介護支援ブログ

介護制度について分かりやすく解説しています。介護に関っている全ての方々に役立つ総合介護情報サイト目指しています。現在は主に介護職員処遇改善加算、キャリアパス要件、介護保険施設等の実地指導について執筆中です。

訪問介護事業所が実地指導で指摘される事項とその対策

f:id:kaigo-shienn:20180426115319p:plain

今回は、実地指導において訪問介護事業所が受けるであろう指摘事項とその対策についてまとめました。

訪問介護事業所では、介護職員・サービス提供責任者が適切に配置されているか、職員が提供したサービスが適切に記録されているか、加算の取得状況・要件を満たせているか、2時間ルールの理解・記録が適切にされているか等が重点的にヒアリングされるようです。制度の理解・業務への反映・サービス内容の記録ができていれば、重大な指導要因にはならないと思いますので、業務フローから上記を徹底するように心がけましょう。

 

 

指摘事項と対策

書類管理の徹底

実地指導全体を通して言えることですが、実地指導は事業所側が準備・提出した書類を基に実施されます。書類関連の管理は日ごろから徹底するようにしましょう。また、特にサービス提供記録は、請求の根拠となる重要な書類となります。提供記録は行政だけでなく、利用者、利用者の家族に提出するものでもあるので、常に丁寧に記載、保管するように心がけましょう。事前に提出したであろう計画書の記載と実際のサービスに差異があった場合、監査に発展する可能性もあります。

 

適切な加算の算定

訪問介護事業所が実地指導において気をつけるべき加算は、初回加算と特定事業所加算です。

まず、初回加算は、新しく訪問介護計画書を作成された場合、または、過去2ヶ月当該事業所の訪問介護サービスを受けていない利用者の訪問介護計画書が再び作製された場合に加算することができます。加算を申請する場合、初回に訪問介護を実施した同月内に、サービス提供責任者自身が訪問、または、他の訪問介護員と同行訪問し、その記録を残す必要があります。その記録をしっかりと記載・保管するように心がけましょう。

特定事業所加算は、事業所に所属する全ての訪問介護職員に対して研修計画を策定し実施、または、実施を予定した場合に加算されます。その場合、サービス提供責任者は、計画達成のための研修を全職員に対して月1回以上開催する必要があります。また、特定事業所加算の目的は「サービス質の向上」のために存在します。よって、利用者の連絡帳や提供記録を他職員に伝達・記録・保存する必要があります。

実地指導では、どちらの加算も文書として適切に保存することが重要となります。

 

2時間ルールの理解

訪問介護では、2時間ルールと呼ばれる独自のルールが存在します。これに関しても適切に記載・申請を行う必要があります。

基本、訪問介護職員は同じ日に2回以上サービスを行う場合は、そのサービス提供間に2時間以上時間を空ける必要があります。ただし、必要性があり2時間未満となってしまう場合には、その前後のサービス提供時間を合算し、請求することができます。これを訪問介護の2時間ルールといいます。

実地指導では、計画書と実際の提供時間に差異がないか調査されます。2時間ルールにより合算したとはいえ、計画書と異なる申請をしてはいけません。計画書の数字を請求するようにしましょう。

 

人員基準の理解

1.訪問介護職員は常勤換算で最低2.5人は配置すること

訪問介護事業所における職員配置は、最低でも2.5人以上が必須となります。これは、事業所の規模が小さくても、利用者の数が少なくても守らなくてはなりません。また、配置するということは、給料が発生している状態となりますので、休憩中の職員等は「配置する」には含まれません。

※常勤換算は、常勤職員の人数+非常勤職員の勤務時間÷常勤職員が勤務すべき時間

により求めることができます。この勤務時間には、介護保険外サービスを行った時間は含むことができません。

 

2.サービス提供責任者は常勤専従であること

訪問介護事業所では、常勤の職員の中からサービス提供責任者(以下、サ責)を輩出します。サ責は以下のいずれかに該当する者が担当できます。

  • 介護福祉士
  • 介護職員基礎研修を修了した者
  • 訪問介護員養成研修1級課程を修了した者
  • 介護職員初任者研修課程を修了した、かつ、3年以上介護等の業務に従事した者
  • 看護職員(看護師、准看護師、保健師)

また、1人のサ責が担当できる利用者は40人ですので、41人を超えた場合はサ責を増やす必要があります。「40人」の計算方法は過去3ヶ月間の平均利用者数によって求められます。その際、通院等乗降介助のみを利用した者は0.1人として集計されます。

利用者数が40人を超える事業所の場合、常勤換算にて配置することが可能ですが、1人につき0.5人は専従で確保しなければなりません。

そして、選ばれたサ責は常勤専従でなければなりません。サ責は、事務や通院の手伝い等の保険外サービスを請け負うことはできません。

ただし、サ責が3人以上配置されており、サ責の業務に主に従事する者が1人以上配置している場合、かつ、サ責が行うべき業務が効率的に為されている場合、その事業所のサ責は50人の利用者を担当することができます。その際、40人の場合とは別に注意点があるので、よく確認しましょう。

※常勤・非常勤…週の所定労働時間によって決定される。所定労働時間を上回っていれば常勤、そうでなければ非常勤となる。正社員かどうかではなので注意、パートタイマーでも常勤になる可能性がありうる。

※専従・兼務…職員が当該事業所にて勤務しているとき、そのサービス業務以外の職務に従事しないことを専従という。事務等の仕事も行っている場合は兼務という。

 

まとめ

ここまで、訪問介護事業所の実地指導における指摘事項とその対策について解説してきました。ご覧になればわかる通り、訪問介護では2時間ルールや介護請求方法に独特な決まりが存在します。実地指導の際にも、指摘されることの多い項目ですが、逆にこれらの独特なルールと加算や人員基準を理解してしまえば、実地指導を速やかに終えることができるのではないかと思います。

 

実地指導について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

にほんブログ村 介護ブログ