介護支援ブログ

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処遇改善加算における賃金水準とは?

介護業界の人材不足は一向に改善される気配がありません。

原資は限られているけれど、少しでも待遇を改善したいとの思いは介護事業者共通の想いでしょう。

その願いを叶えることができるのが介護職員処遇改善加算(以下、処遇改善加算)です。

全ての介護職員に安心して働いてもらうためにも、加算をきちんと算定していきたいものです。

計画書の作成から実績報告までしっかりと行いましょう。

今回の記事では、処遇改善加算の計画書に必要な「賃金水準」について、詳しくご説明していきます。

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1 介護職員処遇改善加算とは

処遇改善加算とは、介護現場で働く職員の待遇を改善して職場への定着を図ると同時に、人材不足の状況が続く介護業界の人材確保を目的に、平成24年4月に創設されました。それ以前は、平成21年10月より平成23年3月末までの間、「介護職員処遇改善交付金」という制度でした。

それまでの「交付金」が一時的な手当であるのに対して、「加算」という仕組みになったことで、介護保険におけるその他さまざまな種類の加算と同様に、要件を満たしている限りその事業所が上乗せして報酬を受け取ることができます。

その上乗せ分を職員の給与をアップさせるために使う、というのが処遇改善加算です。

 

さらに、平成27年度介護報酬改定においては、介護職員の社会的・経済的な評価を高めるサイクルを生み出すために、介護事業者の取組みがより促進されるように加算が拡充され、さらに月額平均でおよそ1万2千円を上乗せすることが可能となる「加算区分」が創設されました。

加算を算定しようとする介護サービス事業所は、「介護職員処遇改善計画書」「就業規則」「労働保険に加入していることが確認できる書類」を、都道府県知事などに届け出る必要があります。加算を算定しようとする前年度の2月末までに提出する必要があります。

2 賃金水準とは

介護職員処遇改善加算で得られた報酬は、その名のとおり介護職員の処遇を改善させるために使うことが義務付けられています。

賃金改善は、加算を取得していない場合の賃金水準と比べて、加算を取得することで実施される賃金アップの見込額がいくらかになるかで、改善したかどうか、いくら改善しているかを判断します。

この賃金改善については、実施前に見込額として、実施後は実績としてどちらも都道府県知事等に提出する必要があります。

そのため、見込み違いとならないよう、基準となる賃金水準の金額についても正しく計算することが重要です。

賃金水準については、これまでに交付金制度や加算での処遇改善を行っていたかどうかによって変わります。

  • 平成 28 年度以前に加算を取得していた介護サービス事業者等の介護職員の場合は、次の1.または2.のいずれかを選んで賃金水準とします。

    1. 加算を取得する直前の時期の賃金水準(介護職員処遇改善交付金(以下「交付金」と いう)を取得していた場合は、交付金による賃金改善の部分を除く)
    2. 加算を取得する月の属する年度の前年度の賃金水準(加算の取得による賃金改善の部 分を除く)

    1.について介護職員処遇改善加算は、平成24年4月より導入されました。
    導入当時から加算を算定している事業所の場合は、平成23年度の賃金水準から、交付金の部分を除いたものが、平成23年度の賃金水準となります。
    2.については上記のとおりで、同様に加算の金額を除いたものが賃金水準となります。

  • 平成 28 年度以前に加算を取得していない介護サービス事業者等の介護職員の場合は、今回から初めて加算を算定することとなるため、前年度の賃金水準が比較の対象となります。

    申請を行う年度の前の年度にはまだいなかった職員の場合、その職員が前年度にも働いていたと仮定した場合の給与水準を求める必要があります。 同じ職種で経験年数や勤続年数、持っている資格などが同じ職員と比較することになりますので、職種や経験年数などの給与決定に関わる各項目ごとの基準を作り、どのタイミングで入職した職員であっても、常に同じ水準の給与が支払われるようにしておかなければなりません。

3 賃金改善の基準点

賃金改善を実行しているかどうかは、改善前と比べて賃金がどれだけ上昇したかで判断します。

このビフォーアフターのビフォーとなる金額を、賃金水準の基準点といいます。

処遇改善交付金制度が実施されていた平成21年度~平成23年度にすでに交付金を得て処遇改善を実施していた場合は、平成23年度の賃金総額から、交付金部分を差し引いた金額が賃金水準となります。

交付金に上乗せされて支給されていた事業所の持ち出し分も賃金水準に含まれる点に注意が必要です。

これは、継続的に介護職員の処遇改善につなげていくという制度の趣旨があるためです。

交付金を導入して以下のような処遇改善を行っていた場合の計算方法を確認しましょう。

 

平成21年度 150,000円(交付金導入以前の賃金水準)

平成22年度 155,500円(交付金で定期昇給5,000円+事業所上乗せ分500円)

平成23年度 161,000円(交付金で定期昇給5,000円+事業所上乗せ分500円)

 

この場合、平成23年度の賃金161,000円から、交付金での昇給分5,000円×2年分10,000円を引いた151,000円が、基準点となります。事業所が上乗せして昇給している500円×2年分の1,000円については、差し引かれずにそのまま残ることとなります。

4 賃金水準の計算方法

処遇改善加算の算定要件には、賃金改善に要する額が処遇改善加算による収入を上回ることが必要とあります。

そのため、処遇改善加算で得られたお金は全て介護職員の処遇改善に当てることが必要となり、さらに事業所が上乗せして改善した賃金を支払いする必要があります。

賃金改善は、加算を取得していない場合の賃金水準と比べて、加算を取得することで実施される賃金アップの見込額がいくらかになるかで、改善したかどうか、いくら改善しているかを判断します。

この賃金改善については、実施前に見込額として、実施後は実績としてどちらも都道府県知事等に提出する必要があります。

そのため、見込み違いとならないよう、基準額についても正しく計算することが重要です。

 

先程もありましたが、もうすでに加算を取得している事業者の場合は、基準となる賃金水準を2つのタイミングから選ぶことができます。

  1. 加算を取得する直前の時期の賃金水準(交付金による賃金改善の部分を除く)
  2. 加算を取得する月の属する年度の前年度の賃金水準(それまでの加算の取得による賃金改善の部分を除く)  

介護職員処遇改善手当は、加算で得られた金額よりも大きい額の処遇改善を行うことが必要とされています。

そのため、加算を長い期間算定している事業書であればあるほど、事業所の努力分として毎年いくらかの昇給が行われているはずです。

仮に、平成24年度から処遇改善加算以外の財源を使って毎年500円ずつの定期昇給を行っていたとします。加算の金額については省略しています。

 

平成23年度 150,000円(加算導入以前の賃金水準)

平成24年度 150,500円+加算分

平成25年度 151,000円+加算分

平成26年度 151,500円+加算分

平成27年度 152,000円+加算分

平成28年度 152,500円+加算分

 

このように、加算部分を除いて合計2,500円の昇給が行われたこととなります。

平成29年度より加算を算定するための給与水準を、直前の平成28年度の水準としてしまうと、この152,500円が基準となるため、雇う側としてはより負担が大きくなります。

経営サイドの考え方としては、より改善したとみられたほうがいいわけですから、「改善前」の賃金水準については、平成23年度を基準としたほうが、負担は少なくなります。

しかし、働いている職員から見れば「アップ幅が少ない方を選んだ」と受け止められてしまうかもしれません。

どちらを選ぶかは、経営上の慎重な判断が必要と言えます。

5 まとめ

日本は超高齢社会となり、介護のニーズは高まるばかりであるのにも関わらず、「きつい」「給料が安い」などのイメージがつきまとう介護業界。

日本の未来を背負う介護職員の働きやすい職場作りのために処遇改善加算は創設されました

介護保険の財政が逼迫しており、経営側にとっては厳しい改定が目立つ中、さらに手厚い加算体系に改められています。

加算は介護職員の給料に直結しますから、競争力という意味でも、加算の算定を進めていく必要があります。

介護職員が安心して長く働いてくれる施設作りの為にも、加算算定を進めていきましょう。

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