介護支援ブログ

介護制度について分かりやすく解説しています。介護に関っている全ての方々に役立つ総合介護情報サイト目指しています。現在は主に介護職員処遇改善加算、キャリアパス要件、介護保険施設等の実地指導について執筆中です。

総合事業で福祉用具貸与/販売は今後どうなる?

介護事業者の皆様、新しい総合事業への対策は万全でしょうか?厳しい対応を迫られた事業者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。しっかりと把握して総合事業の対策を練り、経営の安定・拡大を図ることが最善かと思います。この記事では、新しい総合事業への移行にあたり、福祉用具貸与/販売事業がどのように変化していのかをご説明していきます。今後の戦略の手助けになることができれば幸いです。

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総合事業のおさらい

まずは、総合事業の定義を簡単におさらいします。総合事業とは平成27年度の介護保険の法改正にともなって、地域支援事業の再編が行われ、新しく導入された「介護予防・日常生活支援総合事業」を指します。要支援や要介護の認定を受けていない高齢者に行われていた地域自治体の生活支援サービスと、要支援1と要支援2の介護認定を受けている方を対象とした予防給付にあたる部分を合体させた事業です。

自治体、ボランティア、高齢者自身、NPO等が一体となって、地域の高齢者が要介護状態になるのを防ぐようなサービスを充実させることが目的です。

しかしながら、介護保険から市町村主体の事業に移行させるということは、介護保険の財源からではなく、市町村の財政から拠出させることで、全体的な社会保障費を抑制していこうという狙いも意味しています。

 

移行事業そのものについて、もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。

 

総合事業による福祉用具への影響はあるのか?

福祉用具の貸与や販売をされている事業者の皆様は、この総合事業が実際に福祉用具に関して影響を及ぼすのか、気になるところだと思います。サービスの種類により事業者へのインパクトの違いがありますので、総合事業のサービスの種類について少し解説します。

 

まずは、これまでの要支援対象者のうち、基本チェックリストを用いることで要支援認定者と介護予防・生活支援サービス事業対象者に分けます。地域包括支援センターが中心となり介護予防ケアマネジメントを行い、総合事業の部分においては、以下のサービスが提供されていきます。

 

介護予防生活支援サービス事業

これは、訪問型・通所型サービスその他の生活支援サービスの2つに分けられています。訪問型とはいわゆるホームペルパー、通所型とはデイサービスなどがこれにあたります。総合事業施行前まで、これらの予防給付を行っていた訪問介護事業所や通所介護事業所には大きな影響があります。

例えば、訪問介護においては、4つに分類されています。

①現行相当型訪問介護

②訪問型サービスA (基準緩和型)

③訪問型サービスB (住民主体型)

④訪問型サービスC (短期集中予防型)

⑤訪問型サービスD (移動支援)

訪問介護のサービスの継続が必要と判断されれば、①に分類され、これまでのようなホームヘルパーによるサービスが実施されます。②〜⑤においては、自治体による様なサービスとして位置づけられているため、基準や報酬が自治体によって決定されます。このように、今まで予防給付を行っていた訪問介護事業所や通所介護事業所には大きな影響があります。

 

その他の支援サービスには、栄養の改善を目的とした食事の宅配サービスや、安否確認サービスなどがあります。

 

一般介護予防事業

一般の高齢者も要支援者認定を受けている方も、誰でも参加できる高齢者向けのプロ グラムとなります。ボランティアが運営するカラオケ教室、喫茶など、市民が中心となって非営利に提供していくものです。

 

以上のように、福祉用具は総合事業の対象となっていません。地域包括支援センターが介護予防ケアマネジメントを行うところまでは同じですが、要支援1以上の認定を受けた方への訪問看護と福祉用具の貸与や販売に関しては、人員基準や運営基準が全国一律のままで、介護予防から変更はありません。

  

総合事業移行後の福祉用具貸与/販売の利用について

サービスの対象者

介護保険を使って、福祉機器の貸出や販売のサービスを受けることができるのは、護保険の新規または更新の届出をした後、要支援1以上の認定を受けた方のみです。

つまり、介護予防・生活支援サービス事業対象者と判断された方、あるいは一般の高齢者は基本的に対象となりません。このうち、要支援と要介護1の認定を受けた方は、要介護2以上の方と比べ、利用できる福祉用具貸与の品目には制限があります。(個々のケースにより例外が認められることもあります)

 

料金(誰がどれだけ負担するのか)

福祉用具の貸与の場合は、介護保険適用とみなされれば、対象品目が1割の自己負担で利用できます。例えば月々のレンタル料金が5,000円と仮定すると、本人負担は500円となります。利用者の介護度やニーズは随時変化するので、それに合わせて最適な介護機器を選択する必要があることから、基本的にレンタルであることが多いです。

利用者がレンタル対象のものを購入したい場合、介護保険は適用されず全額自己負担です。

 

介護保険を利用する場合、年度ごとの限度額は10万円と定められています。手続きの際、介護保険が適用できると判断されれば、本人負担は1割で済むこととなります。

また、購入時に一旦全額自己負担し、後に申請をすることで9割返還してもらうことができます。購入の対象品目は、入浴や排せつに関する機器など、レンタルで再利用することに抵抗のあるものが主なものとなっています。

 

プロセス

介護保険申請→要支援1以上認定→ケアマネジャーによるケアプランの作成→福祉用具専門相談員による福祉機器の適合・使用説明→モニタリング・使用状況の確認→計画の見直しとなっています。これも、総合事業移行前と変わりがありません。

 

福祉用具貸与/販売の今後

2018(平成30)年の改正で、福祉用具の位置づけや利用者負担なども変わってくることと思います。上で説明したように、今のところ、要支援1以上の認定を受けていれば、一部の福祉機器の貸与、排せつや入浴時に使う特定福祉用具販売、そして、手すりの設置や段差解消といった住宅改修もわずかな本人負担で利用することができます。しかし、福祉用具貸与/販売のサービスを利用する人が年々増え続けており、それに伴う介護保険からの支出を抑えようということが、この平成30年の改正に盛り込まれる見込みとなっています。

 

現在、要支援1から要介護2までの「軽度者」が、福祉機器サービス利用者全体の6割にあたります。そこで、この要支援1から要介護2までの認定者を対象に、福祉用具貸与、特定福祉用具販売および住宅改修について原則自己負担にしようというものです。自己負担額の軽減などを図るため、高齢者本人が福祉用具の品質や価格を比較して貸与または購入を決断する必要が出てくるでしょう。 

 

まとめ

福祉用具貸与/販売の事業者におかれては、平成30年に向けて対策を練っておく必要があります。また、介護保険における福祉用具の貸出や購入への適用というのは、そもそも高齢者が在宅でできるだけ長く生活していけるようにサポートするためのサービスであったはずです。これが要支援1〜要介護2までの方に適用されなくなり、全額自己負担になると、経済的に大きな負担となり、場合によっては福祉用具の利用そのものを諦めてしまうことになります。なんとか自宅で頑張っている方への支援が減れば、介護度が早く上がってしまうことも予想されます。

 

総合事業について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

 

(専門家監修:矢野文弘 先生)

期限はいつまで? 処遇改善加算取得の手続きについて

介護事業者の皆様の間でいつも話題に上がる介護職員処遇改善加算。

簡単な流れ等は理解しているけど詳しくは…などとお思いの方も多いのではないでしょうか。

スムーズに処遇改善加算を取得し、賃金改善に充てましょう。

賃金改善は既に働いているスタッフのモチベーションを上げるとともに、新たに優秀な人材を確保する際に有利となります。

この記事では、処遇改善加算の取得における流れと、各々の期限を詳しくご説明していきます。

ぜひ一読し、今後の経営にお役立てください。

 

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処遇改善加算とは

処遇改善加算とは、介護職員処遇改善交付金が前身であり、介護職員の給与底上げの仕組みづくりにより雇用の安定化を図ろうという目的で定められた制度です。

現行の制度では2015年(平成27年)の改正により月額27,000円相当が加算されます。

2017年(平成29年)より、これまであった4つの区分の上にさらに区分を設け、最も厳しい要件を満たす事業所については、さらに10,000円上乗せされた月額37,000円相当が支払われることが決定されています。

 

処遇改善加算の背景・目的

介護職員は、高齢者の心身の状態に常に注意を払いながら、他の専門職と協力して高齢者を支えていく重要な職種です。

資格取得には専門知識を学び、経験、研修も必要とされます。

夜勤やシフト勤務が多く、なおかつ重労働と臨機応変な対応を求められます。

こういった仕事の内容や労働環境に対して低賃金であることが、離職率を高めていると言われており、求人を出しても応募が少なく、慢性的な人手不足に陥っている現状があります。

 

増え続ける介護を必要とする高齢者に対して、介護の担い手が少ないという問題は早くから指摘されており、まずは介護職員処遇改善交付金が導入されました。

しかしこの制度は全額税金からの支給であり不公平であるといった批判、さらには実際に介護職員の給与が上がっていないのでは、内部保留や他の支出に使われているのではという疑問の声もありました。

このためより明確に護職の給与や労働条件を改善するために、介護保険の制度内において介護職員処遇改善加算を実施することになりました。

 

このように、処遇改善加算は介護職員の賃金改善を目的としています。

2015年(平成27年)4月より、処遇改善加算の金額はそれまでの月額15,000円からアップして27,000円となりました。

他の職種の平均給与と比べると給与水準の低い介護職において、12,000円の増額は大きいです。

介護職員のモチベーションも上がるのではないでしょうか。2017年(平成29年)より、新基準を満たせばさらに10,000円アップの可能性があることは、現場のスタッフにとって明るいニュースです。

 

これまでの4つの区分加算Ⅰ〜Ⅳの上に新しい区分を設けるとのことですから、新設の区分が加算Ⅰになり、これまでのⅠがⅡへ移動する見込みとなっています。

 

新加算        37,000円相当

現行の加算Ⅰ  27,000円相当

   加算Ⅱ  15,000円相当

   加算Ⅲ  加算Ⅱ×0.9(13,500円相当)

   加算Ⅳ  加算Ⅱ×0.8(12,000円相当)

となり、新加算と加算Ⅳでは3倍の違いが出ます。

 

新設の一番厳しい算定要件においては、経験年数や勤務年数、資格や研修履修、評価等によって昇給する仕組みを作ることが要求されるようです。

事業者の皆様にとっては、算定基準をクリアし、各種書類を整え加算の申請を行うのは大変ですが、処遇改善加算取得によって良い人材が長く働けば、長期的にみれば事業所にとってもサービス利用者にとってもプラスに働きます

事業所にとっては、頻繁にスタッフが入れ替わっていると、新スタッフの教育や求人広告、事務処理など、様々な面で時間とコストがかかるので、それらが抑えられます。

 

処遇改善加算の特徴

上で説明したように、処遇改善加算が支給されると、事業者は全額を対象職員へ還元させて賃金水準を改善させることが義務付けられています。

つまり、交通費や福利厚生、研修の参加費用など、他の目的や用途に使用された場合は全額返還する義務があり、違反した事業者に対しては厳しい指導も予想されます。

明確に賃金改善を目的としていることが処遇改善加算の特徴です

分配方法については事業者に委ねられていますが、制度本来の目的をしっかり意識し、賃金改善を行いましょう。

 処遇改善加算の詳細については処遇改善加算についてをご覧ください。

 

 

賃金改善の流れと期限

加算取得に関する作業から実施報告まで、賃金改善までの流れは、

介護職員処遇改善計画書を作成する

→介護職員1人あたりの平均の賃金改善見込み額を盛り込んだ計画内容をすべての職員へ周知させる(事業者と介護職員間の透明性確保のため)

→行政への計画書の届出を行う

→賃金改善を行う

→実績報告書を提出する

となっています。

ここでは介護保険法で定められている、必要書類の提出や実施の期限について説明します。

 

介護職員処遇改善計画書の提出

介護職員処遇改善計画書を作成し、処遇改善加算届出書などと共に、都道府県または市町村に提出します。

各都道府県において提出先が異なるので確認してください。

これらの提出期限について、これまでは新規申請の場合は、算定予定月の2カ月前の末日までに提出が必要となっています。

つまり、4月から算定を受けようとする場合 には2月末日が提出期限となります。

すでに介護職員処遇改善加算を受けている事業者が、更新する場合は、毎年2月末日までに介護職員処遇改善計画書を提出する必要がありました。

2017年(平成29年)から処遇改善加算の新しい加算区分が設けられるにあたって、2017年(平成29年)3月以降、厚生労働省から様式や提出期限の変更が提示される予定です。

そのため、多くの自治体では2017年(平成29年)においては4月15日ごろを提出期限としているようです。

変更から提出期限まで期間が短いため、常に最新の情報を入手する必要があります。

 

賃金改善の実施

4月から翌年の3月までの12ヵ月間が一般的な実施期間であり、年度の途中で加算を申請した場合には、届出の2カ月後から年度末の3月までとなっています。

 

賃金改善の実績報告 

賃金改善の実績報告は、介護職員処遇改善加算実績報告書とともに、賃金総額の積算根拠となる資料を添えて行います。

最終支払い月の翌々月の末日までに実績報告書を提出する必要があり、例えば、2018年(平成30年)3月まで加算を算定していた事業所は、最後の加算の支払いがあった 2ヵ月後、つまり7月末までに実績報告書を提出します。年度途中で事業を廃止した事業所は、廃止後も同様に、最終支払い月の2ヵ月後の末日までに実績報告書を提出する義務があります。

 

 

最後に

介護職員処遇改善加算導入後、少しずつではありますが、離職率が低下してきているようです。

全職種の離職率の平均が2014年(平成26年)に15.5%である中、それより高いとはいえ、2007年(平成19年)の21.6%から2014年(平成26年)には16.5%になっています。

複数の要因が重なった結果でしょうが、賃金改善の効果も出てきているのかもしれません。

厚生労働省の試算によれば、増え続ける要介護高齢者に対応するため、2020年代初頭には、介護を担う人材が25万人の増員が必要だそうです。

しかし、労働人口は減っていくため、人材の確保がますます難しくなります。

対応策としては、介護職員にとって、より魅力的な職場することです。

そのためにも処遇改善加算を取得し、賃金に反映させていかなければなりません。

あなたはこれについてどう思われますか?

 

処遇改善加算について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

居宅サービス計画書の解説と書き方

近年日本は超高齢社会となり、老年人口は増加し続けています。

同時に、介護を必要とする高齢者も増加しており、最期まで在宅で暮らしたいという思いを持っている人も少なくないでしょう。

在宅での介護生活を送るにあたり、家族とともに中心的役割を担うのが、介護支援専門員(ケアマネージャー)です。

その介護支援専門員が立てる居宅サービス計画書に基づいて、担当者がサービスを行っていきます。

今回の記事では、その居宅サービス計画書について、詳しい解説と書き方を再確認していきましょう。

 

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居宅サービス計画書とは

概要

居宅サービス計画書とは、要介護認定を受けた利用者が介護保険サービスを利用したい時に作成されるものであり、利用者のニーズに適したサービスを提供することで、どのように解決していくのかを明確に示します。

その内容に基づいて、実際のサービスが提供されることになります。

主に介護支援専門員が作りますが、本人や家族が作ることも可能です。

 

居宅介護サービスにおける位置づけと簡単な流れ

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介護保険を利用した居宅介護サービスを受ける場合、居宅介護サービス計画書が必要になります。

簡単な流れについて説明します。

 

利用者やそのご家族がケアマネージャーに相談をすると、利用者本人の心身の状態を分析するため、自宅を訪問して話を伺うこととなります。

そしてケアマネージャーはどのようなサービスが必要なのかを見極めます。

この過程を課題分析(アセスメント)と言います。家族も同席することで、家族の介護状況なども分析することができます。

アセスメントの内容をふまえて、計画書の作成が行われます。

利用者や家族のニーズを元にして、解決すべき課題と期間を明らかにします。

そして必要なサービス内容を選定し、事業所等へ依頼します。

サービス内容のほか、頻度や利用料金など具体的に作成することが求められます。

最後に本人や家族と一緒に内容を確認し、文書によって同意を得る必要があります。

 

居宅介護サービス計画書・施設サービス計画書・介護予防サービス計画書の違い

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まず居宅サービス計画書と施設サービス計画書の違いですが、各様式の種類において居宅が8種類、施設が6種類となります。

居宅サービスでは給付管理業務を行う関係で、サービス利用表とサービス利用表別表が必要となる点が異なります。

また施設サービス計画書の第3表については、週間サービス計画か日課計画表のどちらかを選択できる点も、居宅サービス計画書と異なっています。

 

次に介護予防サービス計画書ですが、上記2つの計画書とは様式が異なります。

①利用者基本情報、②介護予防サービス支援計画書、③介護予防支援経過記録、④介護予防支援サービス評価表の4種類に加え、サービス利用表と別表、給付管理表が加わります。そして介護予防給付については、訪問介護等が月定額となっている関係で、サービス利用表と別表を簡素化することが可能になっている点も異なります。

 

居宅サービス計画書の様式

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第1表

第1表は計画書全体の方向性を示す役割があります。

利用者本人や家族がどのような生活を望んでいるのか、課題分析の結果を記載します。

利用者の名前や生年月日、介護認定情報といった個人情報に加えて、事業所の情報も表記します。

「本人及び家族の生活に対する意向」において、本人と家族の意向がそれぞれ異なる場合は、別々に書く必要があります。

ケアマネージャーが自分の言葉に置き換えて書くのではなく、利用者本人や家族それぞれが話した言葉をそのまま用いることが大切です。  

 

介護保険被保険者証を確認し、「介護認定審査会の意見及びサービスの種類の指定」欄に記載があれば、そのまま転記します。

「総合的な援助の方針」は課題分析から抽出したニーズに対して、どのようなケアを行っていくかを文章化します。尊厳ある自立を支援するという視点が大切です。また緊急性がある事柄については、対応機関や連絡先なども記載しましょう。

「生活援助中心型の算定理由」は、訪問介護で生活援助を中心に位置づけている場合、理由を明記します。

 

紹介

第1表の中で、一番上の欄に「初回・紹介・継続」という項目があります。

「初回」は初めて居宅介護支援を受けること、「紹介」は他の居宅介護支援事業所や介護保険施設等から紹介を受けること、「継続」は利用者が既に当該居宅介護支援事業所から支援を受けており、引き続きその当該事業所で支援を受けることを指します。

  

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第2表

第2表は計画全体の中心となる様式です。

課題分析によって明らかになった利用者本人のニーズを元に、達成可能と思われる目標を立てます。

そしてその目標を達成することに、どれ程の期間必要なのか、また利用するサービス内容や頻度についても具体的に示します。

 

ニーズ

第2表には課題分析を行った結果導き出された、利用者本人や家族のニーズを記載します。

解決すべき課題のポイントがどこにあるかを明らかにし、優先順位の高いものから記載していきます。

ここで大切な視点は、ニーズの原因や背景要因そのものを解決しようとすると、サービス主体の計画になりやすいということです。

困った状況を解決することで、よりよい生活が送りたいという視点に立ち、利用者と家族が自分たちで課題を解決していけるよう配慮しましょう。

 

 

短期・長期目標

長期目標は、個々の解決すべきニーズに対応した内容になっています。

現実的に達成が可能な目標であることが求められます。

達成するためにどうしていったら良いか、利用者本人や家族と相談しながら、一緒に目標を決めることが望ましいとされています。

 

短期目標は、その長期目標を段階的に対応する内容であり、解決に結びつけるものとなっています。

またモニタリングを行う際、達成度が分かりやすいよう具体的な内容になっていることが大切です。

ニーズによっては段階的ではなく、一度に複数を解決しなければならない場合もあることを理解しておきましょう。

また短期目標は、それぞれのサービス事業所が計画を立てる際、その目標にもなります。

ケアマネジメントを進めて何度も目標を見直していくことで、利用者本人と家族が、実現可能な生活についてイメージしやすくなってきます。

この時、第1表の生活に対する意向も変化してくるので、改めて確認してみてください。

 

短期・長期目標の期間

長期目標の期間は、ニーズをいつまでに解決するかという期間を明らかにします。

短期目標の期間は、長期目標を達成するために必要な期限を記入します。

開始時期と終了時期を記載するとともに、認定の有効期間を考慮して決める必要があります。

達成できる程度で、モニタリングの目安とするぐらいの期間が適当です。

 

 

サービス内容

短期目標を達成するために必要なサービスを記載します。

介護保険を利用したサービスだけでなく、家族や隣人、ボランティア等インフォーマルなサービスも記載しましょう。

ただしこの場合は、実現できる程度の内容にして、無理のないようにしましょう。

次のサービス種別のところで、例えば家族であれば誰が行うのか具体的に明記します。

専門的な言葉ばかりにならないよう、利用者や家族が理解できるよう分かりやすい言葉で書くことも大切です。

 

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第3表

第3表は「週間サービス計画」と呼ばれるものです。週単位で行われるサービスの曜日や時間を表へ記載することで、いつどんなサービスが行われるかが見えやすくなっています。利用者や家族が現在のサービス内容を確認できることによって、空いている時間を使って何ができるだろうなど、一週間の過ごし方を具体的にイメージしやすくなります。

介護保険サービスだけでなく、家族やボランティアの支援等も記載しましょう。

 

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第4表

第4表はサービス担当者会議の要点を記載します。会議の参加者やどんなことを話し合ったか重要なポイントを入力します。

 

サービス担当者会議

サービス担当者会議は、利用者本人と家族、ケアマネージャーに加えてサービス事業所が一堂に会して行われます。

ケアプランを元にして、ニーズの確認や目標の達成度とその見直しなどについて、協議と調整が行われます。

尚、会議に出席できない者に対しては、第5表の「サービス担当者に対する照会(依頼)内容」にて事前に書面にて回答を得ておきましょう。

 

サービス担当者会議にて検討した項目について、第4表にその内容を記載します。

話し合った結果、いつまでに誰がどのようにするのか、具体的に明記しておきましょう。

決定事項については、関係者に周知することで、共通認識ができるよう配慮することが必要です。

残された課題や、次回の開催時期についても話し合って明確にしておきましょう。

 

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第5表

サービス担当者会議を開催できない場合や、出席できない者がいた場合に、サービス担当者の意見を照会し記載する様式です。

この時、会議を開催できない理由や、出席できない理由は明記しておきましょう。

 

第6表

第6表は居宅介護支援経過です。ケアマネージャーが利用者や家族、事業所等との専門的な関わりなどを記載します。

モニタリングを行い得られた利用者と家族の意向や満足度について、また援助目標の達成度などについて項目ごとに整理して記載しましょう。

モニタリングは事実を書き、その結果ケアマネージャーがどう判断してどうしたのかを書きます。

 

ニーズとして考えられるにも関わらず、利用者本人や家族がニーズとして認識していない場合は、この表へ詳細を記します。

個人的なメモではなく、公的な記録として責任を持って記載し、記録には日付や名前等を入れるよう心がけましょう。

 

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第7表

第7表は「サービス利用票(兼居宅サービス計画)」です。

利用者の一カ月分の介護保険サービスの時間や日程が示されています。下半分はカレンダーになっているので、予定が見やすくなっています。

 

第8表

第8表は「サービス利用票別表」です。

第7表で示されたサービスの予定について、その単価や総額がまとめられています。

保険で賄われる分に加えて、自己負担の金額も示されます。

区分支給限度額に対して、どのサービスがいくらかかるかが書かれています。

1分の金額が明示されるので、利用者や家族と一緒に確認して、この金額で良いか確認しておくことが大切でしょう。

 

 

居宅サービス計画書の記入例

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本項では、実際に計画書へどのように記入していくかを見ていきましょう。

参考までに、神戸市役所のホームページで掲載された居宅サービス計画書雛形をご覧ください。

 

 

第1表

利用者名、生年月日、住所や介護保険情報など間違いのないよう記載します。

認定がまだ降りておらず、要介護状態区分が分からない場合は空欄で結構です。「利用者及び家族の生活の対する意向」へ、利用者や家族の意向を記載します。

それぞれに分けて書き、話した言葉をそのまま使って書くようにしましょう。

「総合的な援助の方針」へ、自立支援の観点をもって、利用者と家族の意向を反映したチームケアの指針と緊急連絡先もここへ書きます。

 

第2表

一番左に利用者及び家族のニーズを記載します。

優先順位の高いものから書くようにしましょう。

続いて長期・短期目標です。長期目標はニーズに即した内容で、短期目標は長期目標に即した内容で書きましょう。

期間も忘れずに記載します。

そして短期目標の内容を達成するために必要なサービス内容を書きます。

家族などインフォーマルな支援についても、必要であれば書きましょう。

そのサービス内容を行う種別、頻度と期間を書きます。

 

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第3表

提供サービスを計画表に組み込みます。

インフォーマルな支援も書きます。

「主な日常生活上の活動」に、利用者の生活リズムを記載します。この計画表に組み込めないサービスなどについて、「週単位以外のサービス」へ記載します。

 

第4表

サービス担当者会議を行った日付、場所、時間と累積回数を記載します。

続いて出席者と、その会議で検討した項目と内容について書きます。

結論では、検討した内容を項目ごとにまとめます。

結論がでなかったものについては、「残された課題」へ書きましょう。

次回の開催時期も書いておきます。

 

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第5表

サービス担当者会議に参加できない者に対して、記述を依頼し書いてもらいます。

 

第6表

日付と経過記録を残します。

その手段について、電話したのか訪問したのかを「内容」へ記載しましょう。

項目ごとに分けて書く方が、見やすく分かりやすくなります。

 

第7表

毎月のサービスの予定を記載します。

利用者や家族と一緒に確認してもらい、了解が得られれば、右上の「利用者確認」のところへ押印してもらいます。

欄外に日付を書いてもらいましょう。

 

第8表

第7表のサービス内容について、利用料金をまとめましょう。

 

まとめ

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今回は居宅サービス計画書の解説と書き方について見てきました。

利用者や家族とよく相談しながら作成することで、利用者や家族が主体的に関わり、自立支援に向けた計画書作成に繋がると良いですね。

 

居宅サービス計画書について、こちらからダウンロードできるPDFファイルがわかりやすくまとまっているのでご参考になるかと思います。ぜひご活用ください。

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