介護支援ブログ

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処遇改善加算の実績報告を適切に行うためにすべきことは

 

介護職員処遇改善加算(以後、処遇改善加算)の申請には、たくさんの書類が必要であり、皆様の頭を悩ませておられることと思います。さらに、平成29年度からキャリアパス要件に新たな内容が盛り込まれる予定になっています。それまでに、現行の処遇改善加算の実績報告をしっかりマスターしておきたいものです。

この記事では、処遇改善加算の実績報告に必要な書類等の申請方法を詳しく説明したいと思います。処遇改善加算を適切に算定、報告するにあたり不安を抱えている介護事業者の皆様は、ぜひこの記事をご覧になってください。

 

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処遇改善加算の実績報告とは?

処遇改善加算とは、

  • 介護職員の離職原因の1つである賃金を改善すること
  • 介護職員の賃金を改善するための環境を整えること

主にこの2点の改善をすることを目的とした加算です。

そのため、処遇改善加算を算定するためには、その目的に沿った要件(キャリアパス要件ⅠⅡⅢ、職場環境等要件)を満たす必要があり、要件をどれだけ満たしているかによって加算額が変わってきます。

 

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そのため、事業者はどの加算を受けたいのか申請する前段階として、要件を満たすことができるような制度づくりをする必要があり、それを文書化、申請し承認を受けることで加算が算定されることとなります。

 

もちろん、制度をつくっただけではいけません。それを1つの年度を通して実行し、ご自身で作成した計画書を遂行したという書類を提出しなければなりません。これが、実績報告になります。1年に渡って受け取った加算額の詳細を報告し、不備や不正がないか確認してもらい、承認を得るために行います。

 

それを踏まえたうえで、実績報告の手順・必要な書類を詳しく説明します。

 

実績報告の手順と必要な書類

提出書類は?

介護職員処遇改善実績報告書及び、添付書類の提出が必要です。

※様式は、厚生労働省ホームページからダウンロードすることができます。

介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに、事務処理手順及び様式例の提示について

各都道府県で独自のフェイスシートや処遇改善実績報告書を作成している地域も多いため、申請する都道府県の窓口に確認することやホームページをチェックすることを心がけましょう。

 

提出期限は?

介護事業者は、各事業年度における最終の加算の支払いがあった月の翌々月の末日までに、都道府県知事に対して、介護職員処遇改善実績報告書を提出しなければなりません。介護保険の支払いが2ヶ月後であることを考えると、一般的な年度末(3月末)までの支払いは5月末になされるため、7月末までに実績報告をすることになります。

 

提出先は?

提出先は都道府県知事宛ですが、実際の窓口は保健福祉課等が多いようです。

各都道府県によって異なりますので、都道府県のホームページ等で確認が必要です。

地域密着型サービスについては、各区市町村にも実績報告書の提出が必要となりますので注意しましょう。

 

提出方法は?

提出方法も都道府県によって異なります。郵送のみに限られている地域もありますの

で、提出先と一緒に調べておくとよいでしょう。

 

それでは実際、処遇改善実績報告書の内容はどのようなものでしょうか?

 

 

実績報告の記入項目と記載例

ここでは、厚生労働省の実績報告書を例に、各項目の内容を詳しく説明していきます。

 

 ①加算の総額

年度内に受け取った加算の総額を記載します。

加算の総額は

(基本サービス費用+加算-減算)× サービス別加算率 

上記の式で求めることができます。

区分支給限度額以上のサービス費用がある場合は、それもサービス費用に含めて計算します。サービス別加算率は、以下の表をご参照ください。

 

サービス 加算Ⅰ 加算Ⅱ 加算Ⅲ 加算Ⅳ 加算Ⅴ
訪問介護
夜間対応型訪問介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
13.70% 10.00% 5.50% 加算Ⅲの90% 加算Ⅲの80%
訪問入浴介護 5.80% 4.20% 2.30%
通所介護
地域密着型通所介護
5.90% 4.30% 2.30%
通所リハビリテーション 4.70% 3.40% 1.90%
特定施設入居者生活介護
地域密着型特定施設入居者生活介護
8.20% 6.00% 3.30%
認知症対応型通所介護 10.40% 7.60% 4.20%
小規模多機能型居宅介護
看護小規模多機能型居宅介護
10.20% 7.40% 4.10%
認知症対応型共同生活介護 11.10% 8.10% 4.50%
介護老人福祉施設
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
短期入所生活介護
8.30% 6.00% 3.30%
介護老人保健施設
短期入所療養介護(老健)
3.90% 2.90% 1.60%
介護療養型医療施設
短期入所療養介護(病院等)
2.60% 1.90% 1.00%

 

ここに記載されているように、サービス内容やキャリアパス要件等の取得状況により、加算率が異なります

また、複数事業所を所有している場合には全事業所の合計金額を記載します。他県の事業所も同時に申請する際には全国の合計金額を記載します。(他事業所・他県の事業内容は、別紙様式に記載し添付する必要があります。)

 

 ②賃金改善実施期間

  実施した期間を記載します。

 

 ③(②の期間における)介護職員常勤換算数の総数

介護職員の常勤換算数とは、常勤介護職員、非常勤介護職員の勤務時間の総時

間数を、常勤介護職員1人の勤務すべき時間数で割ることで算出します。

例)常勤介護職員の1ヶ月の勤務時間が160時間、介護職員全体の勤務時間の総時間数が800時間であった場合

800÷160=5

となり、常勤換算数は5となります。

月ごとに算出したのち、期間内の総数を計算します。

ここで含まれる介護職員とは、給付の対象となるサービスを介護利用者に直接提供している介護従事者のみです。

 

 ④(②の期間における)介護職員に支給した賃金総額

②の期間に介護職員全員に支給した、賃金総額を記載します。 

 

 ⑤介護職員一人当たり賃金月額

④の総額を、②の常勤換算数で割った数値を記載します。

 

 ⑥(②の期間内に)事業所で実施した賃金改善の概要

改善した給与項目(基本給・賞与・諸手当等)について記載し、その内容を詳しく説明します。その項目をいつ、誰に、どのようにというように記入するとわかりやすく記載できるでしょう。

 

例)

常勤介護職員の基本給を2000円~5000円の間でベースアップ。非常勤介護職員の時給を60円アップした。

○月の賞与を、常勤介護職員は10000円、非常勤介護職員は5000円上乗せした。

 

 ⑦賃金改善所要額

⑥に必要であった費用の総額を記載します。この際に、①で記載した加算の総額と比較してみて、必ず⑦が①を上回っていなければなりません。

 

 ⑧介護職員一人当たり賃金改善月額

⑦の額を③で割ったもの。

 

上記が、介護職員処遇改善実績報告書の内容となります。これに加えて、①⑦には添付書類が必要になります。

①は指定の書式がありますが、⑦は任意の書式で問題ありません。

⑦の項目は、⑥で述べた積算の根拠基準を詳しく説明する文章が必要になります。

 

実績報告の注意事項 

実績報告書類を作成するにあたって、いくつか注意する点があります。これを怠ってしまうと、加算が算定できないことはもちろん、法的に罰せられることにもなりかねないため、注意が必要です。

 

文書の保管期間

介護職員処遇改善実績報告書、その添付書類は2年間保管しなければなりません

 

実績報告をしなかった場合、提出期限に遅れた場合

介護職員処遇改善実績報告書を期限までに提出しなかった場合、全額返還となります。

 

虚偽報告、不正手段による算定をした場合

処遇改善加算の請求を不正に行った場合には,支払われた加算額の全額返還を言い渡されることや指定取消となることがあります。

 

おわりに 

今回は、介護職員処遇改善加算の実績報告について注意点を含めて説明してきました。実績報告の書類には期限や内容を間違えてしまうと事業所の損害となってしまうことがありますので、慎重に正確に作業する必要があります。そのような大変な作業の中、この記事が皆様の手助けになりましたら幸いです。介護職員処遇改善加算を確実に受け取り有効に使うことで、介護職員の処遇やモチベーションが向上し、より良い介護が提供できることを願っています。

 

最後までお読みくださって、ありがとうございました。

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