介護支援ブログ

介護制度について分かりやすく解説しています。介護に関っている全ての方々に役立つ総合介護情報サイト目指しています。現在は主に介護職員処遇改善加算、キャリアパス要件、介護保険施設等の実地指導について執筆中です。

【介護事業者必見!】疑問を解決‼事務員、パートは介護職員処遇加算の対象に??

介護事業所にとって、人材の確保、従業員の定着及び成長は経営の安定化を図るうえで大変重要な事です。「介護職員処遇改善加算」はそんな介護事業所にとって大きな加算の一つです。

皆さんの通常の業務において、この加算の算定作業には頭を悩ませる方も多いのでは?と思います。

今回は介護職員処遇改善加算の対象者について、特に職種や雇用形態との関係について説明したいと思います。皆さんの算定作業に少しでもお役に立てればうれしいです。

貯金箱

介護職員処遇改善加算とは

本題に入る前に、介護職員処遇改善加算について、簡単におさらいしたいと思います。平成24年3月に、それまでの介護職員処遇改善交付金が廃止されて、平成24年4月に介護報酬として加算される「介護職員処遇改善加算」が新設されました。さらに、平成29年4月にも区分を追加して拡充されています。

介護職員処遇改善加算の目的等

この加算は低賃金、厳しい労働環境などが原因で離職率の高い介護職を定着させて経営基盤の安定及び介護職員の賃金改善を図ることを目的とするものです。

介護職員処遇改善加算の条件

介護事業所がこの加算を受けることのできる条件は、次のとおりです。

  • 介護処遇改善交付金を受けていた頃の賃金より下回らない給与を介護職員に支給すること。
  • 介護職員処遇改善加算の一定割以上を介護職員の本給とし支給すること。

介護職員処遇改善加算の区分

平成27年度の介護報酬改定時に加算Ⅰが新設されて、加算区分が4つになりました。平成29年4月には5つになりました。

介護職員処遇改善加算の区分表

出典元:http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000148970.pdf

介護職員処遇改善加算の対象者について

※はたして事務員やパートの介護職は加算の対象となるのでしょうか??

支給対象者の定義

加算対象者は加算対象サービスを直接利用者に提供している介護従事者のみとなります。

雇用形態 

上記の定義に当てはまればパートは対象となります。つまり常勤・非常勤は関係なく、登録ヘルパーでも加算の対象となります。

また、直接雇用ではない派遣労働者についても介護職員であれば加算対象となります。派遣元と相談の上、加算分を派遣料金に上乗せすることは可能とされており、この場合については計画書、実績報告書は派遣労働者を含めて作成することとなっています。

加算対象サービス

下表が加算対象となるサービスです。

 

加算Ⅰ

加算Ⅱ

加算Ⅲ

加算Ⅳ

加算Ⅴ

訪問介護 夜間対応型訪問介護
定期巡回・随時対応型訪問介護看護

13.70%

10.00

5.50%

加算Ⅲ

90%

加算Ⅲ

80%

訪問入浴介護

5.80%

4.20%

2.30%

通所介護地域密着型通所介護

5.90%

4.30%

2.30%

通所リハビリテーション

4.70%

3.40%

1.90%

特定施設入居者生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護

8.20%

6.00%

3.30%

認知症対応型通所介護

10.40%

7.60%

4.20%

小規模多機能型居宅介護

看護小規模多機能型居宅介護

10.20%

7.40%

4.10%

認知症対応型共同生活介護

11.10%

8.10%

4.50%

介護老人福祉施設

地域密着型介護老人福祉施設

8.30%

6.00%

3.30%

入居者生活介護、短期入所生活介護

介護老人保健施設

短期入所療養介護(老健)

3.90%

2.90%

1.60%

介護療養型医療施設

短期入所療養介護(病院型)

2.60%

1.90%

1.00%

加算の対象職種

次の職種が加算の対象職種となります。

ホームヘルパー、生活支援員、児童指導員、保育士、世話人、職業指導員、地域移行支援員、就労支援員、訪問支援員、介護職員 

というわけで・・・原則

事務職は対象となりません。他には管理者、サービス提供責任者、ケアマネージャー、医療職も原則は加算対象外となります。しかし、次の場合だと対象となる事もあり得ます。

介護職を兼務している場合

上記で対象にならないとされている職種について、介護職を兼務している場合はどうなるでしょうか?

特に小規模の事業所においては、管理者、相談員、看護職員あるいは事務職が介護職と兼務する場合が多いです。</p

結論としてはサービスごとの指定基準上、兼務することが認められていれば加算の対象とみなされます。

※兼務の場合について

兼務の場合における加算の条件としては、事業サービスごとの指定基準において職種ごと指定基準が定められており、この必要な人員以上に人が配置されており、かつ本来の業務に支障がない程度に介護職をおこなっている場合に限り、直接の介護職員として認められます。

※管理者などについて

また、管理者・サービス管理責任者についても介護に直接従事している場合は加算対象になります。その条件としては次のとおりになります。

〇 訪問系事業所及び共同生活介護・共同生活援助系

  介護に直接従事している場合は加算対象になります。

〇 上記以外の事業所

  • 管理者
    生活支援員などの直接処遇職員として兼務している場合に加算対象となります。しかし、サービス管理責任者を兼務している場合は原則、対象外となりますので注意してください。
  • サービス管理責任者
    事業サービスごとの指定基準以上の人員が配置されている場合と利用定員が20名未満の場合に生活支援員などの直接処遇職員として兼務している場合に加算対象となります。

加算対象者を誤って算定した場合等について

加算対象者を誤って算定した場合や虚偽の算定をした場合はどうなるのでしょうか?

もし間違って払っていたならば賃金改善額が加算額を下回ることになります。加算の条件は上記でもお話したように賃金改善額が加算分を上回る事が条件のため、当然、その部分を返還することになります。これが虚偽など悪質なものであれば不正請求とみなされ全額返還することになります。

賃金改善の対象者

第1項でもお話ししましたが介護職員処遇改善加算の目的は介護職員の賃金改善です。その加算分はあくまでも賃金として支給することが目的で、職員のためとはいえ、施設の改築や補修などの違う用途で使用はできません。また加算には対象となる職種や事業サービスが明確に指定されています。

しかし、全ての対象者が一律に加算に伴う賃金改善の恩恵を受けることになるのか・・・といえば、決してそうではないのです。

なぜかというと、介護職員処遇改善加算の賃金改善における配分方法の決定は各事業者にあるからです。つまり国から支給された加算を事業所の誰にどのように配分するかは施設長などの管理者に委ねられているということです。

そして各事業所によって、賃金改善の対象に違いが出てきます。

賃金改善の対象に違いが出るという事については、次の事が考えられます。

  • 同じ介護職でありながら賃金改善の対象となる場合とならない場合がある。
    →経験・資格・役職などによって配分を変える
  • 介護職だけ重点的に配分がされてしまう場合。
    →離職率が高く、多くの人を募集しなければならない介護職は当然、賃金を高めに設定して、少しでも多く入職させる必要があるため。
  • 職員に管理職などの家族や親族などがいる場合、これらに重点的に配分する。

このように各事業者の現状や事業により、賃金改善の対象も変わるということ。

つまり、単純に加算の対象者すべてが同じような賃金改善の恩恵を受けられるとは限らないという事です。

賃金改善の問題点

ここでは介護職員処遇加算による賃金の改善によって生じた問題点について話したいと思います。

もちろん、事業者に配分決定権があってはいけないと言っている訳ではありません。その事業所の経営状態も安定している、対象となる職員も日頃の勤務態度が良好で資格取得、研修参加などの資質向上に努めている人などは、管理者等から高く評価がされて、賃金アップに繋がっている人達もいることでしょう。

逆に経営状態がある時期に悪化した場合は、本給に影響して、たとえ加算分があっても、結果的に年収が下がる場合や介護職員同士でも職務内容に違いがあれば、当然、経験・資格・役職などの違いによって加算に差をつけるということもできるので、賃金の差がでてきます。兼務している他職種も配分が少なければ負担だけが大きい事になります。

こうした事で収入が少なかったり、配分に偏りが出る場合は当然、不満が多くでるでしょう。職場の士気にも大きく影響がでてきます。

この賃金改善において一番気を付けなければいけない事は、事前に職員に対して介護職員処遇改善加算の賃金改善の方法やその見込み額について、しっかりと職員に周知することではないかと思います。厚生労働省からも計画書などをもって周知するように指示が出ております。

さいごに

介護職員処遇改善加算と賃金改善についてお話してきました。

加算の算定、賃金改善策の作成、その配分など事業者さまにとって身体も頭も休まる暇がないことでしょう・・・。

特に賃金改善については勤務する職員の生活やモチベーションに大きな影響をもたらすものです。

「人材は宝」だとよく言われます。高齢者に安心安全なサービスを直接提供するのは職員です。この職員を活かすのは、事業者の皆さんのご裁量だと思います。

そんな皆様のお力に少しでもなれればと思います。

みなさんはどうお考えでしょうか?当サイトでは介護事業者の皆さんのお役に立てればと思い、記事を更新しております。ぜひフォロー、シェアしていただければ嬉しいです。

なお、ご意見、質問等がありましたらコメントなどしていただければと思います。

総合事業ガイドラインをわかりやすく解説します!

総合事業が開始されているのは知っているけど、一体どうやって移行すればいいの?どういうシステムなの?など疑問を持っている方はいますでしょうか。

知っているようで知らないことがまだ多い総合事業ですが、今回は、そんな総合事業ガイドライン案に則って、なるべく簡潔に説明を加えていきたいと思います。

総合事業のことを全く知らない方や、これからサービス提供をするにあたり、確認したいと思っている介護事業者の方は必見です。

 

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総合事業ガイドラインってどういうもの?

ガイドラインとは様々な解釈がありますが、一般的には、組織や団体に対して、守るのが好ましいとされる規範や、目指すべき目標を明文化し、その行動に具体的な方向性を与えることや何らかの縛りを与えることを指します。

このガイドラインは、介護保険法で規定された総合事業を円滑に実施するため、基本的考え方や事務処理手順、様式等を厚生労働省が定めたもので、実質的には多くの地域でこれ従って事業が行われることになります。

総合事業は、厚生労働省による平成24年度介護保険制度改正で創設された「総合事業」を発展的に見直し、新しい総合事業として平成29年4月までに全ての市町村で実施することを定められています。

この総合事業ガイドラインは、全ての介護事業所にむけて発信されているものですが、中でも介護予防訪問介護、介護予防通所介護サービス提供事業所については、地域支援事業に移行しなければなりませんので、こういった事業所がより理解を深める必要があるでしょう。

 

ガイドラインの概要を簡単に解説!

総合事業ガイドラインは、3つの大項目と、7つの小項目にまとめられております。簡潔にまとめたものが下表になります。今回は、小項目①~⑦について、出来るだけ簡潔に紹介していきます。

 

大項目

小項目

はじめに

①    総合事業に関する総則的な事項

事業所の具体的な内容

②    サービス類型

④    サービス利用の流れ

⑥    制度的取り組み

基盤整備

③生活支援・介護予防サービスの充実

⑤関係者間の意識共有と、介護予防ケアマネジメント

⑦    円滑な事業への移行・実施


 

総合事業に関する総則的な事項

総則的とはあまり聞き慣れないですが、全体に通用する基本的な事項のことをいいます。つまり、言い換えるのであれば、総合事業とは一体なに?と簡単に説明してくれているのがこの第一項目「総合事業に関する総則的な事項」になります。この大まかな内容については下記の構成になっています。

 

  • 事業の目的・考え方
  • 各事業の内容及び対象者
  • 市町村による効果的・効率的な事業実施
  • 都道府県による市町村への支援
  • 好事例の提供

 

このように、総合事業の理解を深めていく上で、総合事業の全体像をまとめて記載しているのがこの総則的な事項になります。理解するのは時間を要するかもしれませんが、今後、”総合事業に関わりがない事業所はない”ということも予測されますので、できるだけ介護関係の職員並びに介護事業所の方々には理解をしてほしいところです。

 

 サービスの類型

総合事業では、要支援者の方々に対して、様々なサービス提供を行っていくために、市町村は、サービスを類型化し、基準や単価などを定める必要があります。

そのサービスは大きく分けて3つあります。

 

  • 訪問型サービス
  • 通所型サービス
  • その他の生活支援サービス

 

各々のサービスにおいて、そのサービス種別、サービス内容、対象者とサービス提供の考え方、実施方法、基準、サービス提供者を定めた事例が、厚生労働省発信の総合事業ガイドラインp10(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000088276.pdf)がありますので、こちらを合わせて参照してみてください。

訪問型サービスとは、現行の(介護予防)訪問介護に相当するもので、通所型サービスとは、現行の(介護予防)通所介護に相当するものを指します。その他の生活支援サービスとは、栄養改善サービス、ボランティアによる見守り、自立支援に資する生活支援からなります。

総合事業に移行されてから仕組みが複雑化した、この介護予防訪問介護と介護予防通所介護サービスですが、地域包括ケアシステムの名のもとに、このふたつがサービス移行したことは、長い目で見ると、高齢化問題解決の糸口になる可能性が高いため、現状まだ完全にサービス移行できていない事業者の方は、早急に対応することをおすすめします。

 

生活支援・介護予防サービスの充実

総合事業の真の目的には、元気な高齢者増加による、社会保障費の抑制と、高齢者による介護マンパワーの確保による2025年問題の解決にあります。これらを体現化するために、今まで介護が必要だった人にしか受けられなかったサービスを、徐々に一般高齢者に裾を広げて、幅広く高齢者をサポートしていこうとしています。

地域全体で、多様な主体によるサービス提供を推進していくことが重要で、下記にその取り組み例を紹介します。この項目については、介護従者者だけでなく、地域で対象者に関わるすべての人向けに発信されておりますので、総合事業とは?と尋ねられた時にこの部分については深く説明できるようになれるといいですね。

 

 生活支援・介護予防サービスの開発・発掘のための取り組み

これには、地域支援コーディネーターが必要になってきます。多様な主体による取り組みのコーディネート機能を担い、一体的な活動を推進します。地域に不足するサービスを創出することや、元気な高齢者が担い手として活動する場を確保するのも、地域支援コーディネーターの仕事です。

 

住民主体の支援活動の推進のための取り組み

生活支援をする側がのスキル・知識向上のための研修会

地域サロン、会食会、外出補助などでボランティアを行った場合、ポイントを付与するボランティア制度などが市町村で始められています。

 

地域ケア会議、既存資源、他施策の活用

生活支援を行っていく上で、多職腫や住民で検討を行うことで、課題解決に向けて問題共有することが重要です。関係者ネットワークの構築や、資源開発を図っていく地域ケア会議を積極に活用することが推進されています。

 

サービス利用の流れ

サービス利用の流れについては、ケアマネジャーだけが知っていればいい。なんてことはありません。介護事業所で働いている人ならば誰でも知っているべき事項ではないでしょうか。

在宅にお邪魔してサービスを提供する介護従事者は、特に知識が必要です。在宅では普段聞きにくいこともサラっと聞いてくる利用者の方がいらっしゃることや、ご家族も同伴されていることがほとんどです。その時に、どういう流れで動けばいいか、ケアマネジャーに任せっきりにしてしまうと、信頼関係構築において不利益を生じることがあります。

意外にも、理学療法士、作業療法士などのリハビリ専門職に、こういったサービスのことを聞いてこられる方が多く、リハビリ専門職は最低限の知識は身に付けておきたいところです。

 

Step1:相談

基本的にサービスを受けるためには、まず市区町村窓口や地域包括支援センターでの受付が必要です。ここでは、窓口担当者が具体的に総合事業の利用か、要介護認定を受けるべきかなど、幅広く相談に乗ってくれます。

Step2:基本チェックリストの活用・実施

窓口で相談をした被保険者に対して、基本チェックリストを活用して、利用すべきサービスの区分の振り分けを行います。基本チェックリストについてはこちらを参照してください。http://www.kaigo-shien-blog.com/entry/2016/12/07/184216

Step3:介護予防ケアマネジメントの実施

介護予防、生活支援を目的に、適切な事業が提供されるよう専門的視点からサポートを行います。基本的に、利用者が居住する地域包括支援センターが行いますが、居宅介護支援事業所が受託する場合もあります。

  

関係者間の意識共有と、介護予防ケアマネジメント

関係者間での意識共有を図る中で、重要とされる要素について6つに分けられています。

  • 地域包括ケアシステムの構築と、規範的統合
  • 明確な目標設定と、本人との意識の共有
  • ケアプランの作成
  • モニタリング・評価
  • セルフケア・セルフマネジメントの推進
  • 「介護予防手帳(仮称)※等の活用」

とあります。

それぞれの文言には、小難しく、あえて項目立てて記述していますが、この項目で述べていることは当然のことです。一利用者に対して多職種が連携とり、インフォームドコンセントを果たしましょう。また、それを十分に達成するために利用できるツールは積極的に使用するようにしましょう、というものです。

こちらの項目については主にケアマネジャーが注視すべき点にはなりますが、個別機能訓練加算など、リハビリ専門職種が関わるケースもあります。一概に介護関連職に限った知識ではありませんので、医療・介護に関わる誰しもが今一度理解しておいたほうがいいでしょう。

また、セルフマネジメントの推進や介護予防手帳の活用の項目においては、利用者自身ができる取り組みと、その支援方法が記載されています。

 

 

※介護予防手帳とは

心身の健康に配慮した生活を送りながら、自分だけで難しいことは支援・サービスを選択して利用する「セルフマネジメント」のためのツールで、本手帳と介護予防手帳にわかれています。前者は保管用、後者は携帯用となっています。保管用はセルフマネジメントに取り組むのに必要な情報を集めたもので、携帯用はセルフマネジメントの目標と計画をたてるものになっています。

 

 総合事業の制度的な枠組み

総合事業には、そのサービスの実施方法、その基準、サービス単価、利用者負担、給付管理など、市町村が独自に定めなければならないものがいくつかあります。介護事業者も、その方針に従うことになります。

 

サービス実施方法について

市町村による直接実施

昨今では、役所の講堂、公民館などで、「理学療法士による介護されない体作り」「脳梗塞予防のための生活習慣」など、リハビリテーション専門職が講演をするケースが増えてきました。

委託による実施

NPO、民間事業者が行うミニデイサービスがよくある例です。デイサービスでの運動や、レクリエーションがこれにあたります。

指定事業者によるサービス提供

これはそのまま、既存の事業者が、介護予防に相当するサービスを提供する場合に必要です。

NPOやボランティア等への補助

老人クラブ、認知症サポーター養成講座など、予防事業サービスを提供する場合はこれに相当します。

  • サービスの基準

市区町村は、総合事業が円滑に進むよう、以下のようなサービスの基準を示す必要があります。

通所型サービス(現行の通所介護相当サービスの場合)                            

人員

管理者※ 常勤・専従1以上

生活相談員 専従1以上 看護職員 専従1以上

介護職員 ~15 専従1以上 15~利用者1人専従0.2以上

機能訓練指導員 1以上

設備

食堂・機能訓練室(3㎡×利用定員以上)

静養室、相談室、事務室

消火設備、その他の非常災害に必要な設備

必要なその他の設備・備品

運営

個別サービス計画の作成

従事者の清潔保持・健康管理 秘密保持

事故発生時対応、廃止等の届出と便宜の提供

 

※詳細につきましては、厚生労働省ホームページ

総合事業ガイドライン概要をご参照ください。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000088276.pdf

 

 円滑な事業への移行・実施

総合事業とは、繰り返しになりますが平成27年度から始まった新しい介護予防・日常生活支援総合事業のことです。元々あった介護予防訪問介護サービス、介護予防訪通所介護サービスの在り方を全く変えてしまう大きな取り組みですので、総合事業が浸透しきらないまま、現在を迎えているのが実情です。

総合事業への円滑な移行を国は求めており、市区町村が条例で定めている場合は、総合事業の実施を平成29年4月まで猶予可能となっていました。総合事業を実践する側も、総合事業をサポートする側(この場合は市区町村)、どちらも受け皿の整備を行うように努めることが適当です。

このガイドラインにおける総合事業への円滑な移行は、総合事業を実践する側、サポートする側両者に発信されたガイドラインであり、両者とも確認すべき事項でしょう。

 

まとめ

今回は総合事業ガイドラインにスポットをあてて説明いたしました。どうしても、ガイドラインとなると、堅苦しく、理解しにくい言い回しが増えてしまいます。

厚生労働省が作成したガイドライン概要も簡略化されており、図式での説明がある分非常にわかりやすくなっていますが、今の自分にどこの部分の知識が足りていないのか、ガイドラインのどこの部分をおさえておけば大丈夫なのかわからないため、知識として取り入れるのを先延ばしにしてしまってはいませんか?そんな事業者様のフォローが出来たら幸いです。平成29年度に総合事業が完全移行できるように国は市区町村に働きかけてきました。

それに合わせて、地域で働く医療介護関係スタッフの動向も大きく変化してくることと思いますが、今一度、総合事業の展開の足並みに合わせて、ご自身の働き方を検討してみてはいかがでしょうか。

参考になりましたらシェアの程宜しくお願いします。

指定居宅介護支援事業所を開業するための設備基準とは?

居宅介護支援事業所を開業する時は、必要な設備基準を満たさないといけません。

設備基準には居宅介護支援事業所の必要なスペースや備品が定められています。また、他に手洗い等の衛生設備が必要となります。

ここでは、指定居宅介護支援事業所を開業するための設備基準と設備基準を満たす際の注意点について解説しています。

女性

 

 

 

居宅介護支援事業所の設備基準とは

設備に関する基準は「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」の平成11年3月31日厚生省令第38号第20条に次のように定めています。

 

(設備及び備品等)第20条

指定居宅介護支援事業者は、事業を行うために必要な広さの区画を有すると共に、指定居宅介護支援の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない

居宅介護支援事業所を開くために必要な、設備基準の事務室や備品類は次にあげています。

区画

事務室

特に広さの規定はありませんが、人数分の机や椅子、書棚などが設置できるスペースが必要です。

同一事務所で他の事業と共にする場合は、業務に支障がないようにスペースが明確に区分されていなければなりません。

最低限の人数で行う場合、家庭で使用しているようなテーブル1つに椅子を4つ置いていたり、折り畳みの長机を2つ合わせて皆で使用したりする場合もあります。

例えば、事務所が1つで、半分のスペースが訪問介護事業所、半分のスペースで居宅介護支援事業所を行う場合は、パーテーション、仕切り、ついたてなどで明確に区切られ、お互いの業務に支障がないようにしなくてはなりません。

また、同一事業所において他の事業を行う場合は、業務に支障がないならば、それぞれの事業を行うための区画が明確にされていれば行うことが出来ます。

例えば、通所介護事業所の建物内の1室に居宅介護支援事業所を設置する場合、通所介護のスペースと別にとっていれば同じ建物内で行うことが出来ます。

相談室

机と4人くらいがかけられる椅子を置く必要があります。相談室は同じ事務所で他の事業所と共にする場合は相談室を兼ねても構いません。相談室は別室が望ましいですが、区画をパーテーション、仕切り、ついたて等の遮断物を設置し、通行人から見えないようにし、相談者の話が漏れないようにプライバシーに配慮することでも満たします。

相談は利用者が出入りしやすい構造であることや車椅子の利用者の相談も考えられるため、車椅子が入るスペースも考慮に入れた方がいいでしょう。

会議室

サービス担当者会議等に対応するために適切なスペースを確保する必要があります。

また、遮蔽物などで、サービス担当者会議の内容が漏洩しないように配慮しなければいけません。会議室は相談室と兼用することが可能です。

設備・備品

備品

指定居宅介護支援の提供に必要な設備及び備品等を備える必要があります。

備品には、ケアマネージャーの人数分の机、椅子、パソコン、鍵付きキャビネットや書庫、電話、FAX、コピー機等です。同じ敷地内に、他の事業所と一緒に運営する場合、運営に支障がなければ一部備品等は共に使用することができます。

衛生設備

感染症を予防するために、手指消毒が出来る洗面所またはトイレの設備やアルコール、石鹸等を常備することが必要です。

自宅での開業の場合

自宅での開業の場合は、都道府県、市町村によって基準が異なりますが、住居スペースと居宅介護支援事業所とのスペースは完全に分かれていて事業所が独立している必要があります。

自宅の1室を事務所スペースとする場合は、事業所としての洗面所が必要であり、住居スペースと入り口が別であることが必要となります。

居宅介護支援の設備基準を満たす際の注意点

設備基準は、都道府県によって基準が異なる場合がある

設備基準は都道府県によって基準が異なる場合があります。詳しい設備基準は各自治体にお問い合わせください。

実地指導が入る場合がある

設備基準が守られていない場合は、実地指導の際に指導点としてあげられます。実地指導が入るときは、事業所内の衛生面の感染症予防がしっかり出来ているかどうかチェックをしておきましょう。手指消毒のための石鹸やアルコールが設置されているか、トイレや洗面所は清潔であるかなどを確認する必要があります。

また、実地指導の際は指定申請時に提出した平面図と、実際の事業所内のレイアウトが一致しているかが確認されます。レイアウトを変更した後などは、必ず変更届を提出して申請上の平面図と一致させておくようにしましょう。

備品が老朽化してないか、相談室や会議室はパーテーションなどで仕切られ、話が漏れず、プライバシーが守られているかなどもチェックする必要があるでしょう。設備や備品台帳に記載を正しくしておかないと実地指導でチェックが入ることがあります。また、記載事項に不正に違うことを書いたことが発覚した場合、悪質な場合は取り消し処分になる場合もあります。

備品の保管や設置方法をスタッフに周知する

他の事業所と共用する場合、ファイル等を記録のために共用部分に置いておくと、そのまま他の事業所の棚に片づけてしまう恐れがあります。備品やファイル等の置き場所や設置方法を変えた場合は事務所のスタッフ全員が分かるようにしましょう。

自宅で居宅介護支援事業所を開設する場合

設備基準には個人情報を管理する鍵付きのキャビネットか書庫が必要で、個人情報が漏れないようにする必要があります。しかし、自宅で開設した場合、家族や家族の関係者が出入りして個人情報が洩れる可能性があります。

自宅で開設する場合は、自宅の玄関と居宅介護支援事業所との入り口を別にし、居住スペースと居宅介護支援事業所のスペースを明確にしないと申請が通らない可能性があります。自治体によって異なりますので、開設時は各自治体にお問い合わせください。

まとめ

居宅介護支援事業所を開業する場合、事務所や相談室のスペースを確保する必要があります。

また、机や椅子、パソコンや電話などの備品を確保する必要があり、感染予防のための洗面所や手指消毒のためのアルコールや石鹸などを備えなければいけません。それに反すると、実地指導の時にチェックが入るので要注意です。

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