の場合、看護師については施設の常駐していなくとも、密接な連携が取れる状態にあれば良いこととなっています。

 併設の介護保険施設やクリニックなどと連携できており、常時電話にて対応可能などの条件を満たせれば、その場に不在でも可です。

 介護職員の場合は、提供時間帯を通じて必ず一人以上の配置が必要です。

 定員が15名を超える場合は、さらに人数の確保が必要となります。

 定員18名の場合は1.6名となります。

 

 いずれの場合においても、減算された状態はあくまでも「非常事態」となります。

 最大限の努力で解消に当たる必要があります。長期化する場合には指定取り消しとなることもありますので注意しましょう。

 

 

地域密着型通所介護の運営基準違反となる場合

 運営基準を満たしていないと、基準違反を起こしてしまいます。

 悪質な場合は事業所の指定取り消しとなり、すなわち廃業を意味します。

 悪意ではなくとも、知らなかったでは済まされないのが運営基準ですので、基準違反を指摘されて慌てることがないようにしていきましょう。

 運営基準の具体的な項目について、主なものをチェック形式で挙げておきます。

 

  • サービス提供の際は、事前に重要事項説明書の説明を行い、同意を得ていますか?また書面にて交付していますか?
  • サービスの提供が困難である場合にきちんとケアマネジャーに報告し、他事業所の紹介などを行っていますか?
  • 介護認定申請に関わる手続きへの協力体制ができていますか?
  • 可能な限りサービス担当者会議に出席し、利用者の心身の状況把握、サービスの利用状況などの情報収集に努めていますか?
  • 居宅介護サービス計画書に記載された内容に沿ったサービス提供を行っていますか?
  • 利用定員を超えた利用者を受け入れていませんか?
  • 通所介護計画書を正しく作成していますか?また、利用者または家族に説明して同意を得てから、書面にて交付していますか?
  • サービス提供に必要な職員の人員確保ができていますか?
  • 利用者及び家族からの苦情に、誠意を持って対応していますか?
  • 事業所内に、運営規定の概要、勤務体制、重要事項がだれにでも見えるように掲示されていますか?
  • サービス提供の記録を、サービス提供の完結から2年間保存していますか?

 

 

まとめ

 いかがでしたか?

 運営基準について指摘を受けることがないように、日頃から気をつけて運営に当たりたいものです。

 特に記録については、「記録がなければやっていないのと同じ」と認識する必要があります。

 介護本来の業務に追われて、どうしても後回しになりがちな書類業務ですが、溜め込まずに整理していくようにしていきましょう。

 

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運営基準について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

 

(専門家監修:矢野文弘 先生)

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