介護支援ブログ

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総合事業の移行スケジュールとは 総合事業移行にスムーズに対応できるよう介護事業者が知っておくべきこと

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 総合事業に適した運営をしたい、運営事業移行後も安定した経営や雇用を保ちたい介護事業者の皆さまに有益な情報を発信いたします。ぜひ参考になさってください。

 

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総合事業の移行スケジュールとは

そもそも「総合事業」とは何でしょうか

総合事業は介護保険法により制定され、正式名称は「介護予防・日常生活支援総合事業」といいます。厚生省が作った「介護予防・日常生活支援総合事業ガイドライン」に基づき、市町村が主体となって総合事業を策定し、またここにボランティア等の多様なグループを参画させることによって、地域の支え合いの体制づくりを推進させていくことを目的としています。

これまでの「地域支援事業」を重点化し、より効率的行っていくため、その制度のもと提供されてきた要支援や要介護の認定を受けない高齢者に対する生活支援サービスと、介護保険の予防給付にあたる訪問介護と通所介護をひとつの枠組みの中に取り入れ、総合的にサービスの展開をしていく事業です。

また、今までは日本全国一律に決められていた介護予防訪問介護や介護予防通所介護などのサービスを、それぞれ地域の実情やニーズに合わせて提供することで、多様なサービスから選択できるようにしていきます。たしかに、公共交通機関のネットワークが非常に発達している都市部と地方、または冬季の豪雪地帯と九州・沖縄地方ではニーズや習慣が異なりますよね。ボランティアやNPO団体、市民の力を借りながら、地域ごとの課題に沿った、効果的・効率的なサービス提供を狙っています。

実際のところでは、介護要員の不足を補うという一面もあります。ボランティアという新し人材を送り込むことで、常態化している人手不足をサポートしようという考えです。

この「ボランティア」というのは様々な層を想定しているようですが、団塊世代は現在退職の時期を迎え人口も多く、この世代の方々にボランティアとして介護現場に参画してもらうことで、介護現場の実情を見てもらい、将来自身が介護を必要とする時にどのようなサービスを受けるかを考えるきっかけとしてもらう、あるいは地域と積極的に関わること自体が介護予防となりうるといった側面もあります。

 

なぜ総合事業へ移行させるのか?

厚生労働省は上記に挙げたように、サービスの多様化を謳っていますが、実際のところは介護の必要度が比較的低い予防給付を介護保険から切り離し、社会保障費の抑制を図っている一もあります。総合事業へ切り替えられることで、今までに比べて介護事業は地域に密接し親和性のある事業となります。また、総合事業では全体の報酬額を抑制させるために、経費のほとんどかからない「ボランティアの活用」「市民の参画」を推進している部分もあります。この場合、介護事業所との役割の差が重要となってきます。ボランティアで実施されているようなサービスを介護事業所で実施しても意味はなく、事業所として利用者に提供できることをアピールする必要が発生します。

 

これらの点は、普段より介護のプロとして、在宅で過ごせるよう高齢者をサポートしている訪問介護事業者と通所介護事業者の皆様にとっては、甲乙つけがたい問題となります。なぜなら、総合事業により今まで以上に成功・失敗することがありえるからです。安定した経営とスタッフの雇用が確保できなければ、事業所を運営していくことが難しくなっていきます。総合事業への転換についていけるよう、常に情報を得て、優秀な人材を確保しながらも、業務の効率化などを考えていかなければなりません。

 

移行スケジュールとその期間は?

総合事業への移行スケジュールは、保険者である市町村に委ねられており、平成27年4月から平成29年度末の3年の間に設定されます。つまり、移行スケジュール作成者である各市町村により日程が異なり、早いところではすでに開始されていますが、遅くとも平成30年3月末までには全ての市町村において移行され、平成30年4月1日には、居宅介護支援事業所の指定権限が市町村へ移譲されます。

移行スケジュールの内容は市町村によって、サービスの種類、サービスの基準、それぞれの報酬単価、個人負担額などが決定されることから始まり、利用基準や請求方法、緩和基準、基本チェックリストなどが順次決定されていきます。

訪問介護・通所介護事業者向けに、移行に向けた意見交換会や説明会なども行われおり、事業者の皆様はここで各市町村の情報を入手しておかなければならないでしょう。

その後、訪問・通所事業者は登録申請を行い、審査ののち認可されます。以上の段階を踏んで総合事業が実施されていきます。総合事業の移行スケジュールを作成することで、介護事業者の皆様も大まかな日程を把握でき、準備期間を確保し、また利用者も滞りなくサービスが受けられることを目的としています。

 

移行スケジュール事例の紹介

訪問介護・通所介護事業所が見るべきポイントとは?

・総合事業実施の時期

移行スケジュールとその期間のトピックでも触れましたが、総合事業実施の時期は市町村により異なります。多くの市町村では段階的に移行をすすめており、最終的に総合事業の実施に至るまで1年ほどの日程を組んでいるようです。移行前からサービスを提供している事業所では、総合事業の指定を新たに取得する必要があります。

そこで移行期間中は、事業所を総合事業における指定事業所としてみなし指定します。これにより、介護予防通所介護・介護予防訪問事業所ではそのままサービスの提供を続けることができます。しかしながら、この「みなし指定」には市町村ごとに異なった期限があり、どんなに遅くとも移行が完了する平成30年3月末までに総合事業の事業者として認可される必要があります。

また、訪問介護・通所介護の利用者が複数の市町村にまたがっている場合には、市町村ごとに総合事業実施のスケジュールが異なり、それぞれにおいて移行完了前までに事業者申請をし、認定を受けておかねばなりません。関係する市町村ごとの日程をしっかり把握しておく必要があります。

 

・説明会の時期

説明会では訪問介護・通所介護事業者に向けて、まずは意見交換会などを行い、どういったサービスと単価が見合っているかを探っていきます。その間に様々なサービス内容や基準などが決定されていきます。その内容について市長や議会、介護保険運営協議会などの関係各所に説明した後、事業者向けの説明会が開催されます。

内容としてはサービス内容、基準、単価などがこちらで説明されるので、事業者にとって非常に重要な会となるでしょう。また前項で解説したとおり市町村により内容が異なるため、市町村をまたいで事業を運営している方はそれぞれの説明会に参加する必要があります。気を付けなければならないのは、決定内容の説明会から実際に総合事業が実施される日まで、3か月前後ほどの期間しかない場合がほとんどという点です。この短い期間に申請の準備から、運営戦略まで立てなければなりません。

 

最後に

サービスの多様化や地域の支え合いといったポジティブな面が強調されている総合事業ですが、訪問介護・通所介護事業者の皆様に関しては、移行スケジュールについて実施時期と説明会の時期をしっかり把握し、新しい基準や報酬単価に素早く対応しなければならない大変な時期でもあります。総合事業移行後も質の高いサービスを提供しながら、安定した経営や雇用を維持していくには、更なる工夫や効率化が求められているのではないでしょうか。

 

総合事業について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

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